「路線バス」の8割で2023年「減便・廃止」を実施、運転手不足でダイヤの維持困難
帝国データバンク(TDB)は11月22日、30路線以上を有する全国127の路線バス運行業者(公営除く)の運行状況について行った調査・分析の結果を発表した。
ほぼすべての都道府県におけるバス路線で減便・廃止が実施され、人口密集地の首都圏でも、郊外~郊外を結ぶ路線や早朝・深夜便を中心に減便や廃止が多く目立つ。
TDBでは調査対象となった127社で運行が判明した約1万4000路線のうち、少なくとも約1割に相当する路線で減便や廃止による影響が及ぶ可能性があると推計している。
減便や廃止の理由としては、ほぼすべての事業者が「運転手(人手)不足」を挙げた。これまで、都市間高速バス路線などを廃止して維持してきたものの、運転手の高齢化や人手不足を理由に対応が限界になったことで、運行系統の整理など減便や廃止に踏み切ったケースが目立っている。
また、ドライバーの時間外労働に年960時間の上限が課される「2024年問題」に対応するためにダイヤ改正を行ったケースや、沿線の人口減による不採算化を理由としたケースもみられた。
路線バス会社における、運転手を含めた1社当たりの従業員数について調べたところ、新型コロナ禍前の19年時点と比較して、対象となる307社のうち53.1%にあたる163社で減少した。
1社当たり従業員数は、新型コロナ禍のさなかには貸し切りバス業界からの人材流入もあって1社当たり240人を超えたものの、以降は再度減少し、23年10月時点では1社あたり235人に留まっている。
ここ最近では「待遇のよい貸切観光バスに人材が流出している」といった理由から、「2024年問題」への対応も含めたダイヤ維持に必要な運転手の増員が困難になっているという。
路線バス業界における運転手不足の背景には、他業種と比較して給与水準が低いことや、長時間労働など待遇面の悪さが指摘されている。
あわせて、新型コロナ禍で落ち込んだ乗客数が完全に戻りきっていないことや、燃料費高騰による収益面での打撃も重なって、賃上げで運転手を確保する余力のあるバス会社が少ないことが挙げられる。
「2024年問題」や運転手の高齢化、人手不足で対応が限界に
調査結果によれば、運行ダイヤの改正などによって少なくとも約8割にあたる98社で2023年中に1路線以上の「減便・廃止」を実施することが明らかになっている。24年に予定・検討中の事業者を含めると計103社に上り、全体の8割超に達した。ほぼすべての都道府県におけるバス路線で減便・廃止が実施され、人口密集地の首都圏でも、郊外~郊外を結ぶ路線や早朝・深夜便を中心に減便や廃止が多く目立つ。
TDBでは調査対象となった127社で運行が判明した約1万4000路線のうち、少なくとも約1割に相当する路線で減便や廃止による影響が及ぶ可能性があると推計している。
減便や廃止の理由としては、ほぼすべての事業者が「運転手(人手)不足」を挙げた。これまで、都市間高速バス路線などを廃止して維持してきたものの、運転手の高齢化や人手不足を理由に対応が限界になったことで、運行系統の整理など減便や廃止に踏み切ったケースが目立っている。
また、ドライバーの時間外労働に年960時間の上限が課される「2024年問題」に対応するためにダイヤ改正を行ったケースや、沿線の人口減による不採算化を理由としたケースもみられた。
収益確保の見込まれる路線は増発のケースも
一方で、平日の市街地路線や休日のショッピングモール線といった、収益確保が見込まれる路線では増発を行うケースもあり、各社で戦略が分かれている。路線バス会社における、運転手を含めた1社当たりの従業員数について調べたところ、新型コロナ禍前の19年時点と比較して、対象となる307社のうち53.1%にあたる163社で減少した。
1社当たり従業員数は、新型コロナ禍のさなかには貸し切りバス業界からの人材流入もあって1社当たり240人を超えたものの、以降は再度減少し、23年10月時点では1社あたり235人に留まっている。
ここ最近では「待遇のよい貸切観光バスに人材が流出している」といった理由から、「2024年問題」への対応も含めたダイヤ維持に必要な運転手の増員が困難になっているという。
路線バス業界における運転手不足の背景には、他業種と比較して給与水準が低いことや、長時間労働など待遇面の悪さが指摘されている。
あわせて、新型コロナ禍で落ち込んだ乗客数が完全に戻りきっていないことや、燃料費高騰による収益面での打撃も重なって、賃上げで運転手を確保する余力のあるバス会社が少ないことが挙げられる。