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コジマ、23年8月期第3四半期は巣ごもり需要の反動減と販管費増加で減収減益に

経営戦略

2023/07/21 12:00

 コジマの第3四半期累計(2022年9月1日~23年5月31日、以下3Q)決算が発表された。減収で粗利益は売上高以上の減少率となったが、販管費は増加。その結果、営業利益や経常利益も前年同期から半減した。

コジマの3Qは洗濯機が前年プラスで推移したが、
その他の主要商品は前年割れ

売上高は前年同期比96.3%だが利益面は大きくダウンし営業利益率は1.6%に

 20年1月から発生した新型コロナウイルスの感染拡大は、家電量販店にさまざまな影響を与えた。当初は営業活動に支障が生じたが、巣ごもり需要やテレワーク需要などが生まれ、さらに遠出を嫌ったお客はターミナル立地の店舗ではなく、郊外店舗での購入にシフトした。

 同じ企業グループのビックカメラとコジマは、コロナ禍により集客を基盤とする営業活動で明暗が分かれ、それは実績にも反映された。だが、時間の流れとともに創出された二つの需要は反動減をもたらし、ターミナル店舗にはお客が戻ってきたが、商圏が固定されている郊外店舗にはアゲインストの風が吹いている。

 コジマの3Qの売上高は2014億5200万円(前年同期比96.3%)で、粗利益は530億5400万円(94.5%)。売上高より粗利益の減少率の方が高く、さらに販管費は100.3%と伸長したため、営業利益は32億4700万円(49.9%)、経常利益は34億6400万円(50.8%)と前年実績から半減。四半期純利益も21億6800万円(48.6%)と厳しい業績となった。
 
売上高の減少率は前年同期比数%だが、
利益面では前年から大きくダウン

 3Qの実績を各指標で見ると、粗利益率は前年同期の26.8%から26.3%へダウン。減収と販管費増により、売上高販管費率は23.7%から1.0ポイントアップの24.7%。営業利益率は3.1%から1.6%、経常利益率も3.3%から1.7%へと利益率は大きくダウンした。
 

店頭販売は微減だが、ECは前年2桁減と低迷

 売り上げをつくる販売チャネルは店舗とEC、法人事業所の三つに大別できる。新店や閉店も含めた店舗の売上高は前年同期比99.3%で、実は微減レベルだ。前年の3Q売上高構成比で16.5%を占めていたECは同89.6%と2桁減で、同様に5.6%の売上高構成比だった法人事業所は同76.2%とダウンした。

 減収を販売チャネル別で見ると、需要反動減や物価上昇が進む中でリアル店舗は健闘したが、その他の販売チャネルが足を引っ張ったといえるだろう。ただし、23年3月1日~5月31日の第3四半期のみを見ると、法人事業所は99.5%。復調の兆しは見えている。
 
減収要因は店舗売上ではなく、ECやビジネス領域

 3Qを商品別で見ると、音響映像商品は88.2%の2桁減で、家庭電化商品も92.8%と前年実績を下回った。情報通信機器は101.0%と伸長したが、この要因は携帯電話で、パソコンやパソコン関連が前年割れとなる中で前年2桁増となっている。

 家電商品は厳しい状況だったが、親会社のビックカメラと同様にゲームやスポーツ用品、工事などの非家電は113.4%と好調だった。
 
「その他の商品」は前年同期比で約26億円の増収となっている

 コジマでは集客力を強化し、接客力・専門性の強化と業務効率の改善で収益性向上に取り組んでいる。また、住設事業の強化を図り、店舗で住設関連売り場の配置も進めている。通期予想に対してどこまでクリアできるかはこの第4四半期の業績次第だ。(BCN・風間 理男)
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