帝国データバンクは10月10日に、2023年上半期（2023年4～9月）の企業倒産件数を集計し、分析を行った結果を発表した。同分析は、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象に行われている。

2023年度上半期の企業倒産は4年ぶり4000件超

　2023年上半期に倒産した企業を業種別でみると、上半期としては2008年度以来となる15年ぶりに全7業種で前年を上回った。倒産件数は「サービス業」（1022件）がもっとも多く、以下「小売業」（885件）、「建設業」（841件）が続いている。「運輸・通信業」（217件）は、上半期としては2014年度以来9年ぶりに200件を超えた。また、「建設業」は、上半期としては2年連続で前年を上回っている。

　業種を詳細にみると、「サービス業」では「ソフトウェア開発」など「広告・調査・情報サービス」（334件）が前年から大幅に増加した。「小売業」では「飲食店」（381件）が上半期としては過去最多の2020年度に迫る件数となったほか、「建設業」では「内装工事」など「職別工事」（384件）の増加が目立っている。
 
　倒産の主因別では、「販売不振」（3312件）が最多となり、「業界不振」（40件）などを含めた「不況型倒産」の合計は3377件に達した。
 
　倒産態様別でみると、「清算型」倒産の合計は4093件、「再生型」倒産は115件となっている。「清算型」では「破産」（3959件）がもっとも多く、「特別清算」（134件）は上半期としては2年ぶりに前年を上回った。「再生型」では、「民事再生法」が115件発生し、個人事業主（77件）は2年連続で前年を上回ったが、法人（38件）は2年連続で前年を下回っている。
 
　負債規模別では、「5000万円未満」の倒産（2424件）が最多となる一方で、「100億円未満」が14件、「100億円以上」が10件と、大型倒産の増加が目立った。資本金規模別では、「1000万円未満（個人事業主含む）」の倒産が2868件発生している。
 
　業歴別でみると、「30年以上」（1355件）がもっとも多く、そのうち老舗企業（業歴100年以上）の倒産は46件発生し、上半期としては3年ぶりに前年を上回った。業歴10年未満の「新興企業」の倒産は1230件で、上半期としては10年ぶりに1200件を超えている。業種別でみると、「サービス業」が最少で、「小売業」「建設業」がそれに続いた。
 
　地域別では、上半期としては2008年度以来、15年ぶりに全9地域で前年を上回っている。「北海道」「東北」「関東」「九州」では、新型コロナ禍前の2019年度上半期の件数を超えた。また、「近畿」では「小売業」の倒産が前年同期から7割以上増加し、とりわけ「飲食店」の増加が目立っている。
 
　2023年度上半期の「ゼロゼロ（コロナ）融資後倒産」は、前年より58.0％増の324件発生しており、年度半期ベースで過去最多を更新した。実際の融資額が判明した約330社のゼロゼロ融資借入額の平均は約5800万円と、「不良債権（焦げ付き）」に相当するゼロゼロ融資喪失総額は推計で約596億1700万円にのぼっている。
 
　2023年度上半期の「人手不足倒産」は、前年より104.5％増の135件発生した。業種別では、「建設業」がもっとも多く、以下「サービス業」「運輸・通信業」が続いている。
 
　2023年度上半期の「後継者難倒産」は、前年より23.7％増の287件発生したほか、「経営者の病気・死亡」による倒産が全体の約4割を占めるなど、後継者の選定ができずに代表者が活動できなくなり倒産となった企業が目立った。
 
　2023年度上半期の「物価高（インフレ）倒産」は、前年より142.4％増の383件発生しており、主因別では「原材料」や「エネルギー」コスト高騰などが多数を占めたものの、「人件費」の上昇による倒産が前年同期の約3倍となっている。