「素質」が開花する三つの企業選びの観点を身につけよう

暮らし

2024/02/04 12:00

 【30歳からの後悔しない転職の思考法・4】前回まで「素養」に基づく転職ではなく、「素質」に基づく転職をしようというテーマで、素質を見つけるための真本音の概念、素質が開花した先に顕在化する四つのリーダーシップの種類について解説をしてきた。今回は、「企業選び」という点で考察していきたい。真本音度を高め続け、素質の開花を助長する環境がある。厳密にいうと、基本的にどの環境でも真本音度合いは高めることができるが、これまであまり取り上げられることがなかった観点かと思うので、ぜひ紹介したい。

組織の「影響」

 影響は、広さと深さがある。例えば、影響の広さとは「対象範囲の広さ」を表し、自分の真本音が目の前の人に意識を向けてサービスの提供を望んでいるのか、それとも世界レベルで物事を発想した方がワクワクするのかなど、人それぞれ分かれる。身近な人たち、地元、地方、日本、世界など、どのくらいの視界の広がり具合が最も自然に発想できるかセルフチェックしてみることをおすすめする。

 また、影響の深さとは「インパクトの広さ」を表す。人の心に刺さるようなインパクトにワクワクする人もいれば、生活や習慣などのインフラレベルでインパクトを起こすことにワクワクする人もいれば、さらに文化や文明・常識レベルを覆すことにワクワクする人もいる。

 影響の広さは広ければ広いほど良いものでもないのと、影響の深さも深ければ深いほど良いというものでもない。あくまでも、自分の真本音にとってどの視界が最も自然かが大事になる。
 
 

組織の「柔軟性」

 次に、組織における柔軟性に焦点を当ててみよう。柔軟性とは「仕組みの完成度」といい換えても良い。具体的には、三つの観点から組織の柔軟性をチェックしよう。
 

組織体系(役割分担の明確さ)

 与えられたことのみをやるのか、誰とどう関わり何をやっても良いのかどうか。
 

業務推進(既存のやり方の明確さ)

 マニュアル通りにやるのか、自ら仕事を創り出すか。
 

育成方法(教育体系の明確さ)

 与えられた教育プログラムなのか、自ら勉強するしかないのか。

 どれが正しいというものではなく、あくまでも自分の真本音がどのレベルの組織の柔軟性を求めているかが大事である。

 セルフチェックとしては、「あえて枠の中に入り、それを壊したい(改善したい)か?」「分からないなりに、自由に道を拓きたいか?」「与えられるものの多い環境を望んでいるか?」「自らつかみ取るしかない環境に身を置きたいか?」を問い続けてみよう。
 
 

組織の「明るさ」

 最後に、組織の明るさである。明るさとは、「体感快適性」ともいえる。具体的には、二つ観点から組織の明るさをチェックしよう。
 

エネルギーの高さ(自分とのエネルギーのバランス)

 その組織は自分にとって眩しいと感じるのか、それとも暗いと感じるのか。
 

波長の共振度(体の感じる快・不快)

 その組織は自分にとって暖かいのか冷たいのか、軽やかに感じるのか、重たいと感じるのか。

 上記の二つは例えば、会社のエントランスや面接官、さらにはネットに落ちている各種情報でも感じとることができる。感じとるコツとしては、可能な限り自分の意識を外側(人・場・空間・物など)に向け続け、そこにあるものを観察し続け、聴き続けること。そうすると、どのレベルの組織の明るさが自分にとって最もバランスが良いのかが分かる。
 
 

自己成長しやすい環境に身を置こう

 今回、これまで従来キャリア論として述べられていた、業界成長性やこれからの時代伸びそうな職種やスキルか、さらには待遇面などには一切触れていない。なぜなら、時代の流行りもあるし、すぐ陳腐化する可能性もあるし、さらには自分の判断軸を超え、世間が良いとされてる判断軸になる可能性が高いからだ。「反応本音での意思決定」になることが多いからである。企業ブランドは良いはずの企業に転職したものの、なぜか満足できないと感じる人は増えてきた。特に、Z世代の若手人材ほどその傾向は顕著だ。

 ぜひ自分らしい人生と、自分らしい活躍をするために、自己成長しやすい環境に身を置いていただけると嬉しい。(ITSUDATSU・黒澤伶)