【学び直しとしての大学院～社会人3年目からのリスキリング入門～・1】 昨今、「リスキリング」がビジネスパーソンの間でトレンドとなっています。一度は耳にしたことのあるワードではないでしょうか。一般的にリスキリングとは、新たな分野や業務における新しいスキルの習得を指します。キャリア形成や働き方が激変する現代社会だからこそ、リスキリングの注目度が一気に高まっているわけです。あなたも時代に対応した最先端の学びが今後の成長には必要不可欠であることは十分に理解しているはずです。そこで、「学び直しとしての大学院～社会人3年目からのリスキリング入門～」と題してリスキリングについて解説していきます。連載第1回目のテーマは、「リスキリングと社会人大学院」です。

何をどう取り組めばいいの？

　一口にリスキリングといっても、さまざまな手段があります。「何をどう取り組めばいいのか分からない」と感じている人も少なくないはずです。そこで現在、特に30～40代のビジネスパーソンに人気の高い選択肢を一つ紹介します。それが「大学院」への進学です。

　いわずもがな、大学院とは専門分野について大学よりもさらに深く研究する場所です。ですから、基本的には大学を卒業した人に受験資格が与えられます。入試に合格したあかつきには、原則2年間の研究生活を通じてこれからの社会を生き抜く新たな武器の獲得を目指します。

　中には、「大学院に興味はあるけれど、自分にはハードルが高いかも……」と気後れしてしまう人もいるはずです。ですが、安心してください。大学院は思っている以上に門戸は広いのです。

　かつては、「仕事と両立しながら大学院に通うことなど到底無理！」と思われていました。ところが、昨今はそうした社会人学生に対しても学びの配慮がなされた大学院が増えてきました。専業学生以外の人にもやさしい環境へと変化しつつあるのです。

　その最たる例が、高度専門職業人の養成を目的とした「専門職大学院」の登場です。2003年に初めて創設されて以来、今では全国に100校を超える専門職大学院が開校されています。専攻分野は法律、経営、教育、情報技術などと多岐にわたります。いずれも実践の場で活躍するプロフェッショナル人材の育成に特化した教育を行うため、現場に即したスキルの習得に主眼を置いた「実学」中心のカリキュラム編成となっています。具体的には、次のような特徴を掲げている大学院が多いのです。
 

実務経験を生かせる社会人入試を実施している！

　基礎学科試験や専門科目試験の比重が高いと、入試の段階で大学院進学を断念してしまう人がいます。社会人受験生にとって少しでも受験のハードルが下がるように、これまでの実務経験を生かした選抜をはじめ、多様な入試形態を用意しています。
 

平日夜間や土日の科目履修に対応している！

　フルタイムで働いている人にとって、日中はどうしても日々の業務に追われてしまい、大学院の講義を受けることが難しいでしょう。そこで、仕事で忙しいビジネスパーソンでも無理なく通学できるように、勤務時間に配慮した科目開講時間を設定しています。
 

各地にサテライトキャンパスを開設している！

　都心などの好立地にサテライトキャンパス（大学と学生の中継地点）を設置することで、受講の障壁を下げています。万が一、打ち合わせが長引いてしまっても科目開講時間に遅刻する心配はありません。
 

オンライン受講やオンデマンド配信に対応している！

　さらに、オンライン受講に完全対応することで、学生はどこにいても講義を受けることができるようにしています。また、講義を聞き逃してしまった場合でもオンデマンド配信することにより、改めて録画視聴することができます。
 

1年で修了できる短期コースを設けている！

　標準修業期間年数について、原則2年間である前述しましたが、一定以上の実務経験者を対象に1年間で修了可能な短期コースを設けています。それにより、密度の濃い研究生活を送ることができます。
 

授業料は据え置きの長期履修制度を設けている！

　逆に諸事情により、標準修業年限で修了することが困難な社会人学生もいるはずです。そのような学生には、事前申請することで、修業年数を3年以上に延長することができます。その場合、授業料は標準修業年限分で済むケースがほとんどですので、学費負担の不安もありません。

学生の半数以上は社会人

　働きながらでも学びやすい仕組みや制度を整えることによって、実際、専門職大学院では、在籍する学生の半数以上を社会人が占めるという文部科学省のデータもあります。ぜひ、この機会に大学院への進学を検討してみてはいかがでしょうか。次回は、「大学院とキャリアアップ」について解説します。（志樹舎・小杉樹彦）