赤星とたこ吸盤ポン酢
気温が高くビールが旨いので「サッポロラガービール赤星」(中瓶、700円)を追加。仕事明けに飲む赤星の旨さは危険だ。仕事中に思い出すと、飲みたくてたまらなくなる。このような現象を中毒と呼ぶ。
赤星と合わせるのは「タコ吸盤ポン酢」(680円)。ポン酢好きにはたまらん。タコの吸盤に絡みついたポン酢を食べる。紅葉ポン酢で引き出されたタコの旨み、ちょうどいい厚みで食感が心地よく、赤星が止まらない。ゴクゴク、そして喉は潤った。
茜さすと水なす
1杯目の日本酒は「茜さす」(770円)。長野県佐久市の土屋酒造店が醸す。「茜さす」を飲みながら、「あかねさす」という言葉が記された万葉集の話をする。額田王が詠んだ恋の歌の話がこんなに楽しいなんて知らなかった。人生は修行で、酒場は教場である。
華やかなで深い旨みを持つ「茜さす」に合わせたつまみは「水なすの刺身」(460円)。からし醤油で食べても旨いが、塩をつけて食べると思わず唸るくらい旨い!水なすの蜜壺が爆発的にほとばしる。塩で覚醒した水なすを茜さすでキメる。飛んだ。
飛露喜ともつ煮込み
2杯目は「飛露喜 純米吟醸」(880円)。福島県会津で醸される「飛露喜」の果実香の爽やかさと強いコクと旨みにしばし感動。テーブルの話題は万葉集から村上龍へ移っている。30年前の小説は筆者の血肉となっている。今、私のmacは「ちにく」を「恥肉」と変換したが、龍さんの官能的な小説を思い返せば正解である気がする。
「飛露喜」と合わせたのは「もつ煮込み」(660円)。具材はモツとこんにゃくのみ。ひとくち食べるとモツの旨みとカツオ出汁が香る味噌味が広がる。モツとカツオの融合は上品で繊細で洗練されている。そして酒に合う。高血圧の不安があるのに汁まで飲んでしまう。肉体的氾濫のギリギリを攻めてしまう魅惑の味。