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料理素人が「刺身包丁」デビュー! 漁師さんに魚の捌き方を習ってみた カツオにマグロにウツボまで!?

グルメ

2023/07/05 13:00

【拝啓、徳島より6】 漁師町に移住したのだから、せっかくなら魚が捌けるようになりたい!と漁師さんにレッスンを依頼。忙しい漁の合間にマンツーマンで料理教室を開いてもらうことになりました。思った以上の重労働に四苦八苦しながらも、師匠が捌く“宝石のように美しいお造り”を目指して、今日も自主練を続けています。

思った以上に重労働!
漁師さんに魚の捌き方を習ってみた

カツオは何色?初めて食べた“本物”の味

 関東に住んでいた頃、カツオの身は赤紫が普通だと思っていました。スーパーで売られていたカツオはどれも紫がかった赤色で、油膜のようなテラテラとした光沢が滲んでいたような気がします。鮮魚コーナー以外で魚をみる機会なんてなかったので、それが“カツオの本来の姿”だと思ってしまったのも無理ないですよね。

 「カツオの身は赤紫」というイメージが間違いだとわかったのは、徳島に移住してきてすぐの頃。漁師さんとの宴会の席でした。

 「今さっき捌いたカツオや。食ってみ!うまいぞ!」そう言って出してくれたカツオは、とても綺麗な赤色をしていました。一瞬、「え、マグロ?」と見間違うほどに、みずみずしく血色の良い赤でした。

 見た目だけでなく、その味にもまた驚きが。「今まで私が食べていたのはなんだったんだ?」と思うほど味も香りも全然違う。生臭さが一切なく、飲み込んだ後も旨味がずっと残るような味の濃さ。まさにカツオショック!と言えるような衝撃的な美味しさに私は一瞬で恋に落ちてしまったのでした。
 
初めて食べた“赤いカツオ”は
衝撃的な美味しさでした

漁師さんがつくる宝石のような刺身に憧れて

 その後も度々、漁師さんの宴会にお呼ばれしては美味しい魚をいただく日々。田舎町の宴会は料理もお酒も持ち寄りが基本です。漁師さんは毎回、その時々の旬の魚を料理して持ってきてくれました。

 ブリにカンパチ、マグロにカツオ、漁師さんの手にかかればどんな魚も宝石のように光り輝くお造りに大変身。その手捌きは伝統工芸の職人のように、速くて正確、無駄がない。何回見ても感動しました。

 そのうちに「食べるだけじゃなくて自分でも捌けるようになりたい!」と思うようになり、漁師さんに講師を依頼。忙しい漁の合間をぬってのレッスンがスタートしました。
 
漁師さんが捌いた刺身はいつもキラキラ輝いています
 
傷ひとつない手捌きは見事!

人生で初めて買った刺身包丁で「自主練」開始

 レッスンの最初は三枚おろしの手順から。最初に頭を落とす、次に腹側に包丁を入れて内臓を取り出す。次に背中側に包丁を入れる。尾鰭の少し下から骨に沿って3枚におろす・・・。

 簡単そうに見えて、包丁をまっすぐ入れるだけでも大変。骨が太く頭を落とすのも一苦労で、想像以上に重労働です。
 
漁師さんの華麗な包丁捌きは何度見ても美しい!

 漁師さんに一通り捌き方を教わった後は、ひたすら自宅で練習。せっかくやるならと刺身包丁を買ってモチベーションを上げることにしました。

 プロ仕様から家庭用まで様々ある中で、私が選んだのは老舗刃物メーカー貝印の「刺身包丁 関孫六 碧寿 ステンレス 210mm」です。安心、安全のブランド力と手頃な値段が決め手でした。

 実際に使ってみると、使いやすさが普通の包丁と全然違う。包丁の切れ味が悪いと断面がボロボロになって見た目だけでなく味も落ちてしまいます。私が手元のおぼつかない初心者だからこそ、専用の道具を使ってスキル不足を補うことが大切だなと実感しました。
 
初心者でも使いやすい
「刺身包丁 関孫六 碧寿 ステンレス 210mm」

 ちなみに自宅練習用の魚は、海釣りが趣味の大家さんからのお裾分けです。月に2、3回、釣れたばかりのマグロやカツオを届けてくれます。「カツオは釣ってから1日寝かせておくとより美味しい」など、食べ方のアドバイスもくれて本当にありがたい!

 大家さんのおかげでたくさん魚を捌く機会があったので、上達も早かったのではないかなと思います。
 
大家さんから届くお裾分け。
半身でも大きい!

「いただきます」がよりリアルに感じられるようになった

 移住して5年目に入り、包丁捌きも多少、板についてきたと思う今日この頃。最近は「なるべく無駄を出さないこと」をモットーにしています。

 以前は捨てていた頭や骨は味噌汁に、皮に張り付いた身はスプーンですくって味噌と和えて“なめろう風”に、皮以外は余すところなくいただくようにレパートリーを研究中です。
 
頭は煮たり、焼いたりして食べるのがおすすめ

 ありきたりかもしれませんが、自分で魚を捌くようになって「私たちは生き物の命をいただいて生きているんだな」と改めて感じます。

 東京では魚も肉もパックに入ったものしか知りませんでした。生き物を殺して食べることは全ての人が同じようにやっていることなのに、東京で暮らしていた頃よりも「いただきます」の意味をより深く考えられるようになった気がしています。これも田舎の魅力の一つかもしれませんね。

いつかはウツボが捌けるようになる、かも?

 ちなみに漁師さんにくっついていると、一般にはなかなかお目にかかれない珍味に遭遇することもしばしば。最近で一番びっくりしたのはウツボ。「頭に詰まったコラーゲンがうまい」とのことで、煮たり、焼いたり、干物にしたり、酒の魚にぴったりなんだとか。
 
ウツボの捌き方はうなぎに似ているかも

 流石にまだウツボは捌けないですが、どんな魚でも美味しくいただけるようにこれからも練習を続けたいと思います。(フリーライター・甲斐りかこ)


■Profile
甲斐りかこ
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
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