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絶望的に予約が取れない神戸『川島しょう店』に行く方法!?

グルメ

2023/06/28 17:00

何の変哲もない居酒屋、と言っては失礼だが。新長田駅からほど近くの庶民的な雰囲気のエリア、古い長屋の一角。超高級店でも超オシャレでもない、看板もなく通り過ぎてしまうような店だ。

震災で倒壊後、小屋での営業を経て、今は長屋の一角に。

なのに1年先まで予約でいっぱい。はっきり言って新規の客はもう入る隙がない。一度来た人がほぼ100%次の来店日を決めて帰るため、毎日予約ノートが先々まで埋まっていってしまうのだ。しかも、定員の20名が来たら、各々が団体で次の予約を取るので、予約客はどんどん増えていく。

新規客の枠を残しておけば良いのに、と思うが、店主の川島良弘さんは「SNSなんかを見て来られた方だと『思っていたのと違う店だな』という感想を抱かれる場合もあるので。うちを知っている方ならお互い安心ですし」と明かす。高飛車なのではなく、お客さんのためを思ってのシステムなのだ。
 
看板料理は、わが家風ポテトフライアンチョビソース。

そんなに料理がスゴイの?と思われるだろう。スゴイのだ。まず、食材へのこだわり。毎朝5時から市場に出向き、おそらくその日並ぶ中で最も良質な魚や野菜、肉を手に入れる。黒毛和牛に仙鳳趾(せんぽうし)牡蠣、霧島ポークに本マグロ。調理は素人です、と言いながら、巨大ホタテの香草パン粉焼きや本マグロトロのぽん酢醤油、特選黒毛和牛の網焼き本ワサビ添えなど、気取らないのにひと捻りの利いた品々がずらずらと。アラカルトで一品600~1500円程度、おまかせコース10品ほどで4000円というから、そりゃ1年先に自分が生きているか分からずとも席だけは押さえたくなる。
 
料理は、奥様、長男、長女と一家4人でリレーのように作る。

一度行けば常連客になれる。でも、訪れたことがない人は最初の予約すら取れない。そんな難攻不落な『川島しょう店』の門をくぐるには、「今度『川島しょう店』に行くんです」って人と仲良くなるしかない。知り合いの知り合いの知り合いぐらいまで辿れば、意外と出会えるかもしれない。もしくは心の強い人なら、店の前で毎日張り込んで、来たお客さんに「お願いだから僕も入れて」と懇願すれば何とかなる気がする。
 
「川島家で昔から食べていたのと同じです」というが、
家庭の食卓も疎かにしなかったということだ。

ちなみに著名人の常連も多く、日本を代表するイラストレーター・黒田征太郎さんは開店時から〝親戚のような付き合い〟だそうだ。店内には黒田さんの直筆壁画が随所に。そして、関西の食雑誌「あまから手帖」7月号では、8年ぶりに黒田さんが『川島しょう店』を訪ね、たくさんの絵と言葉を書き残していった様子を記事で伝えている。泣けるんだよ、これが。

ぜひご一読を!

『川島しょう店』
住所/兵庫県神戸市長田区腕塚町4-1-23


※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。
https://www.amakaratecho.jp/amakara/pickup/1316954_13275.html