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冬場の寝室暖房はノイルヒートがおすすめ! オイルヒーターを超えたその秘密をコロナに聞く

販売戦略

2023/12/18 19:05

 ここ数年でオイルを使わないオイルレスヒーターの発売メーカーは増え、家電量販店やECサイトでも取扱アイテム数が増加している。外見は似ているが、構造的にオイルヒーターとは似て非なるオイルレスヒーター。その暖かさの秘密を、ノイルヒートを展開するコロナに聞いた。

ノイルヒートは室内の空気を汚さず、
オイルヒーターより速暖性も高い

就寝時の空質環境を整えることは睡眠の質を向上させる

 近年、健康維持のために睡眠の質を上げることの重要性が知られるようになってきた。枕や布団、マットレスなどの寝具はもちろん、照明やアロマ、音楽なども快適な入眠をサポートするアイテムで快眠グッズとして販売されている。

 冬場の就寝時に寝室環境を整えるという点で欠かせないのが暖房だ。安全性の点からエアコンは今やスタンダードな暖房機器となっている。しかし、温風によって乾燥が進んだり、舞い上げられたハウスダストが鼻や口から侵入したりすることもある。また、風が当たることや送風時の運転音が気になるという人もいるだろう。
 
エアコン暖房は乾燥や気流が寝室使用でのネックといえる

 オイルヒーターは本体内部のオイルが電気で温められてパイプを循環し、表面パネルに熱を伝えることで部屋を暖める。エアコン暖房とは異なり、風が出ないために埃が舞わず、運転音も静か。寝室で使用するには最適な暖房機器といえるだろう。

 だが、オイルヒーターはオイルが暖まるまでに時間がかかり、電気代も高いという欠点がある。

 オイルヒーターの長所を生かしながら、短所を克服したのがオイルレスヒーターだ。外観は従来のオイルヒーターに似ているが、オイルを使用せず、各社各様の方法で速暖性能や省エネ性能を高めている。

NO OILを商品名に採用したコロナのノイルヒート

 ノイルヒートのノイルとはNO OILを縮めたネーミング。文字どおりオイルレスをうたい、ここからオイルレスヒーターの呼称が広まったといえるだろう。

 ノイルヒートの最新モデルは、9月に発売した暖房目安13畳までのDHS-1523と、10畳までのDHS-1223。初号機から一部の仕様変更はあるが、基本構造は変わっていない。
 
ホワイトベージュとシャンパンブラウンのDHS-1523(左、中)と
ホワイトベージュのDHS-1223(右)

 「新しい技術で従来のオイルヒーター以上の価値ある製品を作るため、完成までに約3年の時間がかかった」とコロナの技術本部・佐藤房俊氏は話す。

 前述のとおり、オイルヒーターは温められたオイルが循環してパネルに熱を伝えてパネルからの放熱で部屋を暖める。オイルレスヒーターはオイルの代わりの熱源から直に空気を暖めるというのが最大の違いだ。そのメリットは速暖性と細かい温度調整が可能な点、本体重量が軽いなどの点である。

ヒーターとアルミを一体成型したFIXALヒーター

 コロナでは熱源に同社が独自開発したFIXAL(フィクサル)ヒーターを採用した。FIXALヒーターとは同社の遠赤外線電気ストーブ「コアヒート」などで用いられているシーズヒーターを石油ファンヒーターなどで用いられているアルミダイキャストで一体成型したものだ。
 
シーズヒーターをアルミダイキャストで
一体成型したFIXALヒーター

 シーズヒーターは金属管で覆われたニクロム線が発熱し、高い強度を有する特徴がある。アルミは熱伝導率に優れ、鉄の3分の1程度の軽さで、アルミダイキャストは溶かしたアルミ合金などを金型に流し込み、圧力を加えて成形したものである。

 「シーズヒーターが発した熱を放熱面のパネルに無駄なく伝えるには、アルミダイキャストで一体成型することが最適と判断したが、その結論に至るまでには長い時間を要した」と佐藤氏は語る。

 シーズヒーターもアルミダイキャストもコロナの暖房機器に用いられており、その意味では自社で培ってきた技術を生かしたといえるだろう。ただし、事はそう簡単ではなく、FIXALヒーターができるまでにはシミュレーションも含めて試行錯誤の連続だったという。

 シーズヒーターはU字状に成形して発熱部の表面積が大きくなるようにし、アルミダイキャストも放熱面の表面積を増やすため、フィンの数を10枚にした。
 
U字状に曲げたシーズヒーター(左)と
10枚のアルミフィンを持つFIXALヒーター(右)

 佐藤氏は「単純に表面積を稼いで熱効率を上げるのならフィンの数は多いほうがよい。しかし、単に表面積が増えると逆に冷えてしまうのも早くなる」ため、試作を繰り返した結果、速暖性と蓄熱性を両立させた最適解が10枚のフィンだった。

 さらにヒーターとアルミダイキャストの密着では、一体成型という手法を採用した。それぞれを単に密着させるのではなく、アルミダイキャストを成形する際にヒーターも一緒に金型に入れて成形したのだ。

 この一体成型でも数多くのトライ&エラーを繰り返し、シーズヒーターとアルミダイキャストの一体成型が実現した。

 このようにして完成したFIXALヒーターは、シーズヒーターとアルミダイキャストが完全に一体化してすき間がないため、ヒーターの熱がダイレクトに放熱板のアルミフィンへと伝わり、表面のパネルを暖める。つまり、オイルの循環で放熱するオイルヒーターよりも速暖性能が大幅に向上し、軽量化で部屋から部屋への移動もラクになった。

オフセット構造で輻射と対流のハイブリッドを実現

 ノイルヒートのFIXALヒーターは縦に3段配置されているが、最下段だけ上2段とアルミフィンの位置をズラしたオフセット(段違い)構造になっている。これは表面パネルからの輻射熱とは別の対流熱をより効率的に届けるためのものだ。
 
3段目のフィンの位置を上2段とズラしたオフセット構造

 FIXALヒーターのアルミフィンは表面から熱を放出するとともに、フィン周辺の空気も暖めて暖気となる。この暖気は上昇してノイルヒート本体の天板部から抜け、対流熱となって部屋を暖める。

 オフセット構造にすることで、最下段で発生した暖気は上段のフィンにぶつかって左右に分かれ、放熱効率が高くなった。「開発ではシミュレーションに加え、本体の下にスモークを焚いて暖気の動きを目視で確認することも行い、効率だけ求めて天板部が熱くなりすぎないよう、細やかな点にも注意を払った」という。

 オイルヒーターのデメリットの一つである電気代については、控えめ運転のecoモードを搭載して省エネ性能を高めた。これもオイルレスヒーターだから実現できたといっても過言ではないだろう。

 これから本格的に寒くなってくるシーズンだ。就寝時、エアコン暖房での乾燥や風当たり、または加湿器の併用で結露が気になるという人にオイルレスヒーターはおすすめだ。家電量販店の店舗で実機をチェックしてみよう。
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