【拝啓、徳島より・12】徳島と高知の山間部でのみ栽培され、その希少性から「幻の柑橘」とも呼ばれる「柚香(ゆこう)」。その果汁は「ゆこうの酢」と呼ばれ、古くから地元の人たちに愛されてきました。刺身にかけても、煮付けに入れても、サラダのドレッシング代わりにしても美味しい徳島の味を紹介します。
県外に流通する量はごくわずかですが、徳島県内ではスダチや柚子と並び、とてもポピュラーな果物です。柚香を使ったスイーツや調味料などをスーパーや土産物屋さんで目にすることも多々あります。
柚香はレモンに似た明るい黄色で、丸い実は柚子よりも一回りほど大きいのが特徴。柚子やスダチと比べると糖度が高く、地元では昔から「香ユズ、酸味スダチ、味ユコウ」と言われるほど。酸味が強すぎないので、絞った果汁をお酢代わりにしたり、他の調味料と合わせてポン酢を作ったり、生活に欠かせないものとして重宝してきました。
徳島に移住してすぐに、ゆこうの酢を地元の人から教えてもらい、以来ずっと我が家の冷蔵庫でストック切れしたことはありません。私が柚香好きというのもありますが、季節になると地元の人が「ゆこう、いるかい?」と補充をしにきてくれるからです。しかも、「これと一緒に食べて」と言わんばかりに、魚や野菜とセットで。ありがたすぎる日常です。
ある年なんかは、2リットルのペットボトルにフル満タンのゆこうの酢をいただいてびっくり。友人におすそ分けしたり、実家に送ったりもしつつ、風味が損なわれないうちに、全部しっかりおいしくいただくことができました。
まず定番の使い方として、刺身にかける。醤油に少し、ゆこうの酢を垂らしていただきます。徳島では刺身にスダチをかけて食べるのが定番なので、スダチの代わりにと思い試してみたら、やっぱり相性は抜群でした。
魚だけでなく、生牡蠣にかけるのもおすすめです。オイスターバーでレモンやライムを絞るのが好きな方は多いと思いますが、ぜひ徳島で「柚香×生牡蠣」を試してみてください。徳島県南部で養殖される「海部牡蠣」は身がぎゅっとつまっていて、天然の塩味と柚香のまろやかな酸味が口の中で合わされば、「最高!」と思わず叫びたくなるほどのおいしさです。
そして、忘れてはいけないのが干物や焼き魚。漁師町では漁師さんが複業の一つとして干物屋さんをやっている場合もあり、私もお世話になってる方から定期的に購入させていただいています。一般にはあまり流通しない魚も多く、中にはウツボなども珍味も。じっくり弱火で焼いて、お好みで醤油や塩、そしてゆこうの酢をかけていただきます。この町でしか食べられない味に毎回うっとりしてしまいます。
例えば、いつものハイボール。レモンやライムのスライスや果汁を入れることが多いと思いますが、私はよく、ゆこうの酢を使います。ウイスキーを炭酸水で割ったらゆこうの酢を少し。レモンよりもまろやかな酸っぱさが、ウィスキーによく合うのです。ハードリカーが苦手な人には特におすすめしたい飲み方です。
また、ジンやウォッカをソーダやトニックウォーターで割ってから、最後にゆこうの酢を入れて即席カクテルを作ることも。爽快感溢れる飲み心地で、湿気の多い日やお風呂上がりに飲むと最高です。
もちろんノンアルコールも楽しみ方はたくさんあります。私のお気に入りは、自家製の柚子ジャムに、ゆこうの酢を入れて、最後にお湯で割った「柚子ティー」です。寝る前のリラックスタイムに最適です。
アイスドリンクとしては「柚香・梅ソーダ」がおすすめ。氷の入ったグラスに梅シロップとソーダを入れて、最後にゆこうの酢を少々。何杯もおかわりしちゃうおいしさです。
季節ごとに旬の果物を組み合わせて作るオリジナルドリンクは、日々の楽しみの一つでもあります。家の果物のラインアップに季節の移ろいを感じられるのもまた、田舎暮らしのいいところだなと思います。
秋から冬にかけて県内の道の駅や物産館で購入することも可能なので、「幻の味」を求めにぜひ徳島に遊びにきてみてはいかがでしょうか。「ゆこうの酢」もお土産として購入できるので、自分だけのオリジナルな楽しみ方を見つけてみてください。(フリーライター・甲斐りかこ)
■Profile
甲斐りかこ
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
99%が徳島県産。幻の柑橘「柚香(ゆこう)」
柚香(ゆこう)は、約200年ほど前にユズとダイダイの自然交配によって生まれた柑橘です。生産量は極めて少なく、年間でわずか100~500トン程度。柚子の年間生産量と比べるとわずか100分の1ほどしかありません。県外に流通する量はごくわずかですが、徳島県内ではスダチや柚子と並び、とてもポピュラーな果物です。柚香を使ったスイーツや調味料などをスーパーや土産物屋さんで目にすることも多々あります。
柚香はレモンに似た明るい黄色で、丸い実は柚子よりも一回りほど大きいのが特徴。柚子やスダチと比べると糖度が高く、地元では昔から「香ユズ、酸味スダチ、味ユコウ」と言われるほど。酸味が強すぎないので、絞った果汁をお酢代わりにしたり、他の調味料と合わせてポン酢を作ったり、生活に欠かせないものとして重宝してきました。
万能調味料「ゆこうの酢」
柚香の果汁のことを、徳島県では「ゆこうの酢」と呼びます。スダチほど酸味が強すぎず、オレンジやみかんほど糖度も高くありません。ふんわりとしたやわらかい味わいで、酸っぱすぎず、甘すぎず、どんな料理にも合わせられるバランスの良さが、ゆこうの酢の一番の魅力です。徳島に移住してすぐに、ゆこうの酢を地元の人から教えてもらい、以来ずっと我が家の冷蔵庫でストック切れしたことはありません。私が柚香好きというのもありますが、季節になると地元の人が「ゆこう、いるかい?」と補充をしにきてくれるからです。しかも、「これと一緒に食べて」と言わんばかりに、魚や野菜とセットで。ありがたすぎる日常です。
ある年なんかは、2リットルのペットボトルにフル満タンのゆこうの酢をいただいてびっくり。友人におすそ分けしたり、実家に送ったりもしつつ、風味が損なわれないうちに、全部しっかりおいしくいただくことができました。
柚香と海鮮は相性がいい
さまざまな料理に合うゆこうの酢。私がこれまで試した活用方法の中から、特におすすめのいくつかを紹介しましょう。まず定番の使い方として、刺身にかける。醤油に少し、ゆこうの酢を垂らしていただきます。徳島では刺身にスダチをかけて食べるのが定番なので、スダチの代わりにと思い試してみたら、やっぱり相性は抜群でした。
魚だけでなく、生牡蠣にかけるのもおすすめです。オイスターバーでレモンやライムを絞るのが好きな方は多いと思いますが、ぜひ徳島で「柚香×生牡蠣」を試してみてください。徳島県南部で養殖される「海部牡蠣」は身がぎゅっとつまっていて、天然の塩味と柚香のまろやかな酸味が口の中で合わされば、「最高!」と思わず叫びたくなるほどのおいしさです。
そして、忘れてはいけないのが干物や焼き魚。漁師町では漁師さんが複業の一つとして干物屋さんをやっている場合もあり、私もお世話になってる方から定期的に購入させていただいています。一般にはあまり流通しない魚も多く、中にはウツボなども珍味も。じっくり弱火で焼いて、お好みで醤油や塩、そしてゆこうの酢をかけていただきます。この町でしか食べられない味に毎回うっとりしてしまいます。
「ゆこうの酢」は晩酌時にも使える!
食べ物以外にも使えるのが柚香のいいところです。お酒やノンアルコールカクテル、ティータイムなど、さまざまなシーンの「味変」に使えます。例えば、いつものハイボール。レモンやライムのスライスや果汁を入れることが多いと思いますが、私はよく、ゆこうの酢を使います。ウイスキーを炭酸水で割ったらゆこうの酢を少し。レモンよりもまろやかな酸っぱさが、ウィスキーによく合うのです。ハードリカーが苦手な人には特におすすめしたい飲み方です。
また、ジンやウォッカをソーダやトニックウォーターで割ってから、最後にゆこうの酢を入れて即席カクテルを作ることも。爽快感溢れる飲み心地で、湿気の多い日やお風呂上がりに飲むと最高です。
もちろんノンアルコールも楽しみ方はたくさんあります。私のお気に入りは、自家製の柚子ジャムに、ゆこうの酢を入れて、最後にお湯で割った「柚子ティー」です。寝る前のリラックスタイムに最適です。
アイスドリンクとしては「柚香・梅ソーダ」がおすすめ。氷の入ったグラスに梅シロップとソーダを入れて、最後にゆこうの酢を少々。何杯もおかわりしちゃうおいしさです。
季節ごとに旬の果物を組み合わせて作るオリジナルドリンクは、日々の楽しみの一つでもあります。家の果物のラインアップに季節の移ろいを感じられるのもまた、田舎暮らしのいいところだなと思います。
徳島で「幻の柑橘」を味わってみては?
徳島でしか味わえない幻の柑橘「柚香(ゆこう)」。収穫のピークは10月頃で、まさにこれから旬がはじまります。秋から冬にかけて県内の道の駅や物産館で購入することも可能なので、「幻の味」を求めにぜひ徳島に遊びにきてみてはいかがでしょうか。「ゆこうの酢」もお土産として購入できるので、自分だけのオリジナルな楽しみ方を見つけてみてください。(フリーライター・甲斐りかこ)
■Profile
甲斐りかこ
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。