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モバイルバッテリを持ち歩いてモバイルSuica/PASMOに乗り換えよう

オピニオン

2024/05/01 19:10

 2023年8月2日から現在まで、記名式「Suica/モノレールSuica/りんかいSuica(以下、Suica)」と「PASMO」カードの発売は一時中止となったままだ(JR東日本の青森・盛岡・秋田エリアを除く)。Suicaを推進するJR東日本、PASMOを推進する私鉄各社とも、記名式Suica/PASMOカードの代わりに、モバイルSuica/PASMO(Apple PayのSuica/PASMOを含む)の利用を呼びかけている。昨年春からは、中高生もモバイルSuica/PASMO通学定期券を購入可能になり、4月1日から、サービスアップによってさらに利便性は向上した。つまり、Suica/PASMOエリア内では、小学生以外は誰もがモバイルSuica/PASMOの利用を最優先に検討すべきだろう。

2024年8月2日以降も首都圏エリアで購入可能な交通系ICカード。
現在、大人が新規に利用を開始したい場合、
モバイルSuica/PASMOかSuica/PASMO定期券(カード型)しか選択肢はない

 今回は、このモバイルSuica/PASMOのデメリットをなくす「モバイルバッテリ」の最新ランキングと、万が一のバッテリ切れ時に助かる「モバイルバッテリレンタルサービス」を紹介しよう。
 
乗車ポイントサービスの還元率などで差をつけ、
各社ともモバイルへの「乗り換え」をうながしている

モバイルバッテリの売れ筋は1万・5000mAh 価格は2000~3000円台

 家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、24年3月に最も多く売れたモバイルバッテリは、テレホンリースの「RLI100M2A02WH」だった。2位・3位はエレコムの「DE-C37-5000WH」「DE-C37-5000DGY」が続き、4位にAnker「A1246N11」が入った。

 バッテリ容量はいずれも1万または5000mAh。大容量だと重さがかさみ、持ち運びの負担が増えるため、薄く軽く、容量はそこそこという機種が選ばれているようだ。税別平均単価は3216円で、上位3位以内の機種に限ると、すべて税別2000円未満だった。
 

 モバイルSuica/PASMOに移行しない理由として、よく、スマホのバッテリの持たなさが挙げられているが、バッテリ容量5000mAh程度の新しい軽量薄型モバイルバッテリを購入して持ち歩くだけであっさり解決するだろう。
 

モバイルバッテリレンタルサービス「ChargeSPOT」「充レン」が駅にも拡大中

 モバイルバッテリを買うことなく、スマホのバッテリが切れた時に借りて返せるモバイルバッテリレンタルサービスを利用するつもりなら、モバイルバッテリを購入する必要すらない。モバイルバッテリレンタルサービスとしては、スタンド設置台数日本一を称するINFORICHの「ChargeSPOT(チャージスポット)」やJURENの「充レン」などがある。
 
設置台数日本一・全国4万2400台
(2023年12月時点)の「ChargeSPOT」

 「ChargeSPOT」は、コンビニや駅など、全国各地にあるスタンドから充電器(モバイルバッテリ)を借り、空きスロットのある他の貸出機で返却できるサービス。レンタル充電器はLightning/micro USB/USB Type-C端子を搭載し、さまざまなスマホを充電できる。バッテリ容量は5000mAh。

 利用料金は初回30分まで165円、30分から3時間未満360円など。最大レンタル時間は120時間未満で、レンタル開始から24時間を超えた分は24時間につき360円となる。なお、モバイルバッテリの紛失時・破損時は補償金(3980円)が発生する。

 「充レン」は、東京電力エナジーパートナーが18年7月から都内で実証実験をはじめ、その後、20年2月から全国で事業を展開していたが、さらなる拡充のため、23年8月にGREEN UTILITYが事業承継し、今は新会社JURENが提供している。レンタルのモバイルバッテリはLightning/micro USB/USB Type-C端子を搭載し、さまざまなスマホを充電できる。利用料金は1台1日(1泊2日)330円から。
 
JURENが提供する「充レン」
(今後の展望を含めたイメージ)

 モバイルSuica/PASMOに移行しない理由として、駅の改札まで来た時点でスマホのバッテリ切れやバッテリ残量が僅少だと気づいたら電車に乗れずに困る、という声が挙がっている。また、1日中買い物などをしていて帰宅時にはバッテリが切れてしまうので、モバイルSuica/PASMOに移行したくないという声もある。

 バッテリが1日持たないスマホはそろそろ買い替えのタイミングではないかとアドバイスしたいが、自宅の最寄り駅やよく使う駅の改札内・改札外に「ChargeSPOT」や「充レン」が設置されているなら、そうした不安は杞憂となる。長時間の運転見合わせ時など、バッテリ切れが起きやすいシーンでも、モバイルバッテリレンタルサービスは役立つだろう。
 
「ChargeSPOT」のデジタルサイネージを活用した
「急告板(鉄道利用者に電車の運転見合わせなどの運行情報を知らせるもの)」も登場した。
西武鉄道とINFORICHでは
西武鉄道の全線に「ChargeSPOT」を順次設置していく予定

 対象路線に交通系ICカードで乗車するとポイントを付与する乗車ポイントサービスを導入する首都圏エリアの鉄道事業者のうち、JR東日本、東武鉄道、西武鉄道、京浜急行は、カード型とモバイルでポイント進呈率に差をつけており、モバイルのほうがおおむね1.5~3%程度お得だ。利便性、経済性とも高く、もはやスマホユーザーはモバイルSuica/PASMO一択といえる。それでもモバイルSuica/PASMOは何となく嫌だという方には、近年、正式導入や実証実験が始まっている、クレジットカードなどの「タッチ決済」による乗車をおすすめしたい。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
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