【記者のひとこと】世界で広がる「静かな退職」

コラム

2023/02/27 10:00

 コロナ禍によって世界中で働き方のトランスフォームが発生しましたが、今年に入って徐々にポストコロナを意識した新たな働き方の模索が始まっているようです。エクスペリエンスマネジメント事業を推し進めるクアルトリクスは2月17日に毎年恒例となっている従業員エクスペリエンスの最新トレンドを発表。その中では「オフィス回帰」というキーワードも挙がりました。

 最も興味深かったのは、「静かな退職(Quiet Quitting)」というキーワードです。これは退職ではなく、仕事に対する熱意を失い、与えられた仕事以上のことをしない、すなわち「退職したかのように働いている状態」を指す言葉で、世界中で徐々に広がってきています。働き方が変わっていく中でこうした価値観が台頭してきたことは、一概に悪とは言えませんが、企業のエンゲージメントという点でみれば、明らかに負の影響をもたらす要因となります。

 まだ現時点で分析は不十分なようですが、米国で若い世代の問題として取り上げられているのに対して、日本では40~50代の中年世代の方がこうした静かな退職を実行している割合が高いというリサーチも。自分の所属している組織を思い浮かべ、その結果に納得する人もいるかもしれません。いずれにせよ、生産性や業務効率を向上させるために、今後、企業が向き合わなければならない問題になってくるのは間違いなさそうです。(大蔵大輔)

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