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東京ー徳島間、フェリー旅のススメ! 大浴場付き船内で楽しむ究極の自由時間

暮らし

2024/01/08 13:00

【拝啓、徳島より・17】コロナ禍がやっと落ち着き、どこにも行けなかった日々の反動か、世間の旅行熱は急激に高まっています。海に山に囲まれた四国・徳島への旅を検討している方もいるかもしれませんが、ぜひおすすめしたいのがフェリー旅です。東京ー徳島間を14時間で結ぶ船旅は、移動そのものがエンタテインメント!海の上をゆったり進む旅の魅力をご紹介します。

移動そのものが楽しい東京ー徳島間の船旅
 

徳島、“行きにくい”問題

 仕事柄、東京と徳島を2、3カ月に一度のペースで行き来する暮らしをしています。毎回、半日以上をかけて四国から関東へ移動した後に思うのは「徳島って、本当に遠い・・・」。時間的にも金額的にもコストがすごく高い気がするのです。

 例えば飛行機の場合、四国4県で徳島空港だけが唯一、LCCの就航がありません。東京ー徳島間のANAやJALの航空券は直前予約だと片道3万円近くするので、時期によっては海外旅行の方が安く済むことも。もちろん新幹線は通っていないし、片道10時間以上かかる高速バスも体力的にちょっときつい年齢になりました。
 

移動をもっと楽しく、ワクワクできないかなぁ

 そんなことを徳島の友人に話したところ「フェリー使ったらええやん」との返事が。なるほど、その手があったか。

 調べてみると、東京ー徳島ー北九州を結ぶ「オーシャン東九フェリー」が1日1便で運行しているとのこと。徳島を昼に出発して、翌早朝に東京に到着するスケジュールです。

 東京ー徳島間の乗船時間は約14時間で、旅費は1人当たり1万4080円。前日までにweb予約して決済を完了させれば割引も適応されます(2023年12月現在)。

 時間はかかるけど、安いし、何よりも楽しそう!ということで早速、乗船してみました。
 
大きな船体。白に赤のラインが映えます

船内はレトロでかわいい!

 オーシャン東九フェリーでは現在4隻のフェリーが運行中で、それぞれ四国4県の地名や名所にちなんだ名前が付けられています。私が乗ったのは「フェリーどうご」。約191mの船体は近くで見ると迫力満点で、眺めているだけでワクワクが止まりません。

 出航準備中に積荷や大型トラックが格納されていくのを、小さい子どものようにはしゃぎながら眺めていました。
 
おしゃれカフェのような船内

 船内はカフェのようにおしゃれな内装で、窓も大きくレトロな雰囲気がかわいい!ころんとした窓から見る徳島港は、全然知らない場所のように感じました。窓際に座っているだけで旅気分が高まりますね。
 
窓際の席にはコンセントもあります

 船上レストランの代わりに自販機「チンするだけ フェリー飯」がたくさん並んでいるのがオーシャン東九フェリーの特徴の一つ。種類がとても豊富で、パスタやうどんなどのご飯物から、焼き鳥などのおつまみ系、ポテトチップスやチョコレートなどのスナック菓子系などなんでも揃います。

 夕飯を選んでいるだけでも、ちょっとしたエンタメ感がありました。お酒の自販機もあるので、海を眺めながら優雅な晩酌ができちゃいます。
 
種類豊富な自販機「チンするだけ フェリー飯」

移動に疲れないのが船旅のいいところ

 フェリーに乗って、まず初に驚いたのが客室の快適さ。一番料金の安い2等洋室の相部屋でも、しっかりプライベート感のあるベッドが用意されていました。
 
2等洋室の相部屋はドミトリー形式

 ベッドの大きさは200cm×90cmで一般的なシングルベッドサイズ。大人一人がしっかり足を伸ばしてくつろげる広さがあります。枕元に読書灯とコンセントがついていて、消灯しても快適に過ごせました。

 相部屋以外にも2人部屋や4人部屋の個室もあるので、小さなお子さんを連れていても安心して家族旅行を楽しめる仕様です。
 
ベッドもゆったりサイズなのが嬉しい

 そして何と言っても、フェリー旅の最大の魅力は大浴場があること。波間を漂う感覚で、あったかいお風呂が24時間入り放題なんです。浴室には大きな湯船とシャワー台があり、シャンプーとボディソープなども一通り揃っています。

 大人10人以上は入れる湯船の横には大きな窓が。大海原をすぐそこに眺めながら、船の揺れに合わせて揺れる湯船の中で、ゆっくりとしたバスタイムを過ごせちゃいます。

 お湯の温度は体感で40度くらい。熱すぎず、ちょうどいい湯加減なので、ついつい長湯になりがちに。早朝、朝日に照らされる海を眺めながら入るお風呂は最高!の一言でした。
 
お風呂は24時間入浴可能!

もちろん景色もずっと最高!

 船内の魅力だけでお腹いっぱいになってしまいそうですが、フェリー旅の楽しみ方として「大海原を眺めてぼーっとする」も忘れてはいけません。

 甲板に出ると、船が風を切る音や波が弾ける音を聴きながら朝日や夕日を楽しめます。時たま陸地が遠くに見えることもあり、船内の運行地図と照らし合わせて、現在地を確認するのもまた楽しい作業です。
 
甲板からは360度いつでも絶景!

徳島発の便が東京・有明のフェリーターミナルに着いた時、朝日はちょうど登る頃。顔を出したばかりの太陽に照らされる首都高は神々しいほどの美しさでした。
 
早朝の太陽照らされる首都高速!

 ちなみに、東京から徳島に向かう便は夜出発なので、大都会東京の夜景を船の上から楽しめます。東京タワーやスカイツリー、レインボーブリッジなど、ポストカードのような絶景が続きました。
 
船から眺める大都会の夜景

 「東京ってこんなに綺麗だったんだな」と改めて驚くほどで、この時だけ豪華クルーズ船に乗っているような気分が味わえました。東京・有明の出航から10分ほどで東京ゲートブリッジの下を通過。SF映画のワンシーンのような光景に思わずため息が漏れたのでした。
 
SF映画のような光景に写真を撮る手がとまらない

ゆっくり進む旅の魅力

 飛行機であれば1時間半で済む距離を14時間かけて進むフェリー旅。コスパやタイパ(タイムパフォーマンス)を考えたら、もしかした非効率な旅の形かもしれません。でも船には船でしか味わえない楽しみ方があり、時間の使い方があると実際に乗ってみて感じます。

 ベッドがあったり、大浴場があったり、フェリーには自分の時間をゆっくり過ごすための仕掛けがたくさんありますが、私が一番いいなと思ったのはWi-Fiがないこと。出航してしばらくすると陸の電波が入らなくなるので、強制的にデジタルデトックス状態になります。

 現代社会で、電波から離れる時間はそうそうないですよね。スマホをみる時間を減らそうと思っても、気がつくとついついSNSを開いてしまうのは“現代人あるある”でしょうか。

 電波の届かない海の上で、ただ景色を眺めたり、友達との会話をただ楽しんだり、ただポテトチップスを食べたり、目の前にあることをただ味わうだけの時間。陸や空では味わえない“自由”がそこにある気がしました。(フリーライター・甲斐イアン)

■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
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