神戸は灘にある水道筋商店街の脇に、『串かつ 一燈園』はひっそりと佇む。掲げられた緑色の看板には、屋号とは別に「お食事処 串かつ」の文字が書かれている。“酒処”でも“立ち飲みで”もなく、この「お食事処」というのが、良い。

　そうそう、世の中串カツで一杯飲みたい人間だけではない。揚げ物には白米、味噌汁、漬物の組合せがベストだと思っている下戸の筆者にとっては、重宝したい店である（勿論酒飲みにとっても安価で飲める有難い店ではある）。串カツ５本に、前述した組合せがセットになって700円也。具は自分で選びたいという場合でも、白米や味噌汁が単品で注文可能だ。

おすすめは、幻の櫂寄せ（かいよせ）製法で作られた「にがり豆腐」のカツ。水道筋２丁目に古くからある「佐藤のとうふ」のものを使用している。ソースではなく、ネギ、生姜、醤油でいただくこの豆腐がとろっとろで美味しいのだ。「醤油で食せ」というメニューがもうひとつある。唯一時価と書かれている、素揚げした「なすび」だ。「豆腐」と「なすび」の注文が入るたび、お父さんがおろし金で生姜をガシガシやってくれる。時価と言っても200~300円のことなので、安心して注文してみてほしい。
 
『串かつ 一燈園』
住所／兵庫県神戸市灘区水道筋5-2-24
電話／078-801-6332

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