【拝啓、徳島より・13】 田舎に住みたい!と思った時にまず考えるのが仕事と住む場所です。最近はリモートワークが普及したため、以前よりも移住における仕事の問題は小さくなっていると思います。そこで残す課題が家探し。地方都市であればポータルサイトや地元の不動産屋で情報収集もできますが、人口1万人を切るような過疎地では賃貸情報をゲットするのも至難の業です。今回は人口6000人の町に住む筆者の実体験を交えて、田舎町での家探し事情について紹介します。
そうした地域にはそもそも不動産屋がなく、物件の管理は持ち主やその親族が行っている場合がほとんどです。そのため空き家情報が出回らず、「知る人ぞ知る」状態になっています。行政が運営する空き家バンクなどに物件情報が掲載されている場合もありますが、掲載数は限られているのが実情です。
全国にある空き家の数は、2018年現在で849万戸にも上り、全住宅の約13%にもなるそうです(総務省「住宅・土地統計調査」)。田舎は空き家だらけなはずなのに、情報がない、借りられる家が少ないのはなんで?と私も疑問に思っていました。
家を探す過程で、私がみたり聞いたりした中には、例えば、下記のような理由がありました。
・普段は住んでいないが法事などの際に使っているから貸せない
・仏壇があるので人に貸せない(貸したくない)
・そもそも人に貸せるほど手入れができてない/家財道具がそのまま
・見ず知らずの人に貸すのに抵抗がある
・所有権の所在が曖昧で誰も手出しができない――など
さまざまな事情が絡み合って一筋縄にはいかないのが田舎の賃貸問題の実情のようです。
田舎で家を探す時に一番効果的なのはやはり足を使うこと。できる限り現地に行き、地域とのつながりを作りつつ情報を集めることです。遠回りのようでそれが実は一番の近道かもしれないなと、実際にやってみた感想として思います。
私が実際に試した家探しの方法は以下の三つです。
さて私がこの家をどのように見つけたかというと、まさに偶然でした。
移住したての頃は、当時働いていた会社が運営する宿泊施設で生活していたのですが、なるべく早く自分で家を借りて移る必要がありました。
そのため、移住当日から役場に相談に行ったり、町を歩き回って住めそうな空き家を探したり、文字通り足を使ってすぐに家探しを開始しました。ただ「すぐにいい家を見つけるのは難しい」と先輩移住者から聞いていたこともあり、ご縁があるまでゆっくり探せばいいかとも思っていました。
そして迎えた移住3日目。
その日は、年に一度の町民運動会の日でした。町内各地区の対抗戦で、子どもからお年寄りまで全員参加で、玉入れや綱引き、リレーなど各種熱戦が繰り広げられます。1位のチームには豪華景品も用意されているので、参加者はみんな気合い十分。会場となった町民グラウンドの熱気は、それはすごいものでした。
そんな年に一度の大イベントに、私も同僚と一緒に参加することに。同僚が住む地区のメンバーに入れてもらい地域の人と一緒に盛大に楽しませてもらいました。
移住してまだ3日目だったので、周りは知らない人ばかりです。一緒に競技をしたり、時にはビールを飲んだりしながら、「3日前に千葉から引っ越してきました」と自己紹介したり。最後に「家を探しています」とちゃっかりアピールして、たくさんの人に挨拶していきました。
その結果、あれよあれよと今の家の大家さんとつながり、その日のうちに住む家を見つけることに成功。その後、内見をして細かい条件などを大家さんと交渉して、移住1カ月後には今の家での生活をスタートさせることができました(ちなみに引っ越しも地域の人が軽トラを使って無償でやってくれました、ありがたい...)。
地域で家を探すには、まずは知り合いを作ることが大切だなと強く思った経験です。
すぐに理想の家を見つけるのは難しいかもしれませんが、意外なところからいきなり情報が入ってくることも。過程自体を楽しんでしまうことが、田舎での家探しのコツなのかもしれません。(フリーライター・甲斐りかこ)
■Profile
甲斐りかこ
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
空き家はいっぱいあるけれど...
人口が2、3万人を超えるような地方都市であれば、都市部と同じように不動産ポータルサイトや仲介業者を活用して家を探すことができます。しかし人口が1万人を切るような過疎地や限界集落ではそうはいきません。そうした地域にはそもそも不動産屋がなく、物件の管理は持ち主やその親族が行っている場合がほとんどです。そのため空き家情報が出回らず、「知る人ぞ知る」状態になっています。行政が運営する空き家バンクなどに物件情報が掲載されている場合もありますが、掲載数は限られているのが実情です。
全国にある空き家の数は、2018年現在で849万戸にも上り、全住宅の約13%にもなるそうです(総務省「住宅・土地統計調査」)。田舎は空き家だらけなはずなのに、情報がない、借りられる家が少ないのはなんで?と私も疑問に思っていました。
家を探す過程で、私がみたり聞いたりした中には、例えば、下記のような理由がありました。
・普段は住んでいないが法事などの際に使っているから貸せない
・仏壇があるので人に貸せない(貸したくない)
・そもそも人に貸せるほど手入れができてない/家財道具がそのまま
・見ず知らずの人に貸すのに抵抗がある
・所有権の所在が曖昧で誰も手出しができない――など
さまざまな事情が絡み合って一筋縄にはいかないのが田舎の賃貸問題の実情のようです。
田舎で家を探す方法は?
都市部と比べると過疎地での家探しはハードルが高くなりがちですが、手間をかけさえすれば家を見つけることはもちろん可能です。その際に大切なのが心の余裕。宝探しのような感覚で家探し自体を楽しむ姿勢が大切です。田舎で家を探す時に一番効果的なのはやはり足を使うこと。できる限り現地に行き、地域とのつながりを作りつつ情報を集めることです。遠回りのようでそれが実は一番の近道かもしれないなと、実際にやってみた感想として思います。
私が実際に試した家探しの方法は以下の三つです。
まずは役場に相談!
地域のことは役場の人が一番よく知っています。移住したい町の役場にまずは相談にいきましょう。今は東京で開催するイベントやオンラインで移住相談をしている自治体も多いので、そういった機会を活用するのもおすすめです。空き家バンクで探す
空き家バンクに掲載されている情報量は多くはないですが、それでもゼロではありません。売買物件が多いので、賃貸を見つけるのは難しいですが、まずは目星をつけて問い合わせをしてみましょう。役場の方を介して大家さんと交渉することもできたり、空き家バンクに掲載のない物件情報をくれたりすることもあります。地域のキーパーソンに紹介してもらう
一番効率が良く、かつ効果的だと思うのは、やはり地域のつながりの中から紹介してもらう方法です。空き家の詳しい情報は地域外には出回りづらいため、地域のことをよく知る人からの紹介が有効です。家主さんとの交渉もスムーズに進むことも多いため、少々ハードルは高いですが、地域のつながりをゆっくり作ることからはじめるのがおすすめです。家探し体験談:運動会で家が見つかった話
私は現在、人口6000人程度の小さな港町に住んでいます。私が住む家は築50年の2DK。南向きで太陽光がたっぷり入る家は居心地が良くて大好きです。さて私がこの家をどのように見つけたかというと、まさに偶然でした。
移住したての頃は、当時働いていた会社が運営する宿泊施設で生活していたのですが、なるべく早く自分で家を借りて移る必要がありました。
そのため、移住当日から役場に相談に行ったり、町を歩き回って住めそうな空き家を探したり、文字通り足を使ってすぐに家探しを開始しました。ただ「すぐにいい家を見つけるのは難しい」と先輩移住者から聞いていたこともあり、ご縁があるまでゆっくり探せばいいかとも思っていました。
そして迎えた移住3日目。
その日は、年に一度の町民運動会の日でした。町内各地区の対抗戦で、子どもからお年寄りまで全員参加で、玉入れや綱引き、リレーなど各種熱戦が繰り広げられます。1位のチームには豪華景品も用意されているので、参加者はみんな気合い十分。会場となった町民グラウンドの熱気は、それはすごいものでした。
そんな年に一度の大イベントに、私も同僚と一緒に参加することに。同僚が住む地区のメンバーに入れてもらい地域の人と一緒に盛大に楽しませてもらいました。
移住してまだ3日目だったので、周りは知らない人ばかりです。一緒に競技をしたり、時にはビールを飲んだりしながら、「3日前に千葉から引っ越してきました」と自己紹介したり。最後に「家を探しています」とちゃっかりアピールして、たくさんの人に挨拶していきました。
その結果、あれよあれよと今の家の大家さんとつながり、その日のうちに住む家を見つけることに成功。その後、内見をして細かい条件などを大家さんと交渉して、移住1カ月後には今の家での生活をスタートさせることができました(ちなみに引っ越しも地域の人が軽トラを使って無償でやってくれました、ありがたい...)。
地域で家を探すには、まずは知り合いを作ることが大切だなと強く思った経験です。
まずは住みたい町に行ってみよう!
都市部よりもいささかハードルの高い田舎町での家探し。まずは地域に足を運び、地域とのつながりを作りながら、焦らずじっくり取り組むことが大切です。すぐに理想の家を見つけるのは難しいかもしれませんが、意外なところからいきなり情報が入ってくることも。過程自体を楽しんでしまうことが、田舎での家探しのコツなのかもしれません。(フリーライター・甲斐りかこ)
■Profile
甲斐りかこ
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。