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一駅歩くのに5時間?大自然を堪能できる「四国のみち」本格トレッキング

暮らし

2024/06/24 19:00

 【拝啓、徳島より28】四国といえば弘法大師(空海)ゆかりの寺を巡る八十八ヶ所お遍路巡りが有名ですが、実はお遍路よりもさらに長い全長1500kmを超えるハイキングロードがあることをご存知ですか?四国全土を走る「四国のみち(四国自然歩道)」は、5~20kmで区切られた100を超えるルートがあり、各地域の特色ある絶景を楽しむことができるお散歩スポットです。春のある晴れた日の週末、近所をちょっと散歩する感覚で挑戦した本格トレッキング。田舎ならでの「週末散歩」をご紹介します。

さまざまな絶景が楽しめる
「四国のみち(四国自然歩道)」(筆者撮影)

田舎の醍醐味は散歩!

 海と山と川に囲まれた四国の右下、徳島県。県南部の小さな港町では、毎日、どこにいても自然を間近に感じられます。玄関を出たらすぐに目に入る濃い緑の山々。歩いて3分の太平洋は、夏に向けてぐんぐんその青さを増しています。
 
徳島の海沿いはどこを歩いても絶景!(筆者撮影)

 時間や季節、天気によって変わる鮮やかな自然に感動しながら過ごす日々は、やっぱり贅沢です。時々そのありがたみを忘れがちですが、ふとした瞬間にしみじみと「最高だなぁ...!」と目の前の景色に惚れ惚れしちゃいます。

 そんな田舎町の日常に欠かせないのが、お散歩。運動不足の解消はもちろんのこと、散歩をすれば誰かしら知り合いに会えるので、お互いの生存確認、近況報告の機会を自然に作ることができます。

 そもそも「そこらへんの景色」が、都会から来た私にとっては、どこを切り取っても絶景に映ります。歩いているだけで、映画やアニメのワンシーンのような風景に出会えるので、移住して何年経っても、やっぱり散歩が楽しくてたまらないのです。
 
少し内陸に歩けば日本の原風景に出会えます(筆者撮影)
 

田舎では“一駅散歩”に5時間かかる

 「週末、四国のみちを歩かない?」

 そう誘われたのはGWを過ぎたある5月のこと。町内に住む友人から週末散歩のお誘いを受けました。

 「四国のみち(四国自然歩道)」とは、四国全土に整備された全長1545.6kmのハイキングロードです。徳島県内には24のルートがあり、お寺を訪ねたり、自然を満喫したり、さまざまな楽しみ方ができます。
 
四国のみちには特色あるさまざまなルートがあります(筆者撮影)

 新緑の季節ど真ん中の週末に、自然いっぱいの道を歩くなんて、こんな素敵な過ごし方はないですよね!

 食い気味に「行きましょう!」と返事をして、土曜の早朝ハイキングが決定。田舎では「遊び=野遊び」の場合が多いので、ご近所さんにアウトドア好きが多いのもこの町の暮らしが気に入っている理由のひとつです。

 今回歩くのは海沿いの森と崖の上を歩く「千羽海崖を望むみち」。全長12.2kmのコースは、ウバメガシの樹林や、崖に打ち寄せる波の音、野鳥や猿など動物の声などが楽しめます。

 汽車(徳島には電車は走っていません)だとたった一駅分なのですが、田舎の一駅をあなどることなかれ。都内だと一駅歩くのにさほど時間はかかりませんが、こちらではいくつもの山を越えて約5時間の道のりです。
 

新緑の中を早朝トレイル

 散歩のスタートは土曜の朝7時。まずは最寄り駅から汽車に乗って一駅先まで進みます。徳島県南部地域の駅は無人駅がほとんどで、自動改札は県内にひとつもありません。県庁所在地の徳島駅でさえ切符は駅員さんに手渡しです。

 市内から汽車で1時間半かかるわが町では、駅に駅員さんも改札もなし。切符制度もないので、降りる際はバスのような料金箱に乗車分のお金を入れて降ります。

 最初は私も驚きましたが、事前に切符を買わなくていい分、その方が楽ちん。レトロで愛着が湧く地元の風景です。
 
屋根も改札もないJRの駅(筆者撮影)

 森を抜け、トンネルをいくつも越えて隣駅へ。朝日に照らされた車体はなんともフォトジェニックでした。清々しい森の空気を吸って、散歩のやる気もみなぎります。
 
朝日を受けて輝く駅のホーム(筆者撮影)

 歩き始めは平坦な田園風景から。日本昔話に出てきそうな家や田畑が続きます。畑仕事をしている地元の方に挨拶をして、太陽に向かって歩くこと約10分。道の脇に「四国のみち」の小さなサインを発見しました。ここから本格的な山歩きの開始です。

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