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4月度コミックシーモア少女マンガジャンル別ランキング 月間ランキング200位の半数が女性ターゲット

時事ネタ

2024/05/22 16:05

 本記事は、コミック配信サイト「コミックシーモア」で公表されているランキングから、総合ランキング、総合カテゴリ、各カテゴリの日次・月次ランキング200位以内にランキングされた作品を定点観測したデータを元に作成している。2024年4月の総合月間ランキング上位20位までの作品を分析すると、14作品が『女性マンガ』『少女マンガ』といった女性向け漫画だ。

総合でランクインしたジャンル別作品数

ラブストーリーとファンタジーが人気

 女性マンガと少女マンガは、ランキング200位までのほぼ半数となる49%を占めている。さらに女性向けマンガの内訳をみると、上位20位でランクイン数の多かった女性マンガがそのまま一番作品数が多いと思われたが、少女マンガが女性マンガの作品数を上回ってジャンルごとでは一番多い結果となった。最近5日分のデータをみても、少女マンガがわずかに多い。一般的には、少女マンガが成人していない子供・女子学生をターゲットに、女性マンガが成人した女性をターゲットにしたジャンルといわれている。

 コミックシーモアが他の漫画サイトとの違いを出すために、シーモアで独占、先行公開を目的として発足したレーベル『恋するソワレ』『オヤジズム』『Ficus』なども少女・女性マンガが主軸となっており、「女性に向けた作品を読むならコミックシーモア!」といった方向性が定まっている。

 そうしたジャンルの中で読者に人気のある少女マンガ。さらに、その内部のジャンルを比較すると、4月における少女マンガのランキングのうち、ほとんどがラブストーリー(155作)とファンタジー(111作)になる。
 
4月の少女マンガランキング200作のジャンル
※ラブストーリー、ファンタジーが多い

 ラブストーリーやファンタジーに分類されていない作品は、ランキング内にわずか9作品しかない。その9作品もジャンル分けされていないだけで、あらすじを読むとファンタジー色のあるものが5作品だった。

 純粋にラブストーリーでもファンタジーでもない作品は4作品。『ヒマチの嬢王/茅原クレセ(キャバ嬢)』『星屑の王子様/茅原クレセ(ホスト)』『佐々木と宮野/春園ショウ(学園)』『イジメ返し/こゆ吉 なぁな(ミステリー・サスペンス)』だ。ジャンルもそれぞれ分かれている。その4作品の中で『佐々木と宮野』をおすすめしたい。
 
 

あらすじ

 女顔であることにコンプレックスを持ち、オタクで腐男子(ボーイズラブ=BLジャンルのコンテンツを好きな男子)という男子高校生の宮野由美(よしかず)。ある日の校舎裏での暴行現場を見つけて困っていたところ、通りすがりの先輩、佐々木秀鳴(しゅうめい)に暴行を止めてもらったことをきっかけに知り合う。

 佐々木を「BL趣味を理解する、一緒にいて楽しい先輩」として接する宮野。対する佐々木は暴力仲裁の折に初対面だった宮野にモヤモヤとした感情を抱き、やがて自分の感情に気付いていく。そんな二人と周りの友人たちとの、平凡で温かい日常が続いていく。

 元は「pixiv」というイラスト投稿サイトに作者が個人的に載せていたもので、人気が出て商業作品として連載。後にドラマCDやTV・映画のアニメにもなるほどの人気作だ。

 起承転結のある4コママンガ形式と、普通のマンガにある自由なコマ割りと、2種類の構成を取っている。4コマパートでは先輩後輩のユルい日常が軽く描かれていて、普通のコマ割りパートでは、各人物の内面がていねいに繊細に描かれているのだ。構成を変えることで読者にそのことを意識させ、その構成のギャップがテンポ良く進む話の中で、登場人物を深く知って作品にのめり込んでいく素地を作る手助けをしている。よく考えられた作り方である。

 第1話の冒頭で出会った二人がどうやって仲を深めていったのか、その肝が通常コマ割り部分に集約しているところも、毎回小出しにしていく見せ方として魅力的である。

 この作品は男子が男子に向けた恋愛感情、いわゆるボーイズラブ(BL)を扱っているが、肉体関係などの直接的なものではなく、淡い恋心のようなソフトな描写で心情をつづっているので、誰にでも読みやすいものとなっている。(BCN+R コミックランキングリサーチ部)
 

作品情報

『佐々木と宮野』
https://www.cmoa.jp/title/120429/
出版社:KADOKAWA
雑誌・レーベル:MFC ジーンピクシブシリーズ
配信開始日:2016年9月26日
10巻配信中


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BCN+R コミックランキングリサーチ部
BCN+R コミックランキングリサーチ部は、電子コミックのランキングの推移を元にしたトレンド分析を行っています。