POSデータからひも解く、外付けSSD/HDD市場の動き【後編】

データ

2024/02/08 07:00

【データの保存場所どう選ぶ?・2】前回は外付けSSD/HDDの需要とメーカーシェアの動向をみた。簡単に振り返ると、3年間で外付けSSDの販売数は2割増となったが、外付けHDDは4割減と対照的な動きをしていた。また、メーカーシェアでは外付けSSD/HDD市場ともにバッファローがトップだった。そして、今回は容量を軸として、3年前から現在までの外付けSSD/HDDの市場がどのような変化を遂げているのか、POSデータを使ってひも解いていく。

外付けSSD/HDDの大容量化


 2022年1月から23年12月の外付けSSDと外付けHDDの平均容量を算出した。22年1月時点では、外付けSSDが827.0GBだったのに対し、外付けHHDは3272.2GBと3TBを超えており、実に4倍近い差が開いていた。23年12月までの平均容量の動きをそれぞれみていく。

 まず、外付けSSDの平均容量において、2年間で最も平均容量が少なかったのは、22年3月の813.6GB。その後月を追うごとに、緩やかに大容量化が進んでいく。23年2月にようやく1TBを突破し、1042.0GBに達した。その後も1TBを超える水準を維持。同年11月には1161.7GBと2年間で最も大容量となった。最少だった22年3月と比較すると、348.1GBの増加。

 一方、外付けHDDは2年に亘って3TBから3.5TBの間で上下動を繰り返している。22年1月の時点では3273.3GBだったが、その後は若干容量は減少し、23年5月に3151.4GBと2年間で最少を記録。その後は再び大容量化が進み、23年11月に3497.2GBに達する。平均容量の最少と最大を比較すると、345.8GB増となった。

 外付けSSDと外付けHDDそれぞれの平均容量増分は350GB程であるが、増分を比率で算出すると、外付けHDDはもともと大容量であったためプラス11.0%にとどまるが、外付けSSDはプラス42.8%と大幅に増加したことになる。では、次に容量帯の構成比を算出し、比較していく。

異なる動きをみせる容量帯


 まず、外付けSSDでは22年1月から6月まで256GB~1TB未満が3割程、1~2TB未満が4割弱という構成比だった。しかし、22年7月に1~2TB未満の構成比が初めて5割を超えると、11月以降に5割前後と常態化する。23年6月になると2TB以上が2割に達し、徐々に1~2TB未満の構成比が2TB以上に押される恰好となり、更なる大容量化が進んでいる様子を捉えられる。
 

 外付けHDDでは、2年にわたり安定した構成比で推移している。2TB未満が10~20%、2~4TB未満が30%台後半、4~8TB未満が40%前後、8TB以上が5%前後と、この2年間で大きな変化はみられない。

 ここまで外付けSSDと外付けHDDの平均容量、容量帯別構成比をみてきたが、どちらもこの2年で350GB近く平均容量が増えたにもかかわらず、外付けSSDの容量帯別構成比では大容量化の動きが鮮明だ。一方、外付けHDDの構成比は大きな変化がみられない。これは、それぞれの市場全体の販売数量が関連している。

 前回みたように、外付けSSD市場は22年6月以降右肩上がりに推移していたが、外付けHDD市場は3年間右肩下がりで推移しているため、このような違いがあらわれたといって良さそうだ。

22年に大きく下落した外付けSSDのGB単価


 ここからは、外付けSSDと外付けHDDそれぞれの総販売金額を総容量で割って算出したGB単価(1GBあたりの単価)を比較していく。前回の冒頭でも言及したように22年後半からパソコンやスマートフォンの販売が世界的に減速し、NAND型フラッシュメモリの在庫ダブついた。そうした動きがSSDの単価下落につながった。

 それを踏まえて、外付けSSDのGB単価の推移を追っていくと、21年10月に15.22円を記録した後、一年程その水準を維持。しかし、22年7月以降のGB単価は下落の一途をたどり、23年11月に8.63円まで落ち込んだ。直近3年間での最高値となった21年10月の15.22円と比較すると、43.3%もGB単価が下落したことになる。こうしたGB単価の下落を背景に外付けSSDの販売数量は増加し、大容量化にもつながった。

 一方、外付けHDDはここ3年間、GB単価に外付けSSDほどの変化はみられない。21年1月の2.96円が最安値、最高値は23年2月の3.76円と2年ほどで27.0%とGB単価の緩やかな上昇が確認された

 GB単価を単純に比較すると、外付けSSDと外付けHDDの単価差は2.5倍近くある。仮に2TBとして計算してみると、外付けSSDは約1万8000円だが、外付けHDDは約7000円となり、価格差が如実に顕在化する。SSDとHDDの特徴を見極めて、どちらを購入するのが適しているか検討しなければならない。

 例えば、HDDは大容量の画像や映像データを保存するのに適している。一方、SSDは駆動部がなく省電力である上、読み書き速度が早いため、ゲーミングPCなどでの利用においてメリットを享受できる。ただし、SSDはHDDよりも高額であるため、大容量の製品を購入するには予算との兼ね合いが必要だ。(BCN総研・森英二)
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