【比較】「児童手当」の総支給額を試算! 4月生まれと3月生まれで総額がこんなに違う!
【家電コンサルのお得な話・129】 2023年6月現在、政府で児童手当の拡充が検討されており、ニュース等でも取り上げられて話題となっている。特に「現在、中学生までの対象範囲を高校生までとし、高校生には月額1万円を支給する」「第3子以降は、3歳~小学生まで3万円を支給する」といった案は注目を集めている。ここで気になったのが「どの年代の部分が3万円に増額されるのか?」ということ。そこで、現在と政府案の総支給額を比較したところ、政府案が通れば4月生まれと3月生まれで第3子以降は「総額33万円」の差が生じることがわかった。
(1)児童手当の所得制限の廃止
(2)高校生までの延長
(3)現金給付の拡大――などだ。
特に、現在との変更点となる「現在、中学生までの対象範囲を高校生までとし、高校生には月額1万円を支給する」「第3子以降は、3歳~小学生まで月額3万円を支給する」といった案は注目を集めている(図1のピンク色)。
今後、政府は与党とこれらの内容を調整し、折り合いがつけば、2023年6月にまとめられる「こども未来戦略方針」の素案に盛り込まれる予定だ。
しかし、いい話ばかりではない。こちらも決定事項ではないが、扶養控除の見直しなど、政府は国民1人当たり年間6000円程度の負担増を想定しているという。
特に扶養控除については、2010年度の税制改正により、子ども手当を支給する代わりに年少扶養控除(年齢16歳未満の扶養親族が対象)を廃止した前例があるため、今後の議論に注目する必要があるだろう。
結果として、今、出されている案では「第3子以降の3歳~小学生まで」がその対象となっている。少子化対策なので、当たり前と言えば当たり前の話だが、この年代が「生まれ月の影響を受ける部分」であるため、そこの支給額が倍増されれば、それだけ差が広がってしまう。
具体的には、図2の現在の「生まれ月別総額シミュレーション」に示したように、現在の児童手当では第1子・2子の場合、4月生まれの総額209万円に対し、3月生まれは198万円となり、3月生まれの方が11万円少なくなる。第3子以降の総額は4月生まれの268万5000円に対し、3月生まれは252万円となり、3月生まれの方が16万5000円少なくなる。
一方の図3に示したのは、政府案が通った場合の「生まれ月別総額シミュレーション」だ。第1子・2子は現状と同じ11万円の差となる。4月生まれの総額245万円に対し、3月生まれは234万円となるからだ。ところが、第3子以降は総額で33万円の差が生じる計算になる。4月生まれの総額483万円に対し、3月生まれは450万円となり、3月生まれの方が33万円少なくなる。
これは誕生月による11カ月間内の期間の差が生じるためだが、不公平を感じる人もあり、制度設計的に様々な意見があるだろう。
また、直近では、第3子以降の加算について「対象を0歳~高校生に拡大する案」が出されたり、国民負担も含めて気になることが多い制度改正のため、決定次第、このコラムでお伝えしたいと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
案では高校生に月1万円、第3子以降の3歳~小学生まで月3万円
政府が検討している「児童手当の拡充」の主な内容は次の通り。(1)児童手当の所得制限の廃止
(2)高校生までの延長
(3)現金給付の拡大――などだ。
特に、現在との変更点となる「現在、中学生までの対象範囲を高校生までとし、高校生には月額1万円を支給する」「第3子以降は、3歳~小学生まで月額3万円を支給する」といった案は注目を集めている(図1のピンク色)。
今後、政府は与党とこれらの内容を調整し、折り合いがつけば、2023年6月にまとめられる「こども未来戦略方針」の素案に盛り込まれる予定だ。
しかし、いい話ばかりではない。こちらも決定事項ではないが、扶養控除の見直しなど、政府は国民1人当たり年間6000円程度の負担増を想定しているという。
特に扶養控除については、2010年度の税制改正により、子ども手当を支給する代わりに年少扶養控除(年齢16歳未満の扶養親族が対象)を廃止した前例があるため、今後の議論に注目する必要があるだろう。
4月生まれと3月生まれの違いで最大「総額33万円」の差
今回、児童手当を取り上げるにあたって気になったのが「どの年代の部分が3万円に増額されるのか?」ということである。というのも、児童手当は生まれ月によって支給総額が変わるからである。結果として、今、出されている案では「第3子以降の3歳~小学生まで」がその対象となっている。少子化対策なので、当たり前と言えば当たり前の話だが、この年代が「生まれ月の影響を受ける部分」であるため、そこの支給額が倍増されれば、それだけ差が広がってしまう。
具体的には、図2の現在の「生まれ月別総額シミュレーション」に示したように、現在の児童手当では第1子・2子の場合、4月生まれの総額209万円に対し、3月生まれは198万円となり、3月生まれの方が11万円少なくなる。第3子以降の総額は4月生まれの268万5000円に対し、3月生まれは252万円となり、3月生まれの方が16万5000円少なくなる。
一方の図3に示したのは、政府案が通った場合の「生まれ月別総額シミュレーション」だ。第1子・2子は現状と同じ11万円の差となる。4月生まれの総額245万円に対し、3月生まれは234万円となるからだ。ところが、第3子以降は総額で33万円の差が生じる計算になる。4月生まれの総額483万円に対し、3月生まれは450万円となり、3月生まれの方が33万円少なくなる。
これは誕生月による11カ月間内の期間の差が生じるためだが、不公平を感じる人もあり、制度設計的に様々な意見があるだろう。
また、直近では、第3子以降の加算について「対象を0歳~高校生に拡大する案」が出されたり、国民負担も含めて気になることが多い制度改正のため、決定次第、このコラムでお伝えしたいと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。