• ホーム
  • トレンド
  • 「物流2024問題」、「対応完了」企業はわずか13.9% 大手ほど「不十分」

「物流2024問題」、「対応完了」企業はわずか13.9% 大手ほど「不十分」

時事ネタ

2024/03/29 18:00

 スキマバイトサービス「タイミー」を提供するタイミーは、登録している事業者582社を対象に、「物流2024年問題」についての意識調査を実施した。

「物流2024年問題」
についての意識調査

「スポットワーカー」の活用が切り札に!?

 「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の取得義務化」など順次施行されている「働き方改革関連法」。今年4月から自動車運転業務、建設事業、医師などの時間外労働の上限規制がスタートする。この法案は、働き手が多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現を目指したものだが、なかでもトラックドライバーの時間外労働時間が960時間の制限により、運べる荷物量の減少、物流事業者の売上・利益減少など様々な影響が懸念されている。

 これらの実態を受け、タイミー登録事業者582社(物流業)へ「物流2024年問題」に対する意識調査を実施。運輸・物流業以外の事業者にも多大なる影響が予想されるこの問題に対して、各事業者がどのように捉え、対応しているのかについて調査した。

 「物流2024年問題」について、タイミー導入事業者では、約97%で対応が発生。しかし、「既に対応を完了している」企業は、13.9%にとどまり、制度導入目前の現在、2割近くの企業が「対応の目処がたっていない」と回答していた。
 
2割近くの企業が
「対応の目処がたっていない」

 直接的に影響を受ける物流業では他業種と比べ対応の度合いは大きいものの、「現在対応中だが、完了の目処はたっていない」と回答した企業が34.9%を占め、実に3社に1社以上の物流業社が規制開始目前の現在も、対応の目処がたたない状況にあることが明らかになった。
 
「物流2024年問題」に
向けて対応しているか

 「物流2024年問題」の対応状況は、過半数(52.6%)が「十分」と回答しており、二極化している様子が伺える。企業規模別に見てみると、「十分だと思う」という回答は、企業規模が大きくなるほど減少し、「不十分だと思う」という回答は、10人未満の企業が最多(18.6%)で小企業(10.3%)、中企業(6.0%)と減少していくが、大企業では再び増加し13.3%となった。従業員数の少ない企業ほど対応状況が見えやすく、関与者の多い企業では、対応が完了していない傾向があるようだ。
 
「物流2024年問題」
に向けた対応は十分か

 なお、一部の事業者からは次のような声も見られました。「この問題に対しての消費者全般の意識が低いと思う。当事者意識がなくみんながあまり自分には関係ないと思っている」(飲食サービス業・荷主)、「サービスレベルを落とすことになる可能性が高く、顧客の理解が得られにくい。サービスレベルを維持するには、想定以上の手間やコストが必要になると予測している」(物流業・荷主及び配送事業)。

 「物流2024年問題」に荷主、物流業者、自社配送網をもつメーカー、その他(荷受・倉庫)などの立場で関わりのある事業者を対象に、成果について聞いたところ「一定の成果が出ている」と回答した事業者は、全体の4分の1以上(26.4%)だった。
 
「物流2024年問題」
に向けた対応の成果状況

 そこで、「物流2024年問題」の対応で「一定の成果が出ている企業」と「成果が出ていない企業」を比較したところ、「スポットワーカー」の活用について、業務の切り分け・荷役分離・人件費の変動費化にそれぞれ10pt以上の有意差がみられた。

 「一定の成果」について詳しく聞くと、具体的に、次のような成果が出ているようだ。「スポットワーカーを活用することで、ドライバーの待機時間を月10時間削減できた」(飲食サービス業・荷主)、「ポイントとなる作業工程にスポットワーカーを時間制で導入することで、センター内の作業時間短縮(-1時間)、拘束時間抑制(月間15時間以内)、全体労働時間短縮(1人あたり5分/日)の効果が生み出されている」(物流業・荷主及び配送事業者)、「販路を変えた事で、ドライバーの運転時間は往復3時間→往復1時間10分に削減できた。また削減出来た残りの勤務時間を生産作業に充当することで出荷量増加にもつながった」(農業・荷主)。
 
スポットワーカー活用について

 4月以降スポットワーカー活用の頻度・募集人数について聞いたところ、「物流2024年問題」の対応で「一定の成果が出ている企業」と「成果が出ていない企業」では成果の出ている企業の方が、頻度・募集人数ともに増やす傾向が見られた。
 
スポットワーカー活用の頻度について

 複数職種で採用意向のある企業を対象に、「直近1年間、長期雇用を目的とした採用のために使用したサービス」を聞いたところ、1位「インターネットの求人情報サイト(55.6%)」、2位「公共職業安定所(ハローワーク)(43.1%)」、3位「タイミーで来たスポットワーカーの引き抜き(40.3%)」という結果となり、スポットワークが採用手段の一つとなっていることがわかった。
 
長期雇用を目的とした採用のために使用したサービス

 今回の調査により、「物流2024年問題」で3割以上の物流事業者が対応の目処がたたない状況にあること、そして対応で一定の成果を出している企業では、荷役分離などでのスポットワーク活用が活発なことが明らかになった。
ギャラリーページ