POSデータからひも解く、外付けSSD/HDD市場の動き【前編】
【データの保存場所どう選ぶ?・1】 BCNランキングによれば、外付けSSD市場は1GBあたりの単価下落を背景に、この1年で需要が増加している。一方、外付けHDD市場は需要が減少しているものの、用途によっては需要を掘り起こせる余地がある。薄型テレビへの接続など、PC周辺機器の枠を超えている外付けSSDと外付けHDD。本特集では、市場動向や家電量販店の販売状況などを通じて、データの保存場所として外付けSSDと外付けHDDをどのように選ぶのが最適なのかを紹介していく。今回は、POSデータから外付けSSDと外付けHDD市場の動きをひも解いていく。
21年1月からの外付けSSDと外付けHDDの販売動向について、POSデータを使ってみていく。21年1月の外付けSSDの販売数量を「100.0」とした販売指数を算出した。
まず、外付けSSDの3年間の動きは、22年まで基点を下回る水準で推移、22年6月に51.2と最低を記録した。外付けSSDは毎年3月に需要が高まる。その3月の指数の動きを追うと、21年の95.6から22年は84.3へと落ち込んだが、23年は106.4まで大きく伸びた。その後も10月から12月にかけて、さらに需要は活性化、3カ月連続で基点を上回って推移している。23年の動きは、価格下落によって販売数量が増加したことがあらわれている。
一方、外付けHDDの販売数量は外付けSSDを上回っている。21年1月は356.3と外付けSSDの3倍以上の需要だった。その後は上下動が激しく、長いスパンでみると右肩下がりで推移。23年3月には、3年間で最低の134.6を記録した。外付けHDDは毎年12月に需要のピークを迎えるため、12月の指数を比較すると、21年は318.5、22年は279.2、23年は217.1と指数は年々落ち込んでいる。そして、21年1月には外付けSSDと3倍の差があった指数も、23年12月には2倍弱までに狭まっていることがデータから明らかになった。
次に、22年1月から23年12月までのメーカー別販売数量シェアの推移をそれぞれ見ていく。まず、外付けSSDのメーカー別販売数量シェアでは、首位のバッファローが3割後半から5割程のシェアを占めている。WesternDigitalは2割前後でバッファローを追いかけていたが、23年に入ってからは1割台後半と22年ほどのシェアを稼げていないのが実状だ。
一方、23年の後半から伸びているのがIOデータ機器で、1割程度だったシェアは2割目前まで伸張。今後WesternDigitalと2位争いを展開しそうな勢いをみせている。
では、上位3社ではどのような製品が売れ筋なのか。まず、バッファローのシェアをけん引しているのは「SSD-PUTA」シリーズ。この製品はパソコンだけでなく、動作を確認する必要はあるものの薄型テレビに接続し、放送波を録画することが可能だ。
2位のWesternDigitalは、SanDiskブランドの「エクストリーム ポータブルSSD」がシェアの稼ぎ頭。防水・防塵であることがこの製品の売り。3位のIOデータ機器に関しては、「SSPE-USC」シリーズが売れている。この製品は、USB Type-AとUSB Type-Cのコネクタを両方備えるスティックタイプの外付けSSDだ。最近USB Type-Cしか搭載していないパソコンも増えてきており、そうしたパソコンにも対応する便利な製品といえる。
こうしてみるとシェアにつながる製品は何かしら特徴を持っているので、使い方にあった製品を購入するのが良い。
外付けHDDのメーカー別販売数量シェアにおいてもバッファローが過半を占め、首位を独走している状況だ。22年11月には71.0%を占めるなど、他社を圧倒している。この2年間IOデータ機器は2位を維持しているものの、2割前後あったシェアは1割台前半まで減少している。
一方、23年12月の段階で3位のエレコムは、22年1月に時点では5%に満たないシェアだったが、23年7月以降は10%前後まで伸張し、この2年間でじわじわとシェアを伸ばしている。この状況が続けば、24年はIOデータ機器とエレコムが2位争いを展開するだろう。
外付けHDDでも、上位メーカーにおいてどのような製品がシェア獲得に寄与しているのかをみていく。まずバッファローでは、故障予測機能を搭載している「HD-PCFSU3-A」シリーズがシェアをけん引している。
2位のIOデータ機器での売れ筋は「HDPL-UTA」シリーズで、テレビ録画用ハードディスクと謳っており、USBバスパワーに対応している製品。エレコムは「ELD-FTV」シリーズがシェアを押し上げている。この製品もパソコンでの使用はもちろんのこと、テレビ向け外付けHDDと位置づけている。
販売差は近づきつつある
2023年、SSDの価格が大きく下落した。22年後半からパソコンやスマートフォンの販売が鈍化し、NAND型フラッシュメモリのダブついたことが要因の一つに挙げられる。価格下落によりNANDメーカーの収益は悪化し、生産調整に追われることとなった。23年秋頃にSSDの価格下落がようやく底を打ち、上昇に転じた。それでも1年前より安い価格でSSDを購入することができる。一方、HDDはSSDよりも安価であるため、販売数はHDDのほうが上回る。しかし、SSDの需要増によりHDDの需要は減少しており、販売数の差は近づきつつある。外付けSSD/HDDの販売動向
21年1月からの外付けSSDと外付けHDDの販売動向について、POSデータを使ってみていく。21年1月の外付けSSDの販売数量を「100.0」とした販売指数を算出した。
まず、外付けSSDの3年間の動きは、22年まで基点を下回る水準で推移、22年6月に51.2と最低を記録した。外付けSSDは毎年3月に需要が高まる。その3月の指数の動きを追うと、21年の95.6から22年は84.3へと落ち込んだが、23年は106.4まで大きく伸びた。その後も10月から12月にかけて、さらに需要は活性化、3カ月連続で基点を上回って推移している。23年の動きは、価格下落によって販売数量が増加したことがあらわれている。
一方、外付けHDDの販売数量は外付けSSDを上回っている。21年1月は356.3と外付けSSDの3倍以上の需要だった。その後は上下動が激しく、長いスパンでみると右肩下がりで推移。23年3月には、3年間で最低の134.6を記録した。外付けHDDは毎年12月に需要のピークを迎えるため、12月の指数を比較すると、21年は318.5、22年は279.2、23年は217.1と指数は年々落ち込んでいる。そして、21年1月には外付けSSDと3倍の差があった指数も、23年12月には2倍弱までに狭まっていることがデータから明らかになった。
外付けSSDと外付けHDDのメーカーシェア動向
次に、22年1月から23年12月までのメーカー別販売数量シェアの推移をそれぞれ見ていく。まず、外付けSSDのメーカー別販売数量シェアでは、首位のバッファローが3割後半から5割程のシェアを占めている。WesternDigitalは2割前後でバッファローを追いかけていたが、23年に入ってからは1割台後半と22年ほどのシェアを稼げていないのが実状だ。
一方、23年の後半から伸びているのがIOデータ機器で、1割程度だったシェアは2割目前まで伸張。今後WesternDigitalと2位争いを展開しそうな勢いをみせている。
では、上位3社ではどのような製品が売れ筋なのか。まず、バッファローのシェアをけん引しているのは「SSD-PUTA」シリーズ。この製品はパソコンだけでなく、動作を確認する必要はあるものの薄型テレビに接続し、放送波を録画することが可能だ。
2位のWesternDigitalは、SanDiskブランドの「エクストリーム ポータブルSSD」がシェアの稼ぎ頭。防水・防塵であることがこの製品の売り。3位のIOデータ機器に関しては、「SSPE-USC」シリーズが売れている。この製品は、USB Type-AとUSB Type-Cのコネクタを両方備えるスティックタイプの外付けSSDだ。最近USB Type-Cしか搭載していないパソコンも増えてきており、そうしたパソコンにも対応する便利な製品といえる。
こうしてみるとシェアにつながる製品は何かしら特徴を持っているので、使い方にあった製品を購入するのが良い。
外付けHDDのメーカー別販売数量シェアにおいてもバッファローが過半を占め、首位を独走している状況だ。22年11月には71.0%を占めるなど、他社を圧倒している。この2年間IOデータ機器は2位を維持しているものの、2割前後あったシェアは1割台前半まで減少している。
一方、23年12月の段階で3位のエレコムは、22年1月に時点では5%に満たないシェアだったが、23年7月以降は10%前後まで伸張し、この2年間でじわじわとシェアを伸ばしている。この状況が続けば、24年はIOデータ機器とエレコムが2位争いを展開するだろう。
外付けHDDでも、上位メーカーにおいてどのような製品がシェア獲得に寄与しているのかをみていく。まずバッファローでは、故障予測機能を搭載している「HD-PCFSU3-A」シリーズがシェアをけん引している。
2位のIOデータ機器での売れ筋は「HDPL-UTA」シリーズで、テレビ録画用ハードディスクと謳っており、USBバスパワーに対応している製品。エレコムは「ELD-FTV」シリーズがシェアを押し上げている。この製品もパソコンでの使用はもちろんのこと、テレビ向け外付けHDDと位置づけている。