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家電量販店の9月売上高は上新電機の21%増からコジマの8%減まで異なる業績に

 月次売上高(速報ベース)を発表している家電量販店の9月売上高が出揃った。9月は異例ともいえるほど残暑が続き、エアコンの販売自体は各社とも好調だった。しかし、その他の商品では企業間で差が生じ、その結果、9月売上高は前年実績を大きく上回る企業もあれば、前年割れとなった企業もあるという販売状況だった。

ヤマダHDのデンキセグメントの
9月売上高は前年同月比104.1%

上新電機の9月売上高は前年同月比121.0%と前年実績を大きく上回る

 ヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)は9月の月次速報を発表。月次売上高の公表企業は5社から6社に増えた。ただし、ヤマダHDの月次速報は同社のセグメント別となっており、企業全体での業績は公開されていないため、ここではデンキセグメントのみ取り上げていることに留意されたい。また、商品別の数値も公表されていない。

 全体売上高の速報値によると、9月は上新電機が前年同月比121.0%と他社を大きく上回る実績となっており、ヤマダHDが同104.1%、ビックカメラが同103.5%で、この3社は前年同月実績プラスとなった。

 一方、ケーズHDは前年同月比98.7%、エディオンは同98.1%、コジマも同92.1%で、この3社は前年割れだった。

 上新電機は公表している商品群のすべてで前年実績を大きく上回り、4~8月までの各月で前年割れが続いていたテレビやパソコン、冷蔵庫なども前年同月2桁増を記録した。これは10月5日に既報したが、阪神タイガースのリーグ優勝が売上高伸長に大きく貢献したものと推測される。

 阪神タイガースがリーグ優勝を遂げたのは実に18年ぶり。長年、阪神タイガースのスポンサーである上新電機は優勝を起点としたセールを実施。リーグ優勝が決まったのは9月14日で、中旬以降の売上高が大きく伸長したものと思われる。
 
9月売上高は3社が前年プラスで、
3社が前年マイナスとなった

 3月決算の家電量販企業にとって9月は上期の決算月にあたる。あくまで速報値ベースだが、ヤマダHDの上期は前年同期比101.5%で前年実績を上回った。しかし、エディオンは同99.6%、ケーズHDも同98.4%と前年実績を下回った。上新電機は9月単月の大幅伸長で同100.7%まで業績が回復した。

残暑が長引きエアコン売上高は9月も好調に推移

 各社の商品別売上高で、共通して数値を発表している商品の9月の販売状況はどうだったか。長期の販売低迷状態が続くテレビは上新電機が前年同月比151.1%、前年同月の1.5倍という驚異的な実績を記録した。しかし、その他の各社を見ると前年割れが継続している状況だ。

 エディオンの9月のテレビ売上高は前年同月比88.2%と前年2桁減で、ケーズHDは同93.2%、コジマも前年2桁減の同81.2%。上期累計ではエディオンが前年同期比90.8%、ケーズHDが同92.3%、上新電機のみが同100.7%で前年実績プラスとなっている。
 
上新電機は8月までの累計では
前年割れだったが9月の大幅躍進で上期は前年プラス

 9月の平均気温は過去最高を記録し、残暑の期間も非常に長かった。この異常気象ともいえる高温が続いたことにより、エアコンの販売も好調に推移。全社とも前年同月実績を大きく上回った。

 上新電機の9月エアコン売上高は前年同月比160.7%で、コジマは同143.1%、ケーズHDは同139.2%、エディオンが同116.8%と各社とも前年2桁増。特筆すべきは前年9月も残暑の影響で2022年9月のエアコン売上高は120~130%だったのだ。昨年の高い伸びに対して、今年の9月はさらに伸長したことが分かる。
 
9月のエアコン売上高は2年続けて大きく伸長した

 エアコンの上期累計売上高はエディオンが前年同期比105.5%、ケーズHDが同102.6%と前年実績を上回ったが、上新電機は4~6月累計が同74.4%と低調だったため、上期累計は同97.8%で前年実績に届かなかった。

白物は足踏み状態が継続

 このところ冷蔵庫の販売は足踏み状態が続いており、上新電機は前年同月比147.0%と伸長したが、その他の各社は前年割れとなった。エディオンは同96.8%で、ケーズHDは同89.5%、コジマも同95.7%である。

 冷蔵庫は趣味嗜好品とは異なり生活必需品のため、一定の買い替え需要自体はあり、世帯数も増加基調にある。しかし、内閣府の消費動向調査を見ると冷蔵庫の平均使用年数は徐々に長くなっている。使用している期間が長くなれば、次の買い替え時期が遅くなる。

 さらに現在は諸物価や製品価格の上昇という逆風も吹いている。このような背景から冷蔵庫の販売は停滞しているのではないかと考えられる。

 冷蔵庫の上期累計は上新電機が前年同期比101.0%で前年実績プラスとなったものの、エディオンは同98.7%、ケーズHDも同94.1%で前年割れとなっている。
 
セール効果で上新電機の
9月の冷蔵庫売上高は著しく伸長した

 その他の商品を見ると、洗濯機は明暗が分かれた。上新電機の9月洗濯機売上高は前年同月比134.3%で、ここにはクリーナーも含まれているが前年実績を上回り、エディオンも同108.2%と前年プラス。だが、ケーズHDは同94.5%、コジマも同93.9%と前年実績を下回った。

 パソコンの9月売上高はエディオンが前年同月比84.8%で、ケーズHDは同80.9%、コジマも同84.0%と厳しい状況だったが、上新電機は同120.2%と伸長した。

 上期の初月となる10月も中旬となった。前年同月比の母数となる昨年10月はエディオンが前年同月比101.5%だったが、その他の各社は同97~99%台。全体的に製品価格が上昇する中、買い替えや新規購入を促進する各社の取り組みに期待したい。
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