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ビックカメラとCAMPFIREの「ビック FIRE」、リアル店舗とクラファンの相乗効果あり

経営戦略

2023/07/15 19:00

 ビックカメラとクラウドファンディングのCAMPFIREの共同運営による「ビック FIRE」は、2022年3月のプロジェクト開始から1年が経過。リアル店舗とクラファンの相乗効果が見込めるとしてビックカメラは23年6月26日から、有楽町店を含む全国13店舗で特設コーナーを設置するなど事業を加速させている。

ビックカメラ有楽町店1階にある
「ビック FIRE」の特設コーナー

プロジェクトスタートから1年経って見えてきたこと

 「ビック FIRE」は、リアル店舗とクラウドファンディング(クラファン)を融合した事業として、ビックカメラとCAMPFIREが2022年3月に共同運営でスタートした。CAMPFIRE単独のプロジェクトとは異なり、目標支援総額に達成したプロジェクトをビックカメラの店頭で販売できるメリットがある。

 第一弾として、同年9月30日~12月の3カ月にわたりビックカメラ有楽町店で16アイテムを展示したところ、「実際に商品を見てみたかった」と喜ぶ顧客が多かったという。期間中、100社を超える応募があり盛況に終わった。

 ビックカメラ 商品企画部新規開拓の松井篤志次長は「ビックカメラにとっても駅前立地のメリットが活かせ、これまで扱っていなかった先進的で話題性のある商品を展示できる。店舗の入口で多くのお客様に足を止めていただきアピールできた」と語り、ビック FIREの店頭での集客効果に手応えを感じたという。
 
ビック FIREを統括するビックカメラ 商品企画部新規開拓の松井篤志次長

13店舗で先進的な商品が続々と登場

 第二弾となる今回は、有楽町店のほか池袋本店、新宿東口店、新宿西口店、ラゾーナ川崎店、立川店、赤坂見附駅店、藤沢店、札幌店、なんば店、名古屋駅西店、名古屋JRゲートタワー店、天神2号館の全国13店舗に特設コーナーを設置。期間も12月までの半年間に延長し、その間に商品を入れ替えながら展示していく。

 どのような商品が展示されているのか少し見ていこう。コーナーで目立つのは乗馬スタイルで座る「AZAYAKA JAPAN ホースライディングチェア」(3万9800円)。前後左右に8度スイングすることで、座ったときの快適さを得ながら正しい姿勢にしたり、体幹を鍛えたりする。

 「AI機能搭載フィットネスバイク Snailcle Bike」(14万3000円)は、スマホやタブレット端末、テレビなどと接続してバーチャル風景を見ながら走行できる。こうしたフィットネスバイクはよく見かけるが、Snailcle Bikeは坂道を上る際にハンドルが上がり、サドルは下がり、ぺダルの負荷が増す。下り坂はその逆に動くなど、AI機能を使った動きで、より臨場感や没入感が楽しめるのだ。
 
「AZAYAKA JAPAN ホースライディングチェア」(左)と
「AI機能搭載フィットネスバイク Snailcle Bike」(右)

 小物商品もある。例えば「開けない名刺入れ slide thumb 30」(7920円)は、親指をスライドさせるだけで名刺を取り出せる。ビジネスシーンにおける名刺交換で、なかなか名刺を取り出せずに焦ることなく、スマートに取り出せる。インバウンドのお客が商品を見て購入するケースもあるという。
 
「開けない名刺入れ slide thumb 30」

 他にも、「papakoso パパバッグ」という抱っこ紐も扱っている。通常は普通のバッグとして使い、休日などは中から抱っこ紐を取り出す。赤ちゃん用抱っこ紐は母親用にサイズを調整しているため、休みの時だけ父親が使うとサイズが変わってしまい、使い終わったら元のサイズに戻さなければいけないという課題があった。パパバッグがあれば、父親のバッグを抱っこ紐に早変わりさせることができるというわけだ。
 
「papakoso パパバッグ」

 また、2022年度に評価の高かった採用商品も展示。「Dental Light 歯っぴー」(968円)は、歯に光を当てるだけで歯垢が分かる。きちんと歯を磨けているか簡易的にチェックできるアイテムで、1000円以下で購入できる手ごろ感も受けているとのこと。
 
「Dental Light 歯っぴー」

家電量販店で広がるクラファンとの連携

 「第二弾のビック FIREでは、年初から募集をかけて100社を超えるアイテムが集まった。その中から厳選した商品を展示している。売り上げが良ければ他の店舗で展開したり、期間終わった後でも継続して展開したりしていきたい」と松井次長はビック FIREの今後の展開に期待を寄せる。

 家電量販店ではエディオンがMakuakeと共同で「マクアケショップ」をエディオンのネットショップや一部の店舗で展開したり、5月にはヨドバシカメラが「Makuake Shop」をマルチメディアAkibaやマルチメディア梅田、ヨドバシ・ドット・コムで展開したりするなど、リアル店舗とクラファンの相乗効果を狙う取り組みが広がっている。

 ネットではわからない素材の感触や重さ、サイズ、使い勝手などの不安を、リアル店舗なら払拭できる。ビック FIREの取り組みからもわかるように、リアル店舗とクラファンの相性の良さは実証されているようだ。(BCN・細田 立圭志)
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