当てた?外した?今年の漢字──年初予想の大反省会【道越一郎のカットエッジ】
2023年1月1日、今年の漢字を「脱」だと大胆予想した。12月12日、日本漢字能力検定協会が発表した今年の漢字は「税」だった。惜しい。「へん」は外したが「つくり」は大当たりだ。「脱」も「税」もつくりの旧字は「兌」。兌換紙幣の「兌」だ。音読みでは「ダ」「エツ」など。訓読みでは「か-える」「よろこ-ぶ」など。その昔、抜き取る、脱がすという意味もあったとか。漢字で半分当たりというのはないのだが、まあ、ほぼ当たりだ! と自分には言い聞かせることにする。今年の漢字として「税」が選ばれたのは、「一年を通して増『税』議論が活発に行われた」ことや「インボイス制度やふるさと納『税』など、多岐に渡る『税』にまつわる話題が取り沙汰された」ことなどが理由だという。確かに税にかかわる話題は多かった。
一方、この年初に予測した三つの「脱」は、「脱・コロナ」「脱・戦」「脱・アクセス数主義」だった。最後の一つは、いささかこじつけに過ぎるが、まず、最初の「脱・コロナ」は無事達成できたといっていいだろう。同時にほぼ「脱・マスク」の年にもなった。喜ばしい。ようやく普通の生活に戻ることができた。イベントなど、しばらくはコロナを引きずっていたものもあったが、それも今年で終わり。24年は完全にコロナから脱することができるだろう。
2番目の「脱・戦」は、完全に外れた。22年2月に突然始まったロシアとウクライナの戦争。いいかげん終結してほしいとの願いも込めて予想したわけだが、いまだに出口が見えない。それどころか、今年はパレスチナ問題も再燃し、イスラエル・ガザ戦争ともいうべき事態も勃発。中東にも戦火が広がってしまった。人々が比較的自由に過ごしているかに見えるヨルダン川西岸地区に比べ「天井のない監獄」とも呼ばれるガザ地区。全長65キロにわたる壁に囲まれ、人や物資の出入りもままならず、普段から市民は食料や燃料の確保に苦慮しているという。そこが戦闘状態になれば、街も生活も完全に破壊されてしまう。来年こそあらためて「脱・戦」になることを願いたい。
最後の「脱・アクセス数主義」については、全く変化はなさそうだ。しかし、これはメディア側の話。受け手の側ではかなり変化してきたように思う。YouTubeやSNSで生の情報が飛び交う昨今、読者や視聴者の、メディアに対するリテラシーは明らかに向上した。情報をうのみにせず、疑わしきは自ら調査して取捨選択するという姿勢は、徐々に標準的な行動スタイルになりつつある。そして、おまけとして予想した「脱・地上波」は、この1年でさらに進行した。例えばチューナーレステレビ。一時販売が衰えたが、ここにきて再び勢いが出てきた。11月時点のテレビ全体に占める販売台数構成比は1.4%。規模こそまだまだ小さいが販売は上向いている。「地上波」はジリジリと追い詰められている。コロナ禍の呪縛から完全に解き放たれる24年。この数年で蓄積されたさまざまな変化の種が一気に芽吹く年になりそうだ。(BCN・道越一郎)
一方、この年初に予測した三つの「脱」は、「脱・コロナ」「脱・戦」「脱・アクセス数主義」だった。最後の一つは、いささかこじつけに過ぎるが、まず、最初の「脱・コロナ」は無事達成できたといっていいだろう。同時にほぼ「脱・マスク」の年にもなった。喜ばしい。ようやく普通の生活に戻ることができた。イベントなど、しばらくはコロナを引きずっていたものもあったが、それも今年で終わり。24年は完全にコロナから脱することができるだろう。
2番目の「脱・戦」は、完全に外れた。22年2月に突然始まったロシアとウクライナの戦争。いいかげん終結してほしいとの願いも込めて予想したわけだが、いまだに出口が見えない。それどころか、今年はパレスチナ問題も再燃し、イスラエル・ガザ戦争ともいうべき事態も勃発。中東にも戦火が広がってしまった。人々が比較的自由に過ごしているかに見えるヨルダン川西岸地区に比べ「天井のない監獄」とも呼ばれるガザ地区。全長65キロにわたる壁に囲まれ、人や物資の出入りもままならず、普段から市民は食料や燃料の確保に苦慮しているという。そこが戦闘状態になれば、街も生活も完全に破壊されてしまう。来年こそあらためて「脱・戦」になることを願いたい。
最後の「脱・アクセス数主義」については、全く変化はなさそうだ。しかし、これはメディア側の話。受け手の側ではかなり変化してきたように思う。YouTubeやSNSで生の情報が飛び交う昨今、読者や視聴者の、メディアに対するリテラシーは明らかに向上した。情報をうのみにせず、疑わしきは自ら調査して取捨選択するという姿勢は、徐々に標準的な行動スタイルになりつつある。そして、おまけとして予想した「脱・地上波」は、この1年でさらに進行した。例えばチューナーレステレビ。一時販売が衰えたが、ここにきて再び勢いが出てきた。11月時点のテレビ全体に占める販売台数構成比は1.4%。規模こそまだまだ小さいが販売は上向いている。「地上波」はジリジリと追い詰められている。コロナ禍の呪縛から完全に解き放たれる24年。この数年で蓄積されたさまざまな変化の種が一気に芽吹く年になりそうだ。(BCN・道越一郎)