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「評定3.4」「帰宅部」「出席不良」で総合型選抜(AO入試)を受験した高3生の顛末

暮らし

2024/03/18 17:30

【受験親のための大学入試最前線・4】大学受験界では今、「総合型選抜」が注目を集めています。一般選抜以外の選択肢として、学校推薦型選抜と並んでスタンダードな入試となりつつあります。KOSSUN教育ラボは2011年に総合型選抜(AO入試)・学校推薦型選抜の専門塾として開塾以来、延べ7400人以上(24年3月時点)の受験生をサポートしてきました。毎年、多くの受験生が相談に訪れる中でAさんからサポートの依頼を受けました。彼は当時、地方の進学校に通う高校2年生。国内屈指の名門校K大学の総合政策学部を志望していました。受験方式は総合型選抜(AO入試)。自身の個性を最も発揮できると考えたからです。しかし、3月の進路面談で担任の先生にこういわれたそうです。

「キミが志望大学に現役合格できる可能性は0%だよ」

 「この際なのでハッキリ言うね。キミが志望大学に現役合格できる可能性は0%だよ」。受験生にはグサっと胸に突き刺さる言葉だったでしょう。Aさんは頭が真っ白になってしまったそうです。その場で理由を聞いたところ、次のような答えが返ってきました。

 「まずキミは学業成績が良くない。校内でも平均的か、科目によってはそれ以下の内申点しかないよ。さらに欠席も多いよね。何よりなんの活動実績もないじゃないか。そんな状況では、キミが志望する難関大学に合格するなんて無理に決まっている。現実と向き合って考え直すべきだよ」。

 確かに、Aさんの学業成績は芳しくありませんでした。具体的に評定平均は、5段階評価で「3.4」と控えめな数字。贔屓目にみても、学業成績は「中の中」です。高校も休みがちで、出席率は留年ギリギリの状態。部活動にも所属しておらず、客観的な数字だけをみれば期待は薄いです。担任の先生にしてみれば、教え子が不合格を突き付けられて自信をなくす姿を見たくないがゆえに、あえて厳しい現実を伝えてくれたのかもしれません。

 しかし、彼はKOSSUN教育ラボに相談した結果、何か吹っ切れた様子で受験を決意しました。高校の担任の先生からは真っ向から否定されたにも関わらず、Aさんはなぜ、K大学の受験を諦めなかったのでしょうか。ここでは、総合型選抜(AO入試)受験にまつわる三つの誤解をひも解きながら理由を紹介します。

誤解(1)評定の縛りが厳しい

 一つめの誤解は、出願条件についてです。総合型選抜(AO入試)の場合、出願にあたって評定の制限を設けていない大学は多いです。仮に評定に自信がなかったとしても、あくまで合否は「総合評価」で決まります。ほかで挽回することも、十分に可能です。まずは臆せず、挑戦する姿勢を持ちましょう。一方で、「高校の勉強を軽視して良い」という話では決してありません。定期テストで着実に得点し、高い評定があるに越したことはありません。

 総合型選抜(AO入試)において、評定も一つの評価対象になり得ます。高校生にとって、何より学業が本分です。一所懸命に取り組むことが大切です。具体的には、高3生になるまでに5段階評価で「4.0以上」をキープしておいてください。そうすると、高3生になったとき、学校推薦型選抜を含めて受験の選択肢が広がります。

誤解(2)不登校は不利になる

 二つめの誤解は、高校生活についてです。総合型選抜(AO入試)に合格する人は、「クラスのリーダー的存在」といったイメージを持っている人もいるはずです。あながち間違ってはいませんが、高校生活にフルコミットしてきた人ばかりが合格するわけではありません。これまでの逆境をバネに大学を目指したいという「将来性」をアピールして、合格するケースも少なくありません。

 一例として、不登校が挙げられます。不登校を経験したことで何を学び、どう成長できたか。結果ではなく、過程に注目することでアピール材料になり得ます。捉え方次第で、ポジティブな成長機会になるのです。ちなみに、先述したAさんの多欠には理由がありました。彼は持病があり、毎週の通院を余儀なくされていたため、思うように出席できなかったのです。記載上は同じ「欠席」扱いでも、理由がただの「寝坊」なのと、やむを得ない「通院」なのとでは、大学が受ける印象は異なります。面接で胸を張って説明できるだけの理由があれば、自信をなくす必要はありません。

誤解(3)活動実績を重視する

 三つめの誤解は、活動実績についてです。総合型選抜(AO入試)を受ける人は華々しい実績を持っていないと合格できない、いわゆる「一芸入試」と勘違いしている人がいます。確かに、一部の受験生は「全国大会優勝」「英語資格スコア満点」といった飛び抜けた経歴を持つ人もいますが、実際はそうでない受験生が大多数です。総合型選抜(AO入試)では、過去よりも未来が重視される傾向にあります。つまり、将来どうなりたいか。そのために大学でどのように学びたいか。これらを明確に伝えられる受験生が求められているのです。このような受験生は、活動実績の自慢話をする人よりもはるかに高く評価されます。ここでも、結果より過程を意識して、地味な活動であっても自身のそれまでの関わり方や活動の意義について改めて振り返ってみるといいでしょう。

「もし、あの時……」と後悔しない選択をする

 さて、Aさんの受験結果ですが、彼は第一志望校の総合政策学部に逆転合格することができました。この結果には、本人が一番驚いた様子でした。

 彼は総合型選抜(AO入試)の出願書類や面接で自身の持病や不登校を実体験として伝えました。そして、地道に取り組んできた医療従事者へのインタビューや医学関連書籍のレポートを通じて得られた学びをアピール。将来は医療政策の担い手となる志を実現するため、大学で研究に勤しみたいと訴えたのです。大学にAさんの熱意が届いたのです。もし、あの時、一歩を踏み出していなければまた違った受験結果になっていたはずです。今になって後悔しない選択をしたことが最も重要です。
 
KOSSUN教育ラボ

 いかがだったでしょうか。KOSSUN教育ラボでは、保護者も参加できる無料個別相談会(オンラインにも対応)を毎月実施しています。受験方式や入試対策で悩んでいるのであれば、ぜひ一度、相談にいらしてください。(KOSSUN教育ラボ・小杉樹彦)