【スマートホーム入門ガイド・1】「未来の暮らしってもうここまで実現しているんですね!」。スマートホームを導入したマンションに実際に住んだ人の多くが、このような感想を持つ。彼らがスマートホームの魅力に触れ、驚嘆する様子はまさに未来の到来を予感させる。例えば、スマートホームが導入された部屋に住むと、帰宅する前に浴槽に湯張りされ、エアコンが最適な温度で作動する、など、快適な空間が用意されており、正に暮らしは一変する。この連載では、「スマートホーム入門ガイド」として導入から活用事例までを解説していく。
スマートホームの分野には、パナソニックやLIXIL、三菱地所など、大手の家電メーカーや住宅設備メーカー、不動産ディベロッパーなどが積極的に参入している。国外では「GAFAM」に代表されるビッグテック企業も積極的に普及に取り組んでおり、さまざまな業界のプレーヤーがこのスマートホーム領域に多大な投資を行っている。筆者も、そんなスマートホームの開発に取り組む一人である。
ちなみに、似たような言葉として「スマートハウス」がある。スマートハウスは住宅の省エネ化を前提においた住宅のことを指しており、スマートホームと別の概念であることに注意してほしい。
調査によると、スマートホームの内容認知率(名称と内容を両方知っている人)は37.2%という結果であった。同様の趣旨で行った2019年の調査では、内容認知率はわずか12.9%に過ぎなかったため、数年で大幅な伸びを記録した。
導入率はどうか。スマートホームを導入しているのは4%。この結果をみると、スマートホームの利用者はまだまだ少ないと感じるかもしれない。しかし、19年の調査で利用率がわずか1.8%であったことを考えると、こちらも数年で大幅に伸びているといえる。
さらに、直近3年間で前年比約150%の成長が確認されており、この勢いが持続すれば、26年には導入率が19%に達するものと予測される。新製品が市場で本格的な普及を始める際の閾値である16%の普及率、いわゆるキャズムを超える可能性が高まっているのだ。
スマートホームの認知度や導入率の向上につながったアイテムの一つとして、スマートスピーカー、特にAmazonが提供する「Alexa(アレクサ)」が挙げられる。「アレクサ、おやすみ」と、スマートスピーカーのアレクサに声で指示をして家電を動かす様子がテレビCMで全国に一斉に放送され、近未来の暮らしの姿を想像した人も多いのではないだろうか。
ちなみに、スマートホームで最先端を走る米国は普及率35.6%と高水準(参考:住宅新報「特別寄稿 スマートホーム 暮らしに与える変化」)。これと比較すると、日本での普及はまだまだこれからだろう。着実な成長を示す調査結果から、スマートホーム市場が今後一層の発展を遂げることは間違いない。
性別や年齢に関する部分から述べると、サンプル全体と比較して導入層は男性に偏っており、平均年齢も若いことが判明した。また、職業は会社員(技術系)が23.3%となっており、平均年収もサンプル全体より約120万円高い結果となっている。技術系の職業に従事することからテクノロジーに関する豊富な知識とスキルを持っている可能性が高く、年収帯も高いことから、スマートホームの導入に対する障壁が比較的少ないことが想像される。これが高い導入率の背後にある要因の一つではないだろうか。
今後、スマートホームがキャズムを超えて普及するためには、このような偏りがなく男女を問わず認知されて容易に使い始められることや、導入費用がさらに安価になるといった要素が必要となってくるだろう。
今回は、スマートホームの基礎となる定義や、認知度・導入率など市場動向について解説した。次回以降、初心者におすすめのスマートホーム機器や、スマートホームを導入する際に気になるお金の話なども紹介していく。(アクセルラボ・青木継孝)
スマートホームって何?
スマートホームとは、家中の電化製品や住宅設備がインターネットにつながり、スマホや音声で操作することができる仕組みのことだ。具体的な使用例をあげると、「起床時に寝室のベッドの中からリビングのエアコンをつける」「カーテンを開ける」「外出時に鍵をかけ忘れていないか遠隔から確認してその場で施錠する」「留守番するペットのために仕事先からエアコンや照明を操作する」といったように現在の生活で生じるストレスや困りごとを一つ一つ解消する手段となる。また、ホームセキュリティサービスや住宅のエネルギーマネジメント、ヘルスケア領域との融合など、住宅にさまざまな役割や機能を与える存在にもなる。スマートホームの分野には、パナソニックやLIXIL、三菱地所など、大手の家電メーカーや住宅設備メーカー、不動産ディベロッパーなどが積極的に参入している。国外では「GAFAM」に代表されるビッグテック企業も積極的に普及に取り組んでおり、さまざまな業界のプレーヤーがこのスマートホーム領域に多大な投資を行っている。筆者も、そんなスマートホームの開発に取り組む一人である。
ちなみに、似たような言葉として「スマートハウス」がある。スマートハウスは住宅の省エネ化を前提においた住宅のことを指しており、スマートホームと別の概念であることに注意してほしい。
スマートホームの認知度・導入率はどれくらい? 市場は急速拡大するか
スマートホームアプリを開発する当社は、今年4月に「スマートホームに関する実態調査」を行い、一般消費者618人から回答を得た。調査によると、スマートホームの内容認知率(名称と内容を両方知っている人)は37.2%という結果であった。同様の趣旨で行った2019年の調査では、内容認知率はわずか12.9%に過ぎなかったため、数年で大幅な伸びを記録した。
導入率はどうか。スマートホームを導入しているのは4%。この結果をみると、スマートホームの利用者はまだまだ少ないと感じるかもしれない。しかし、19年の調査で利用率がわずか1.8%であったことを考えると、こちらも数年で大幅に伸びているといえる。
さらに、直近3年間で前年比約150%の成長が確認されており、この勢いが持続すれば、26年には導入率が19%に達するものと予測される。新製品が市場で本格的な普及を始める際の閾値である16%の普及率、いわゆるキャズムを超える可能性が高まっているのだ。
スマートホームの認知度や導入率の向上につながったアイテムの一つとして、スマートスピーカー、特にAmazonが提供する「Alexa(アレクサ)」が挙げられる。「アレクサ、おやすみ」と、スマートスピーカーのアレクサに声で指示をして家電を動かす様子がテレビCMで全国に一斉に放送され、近未来の暮らしの姿を想像した人も多いのではないだろうか。
ちなみに、スマートホームで最先端を走る米国は普及率35.6%と高水準(参考:住宅新報「特別寄稿 スマートホーム 暮らしに与える変化」)。これと比較すると、日本での普及はまだまだこれからだろう。着実な成長を示す調査結果から、スマートホーム市場が今後一層の発展を遂げることは間違いない。
年収は高め? 現在導入している人の平均的なプロフィール
身の回りに、スマートホームを使っている人はいるだろうか。スマートホームを導入しているのはいったいどんな人なのか、調査結果から人物像をプロファイリングしてみた。性別や年齢に関する部分から述べると、サンプル全体と比較して導入層は男性に偏っており、平均年齢も若いことが判明した。また、職業は会社員(技術系)が23.3%となっており、平均年収もサンプル全体より約120万円高い結果となっている。技術系の職業に従事することからテクノロジーに関する豊富な知識とスキルを持っている可能性が高く、年収帯も高いことから、スマートホームの導入に対する障壁が比較的少ないことが想像される。これが高い導入率の背後にある要因の一つではないだろうか。
今後、スマートホームがキャズムを超えて普及するためには、このような偏りがなく男女を問わず認知されて容易に使い始められることや、導入費用がさらに安価になるといった要素が必要となってくるだろう。
今回は、スマートホームの基礎となる定義や、認知度・導入率など市場動向について解説した。次回以降、初心者におすすめのスマートホーム機器や、スマートホームを導入する際に気になるお金の話なども紹介していく。(アクセルラボ・青木継孝)