【産業能率大学 躍進の秘密・1】 少子化をはじめ、大学を取り巻く経営環境は一層厳しくなっている。入学者数が減少し続け、学生募集の停止に至る大学も出てきている。そんな中、全国の受験生、保護者から根強い支持を受け、目覚ましい躍進を遂げている大学がある。産業能率大学、通称「産能大」だ。多彩な産学連携に取り組む「経営学部」(自由が丘キャンパス)と、最先端のIT教育を行う「情報マネジメント学部」(湘南キャンパス)を擁する。近年は「全国の高等学校の進路指導教諭が評価する大学」調査において「小規模だが評価できる大学」「面倒見が良い大学」の2部門で全国トップ 10入りを果たすなど、業界で知る人ぞ知る存在となっている。高校や塾・予備校をはじめとした教育関係者からの評価もすこぶる高い。生き残りをかけた熾烈な競争が続く中、なぜ、ここにきて産能大だけが一人勝ちともいえる躍進を遂げているのか。本連載ではその秘密に迫る。
入試例
・キャリア教育接続方式
・MI(マーケティング・イニシアティブ)方式
・AL(アクティブラーニング)方式
これらは全て入試企画部によって独自に開発され、毎年改善を繰り返しながら実施されてきた。「名は体を表す」というが、その名称からも受験生を適切に選抜するための明確な意図が見て取れる。
例えば、AL方式ではマーケティング学科の特色であるPBL(Project Based Learning)を想定し、実際の選考でもグループ討論を取り入れるなど、入学後の学びとの連動性を意識していることは明白だ。学生の受け入れを「点」ではなく「線」で捉えた、まさに入試のお手本といっていいだろう。
ほかにも「新しい時代の新しい選抜方式」がコンセプトの「未来構想方式」は、日本初「スマホ持ち込みOK」の触れ込みで一躍話題となった。従来の一般選抜のように受験生の暗記力に重きを置くのではなく、これまで養った知識や経験を活用、応用して社会課題を発見、解決する力を測ることを目的としている。大学生に欠かせない思考力が備わっているかが問われる方式といえよう。
今後、こうした事例をモデルケースとする大学はますます増えていくはずだ。その意味で、産能大には活路を模索する大学に良い意味での刺激を与え、業界全体を引っ張るリーディング・カレッジとしての役割が期待される。産能大の入試企画部が日本一と称される所以はここにある。
当然ながらメンバーには個性豊かな人材がそろうわけだが、その中にひときわ異彩を放つ男がいる。入試企画部長、林巧樹氏である。入試業務歴25年以上の経験を持つ生ける伝説だ。
管理職となった今もなお現場の第一線で指揮を執る筋金入りの企画マン。黎明期から大学を支えてきた影の立役者といえるこの男の存在は、産能大を語る上で欠かせない。
歯に衣着せぬ物言いで、裏表のない性格から大学内外問わず信頼が厚い。そんな林氏がリーダーシップを発揮することで入試に一本筋が通る。広く意見を吸い上げ、形にできる重鎮がいるからこそ、メンバーの果敢な挑戦が可能になるのだと関係者への取材を通じて痛感した。
「令和4年度大学入学者選抜における好事例集」にキャリア教育接続方式が選出された際、林氏は次のように語っていた。
「2006年11月に開設し、苦節16年ようやく多くの方々に認知いただける入試となった。初めて実施のときは、受験生3人、合格者3人だったが、今では本学をリードし、また社会で活躍する多くの人材を輩出する入試に成長した。この入試は『自己の将来構想に基づく課題解決プラン』をテーマに、プレゼンと面接によって選抜を行う、高校生にはなじみにくいもの。毎年、多くの受験生が苦心するが、それぞれの創意工夫、努力により、素晴らしいプレゼンを入試で披露してくれる。何よりも自己肯定感が高まり、ポジティブな生き方に変わる姿に涙することも少なくない。ここまで苦労したこともあったが、こうして選ばれたことで報われた思いだ。オープンキャンパスはもちろん、本学が主催するセミナー、フォーラムでもこの入試で合格したスタッフが活躍しているので、是非その姿を見ていただければ幸いだ」
入試では、あくまで受験生と大学のマッチングを見られる。「何がなんでも産能大!」と意気込む受験生に対して、大学は広く門戸を開いている。もちろん、事前に連絡は必要だろうが、今からでも平日のキャンパスに足を運んで、自分の目でリアルな大学の姿を確かめてみるのもいいいかもしれない。
入試に関して質問、相談があれば入試企画部に直接問い合わせてみよう。きっと、ていねいにサポートしてくれるはずだ。偏差値や活動実績に関係なく、我こそはと自信のある受験生は臆せず挑戦してほしい。(教育評論家・小杉樹彦)
「日本初」に挑む「日本一」の入試企画部
結論から先に書くと、注目するのは「入試」である。いわずもがな、学生募集の好不調は大学経営に直結する。各々の大学は毎年、入試を通じて学部ごとに掲げるアドミッション・ポリシー(入学者の受入方針)に合致した受験生を集めることに躍起になる。産能大の躍進は、この入試が機能しているからこそといっても過言ではない。実際、入試制度の一覧を見てみるとユニークな方式がずらりと並ぶ。入試例
・キャリア教育接続方式
・MI(マーケティング・イニシアティブ)方式
・AL(アクティブラーニング)方式
これらは全て入試企画部によって独自に開発され、毎年改善を繰り返しながら実施されてきた。「名は体を表す」というが、その名称からも受験生を適切に選抜するための明確な意図が見て取れる。
例えば、AL方式ではマーケティング学科の特色であるPBL(Project Based Learning)を想定し、実際の選考でもグループ討論を取り入れるなど、入学後の学びとの連動性を意識していることは明白だ。学生の受け入れを「点」ではなく「線」で捉えた、まさに入試のお手本といっていいだろう。
ほかにも「新しい時代の新しい選抜方式」がコンセプトの「未来構想方式」は、日本初「スマホ持ち込みOK」の触れ込みで一躍話題となった。従来の一般選抜のように受験生の暗記力に重きを置くのではなく、これまで養った知識や経験を活用、応用して社会課題を発見、解決する力を測ることを目的としている。大学生に欠かせない思考力が備わっているかが問われる方式といえよう。
今後、こうした事例をモデルケースとする大学はますます増えていくはずだ。その意味で、産能大には活路を模索する大学に良い意味での刺激を与え、業界全体を引っ張るリーディング・カレッジとしての役割が期待される。産能大の入試企画部が日本一と称される所以はここにある。
躍進を牽引する影の立役者「産能大に林あり」
とはいえ、細部まで仕組みを作り込む過程で試行錯誤があったことは想像に難くない。常識に囚われない方式の数々はいかにして生まれたのか。そこには入試企画部のたゆまぬハードワークと柔軟な発想があったことはいうまでもない。また、教員をはじめ、多くのプロフェッショナルが連携して作り上げた汗と涙の結晶といえる。当然ながらメンバーには個性豊かな人材がそろうわけだが、その中にひときわ異彩を放つ男がいる。入試企画部長、林巧樹氏である。入試業務歴25年以上の経験を持つ生ける伝説だ。
管理職となった今もなお現場の第一線で指揮を執る筋金入りの企画マン。黎明期から大学を支えてきた影の立役者といえるこの男の存在は、産能大を語る上で欠かせない。
歯に衣着せぬ物言いで、裏表のない性格から大学内外問わず信頼が厚い。そんな林氏がリーダーシップを発揮することで入試に一本筋が通る。広く意見を吸い上げ、形にできる重鎮がいるからこそ、メンバーの果敢な挑戦が可能になるのだと関係者への取材を通じて痛感した。
「令和4年度大学入学者選抜における好事例集」にキャリア教育接続方式が選出された際、林氏は次のように語っていた。
「2006年11月に開設し、苦節16年ようやく多くの方々に認知いただける入試となった。初めて実施のときは、受験生3人、合格者3人だったが、今では本学をリードし、また社会で活躍する多くの人材を輩出する入試に成長した。この入試は『自己の将来構想に基づく課題解決プラン』をテーマに、プレゼンと面接によって選抜を行う、高校生にはなじみにくいもの。毎年、多くの受験生が苦心するが、それぞれの創意工夫、努力により、素晴らしいプレゼンを入試で披露してくれる。何よりも自己肯定感が高まり、ポジティブな生き方に変わる姿に涙することも少なくない。ここまで苦労したこともあったが、こうして選ばれたことで報われた思いだ。オープンキャンパスはもちろん、本学が主催するセミナー、フォーラムでもこの入試で合格したスタッフが活躍しているので、是非その姿を見ていただければ幸いだ」
敗者復活のチャンス!年明けの一般選抜に要注目
年内の入試はすでに全日程を終えている。だが、年明けにもチャンスはある。総合型選抜、学校推薦型選抜で合格できなかった受験生にも敗者復活戦が残されているわけだ。未来構想方式もその一つだろう。一般選抜では、「合格保証」「入学金全額返還」など、受験生、保護者にとってありがたい制度が目白押しだ。入試では、あくまで受験生と大学のマッチングを見られる。「何がなんでも産能大!」と意気込む受験生に対して、大学は広く門戸を開いている。もちろん、事前に連絡は必要だろうが、今からでも平日のキャンパスに足を運んで、自分の目でリアルな大学の姿を確かめてみるのもいいいかもしれない。
入試に関して質問、相談があれば入試企画部に直接問い合わせてみよう。きっと、ていねいにサポートしてくれるはずだ。偏差値や活動実績に関係なく、我こそはと自信のある受験生は臆せず挑戦してほしい。(教育評論家・小杉樹彦)