毎年、年末に慌てるのが年賀状だ。気が付くと年が明けたりしている。まずい。慌ててコンビニに走り、出来合いの年賀状を買って送る手もある。しかしそれでは、いくら何でも間に合わせ感が半端ない。やっぱりオリジナルだ。印刷だ。年に数回しか登場しないプリンタを引っ張り出す。試し刷りしようとすると、いかん。インク切れだ。インクを買いに走る。今度こそ試し刷りだ。だめだ。色がおかしい。インク詰まりだ。修理している暇はない。背に腹は代えられない。プリンタを買うぞ……。そんな行動パターンを定期的に繰り返しているような気がする。年末年始、年賀状のために人々はいつプリンタやインクを買っているのだろうか。全国2300店舗の実売データを集計するBCNランキングで、2022年の年末から年明けまでの動きを明らかにした。
年賀はがきの発売は11月1日。年賀状のシーズンは毎年11月1日から、年明けの1月上旬ぐらいまでと考えていいだろう。元日配達の年賀状受付は12月15日から25日頃まで。自慢じゃないがクリスマスまでに年賀状を送り終えたことなど一度もない。カメラ店などに印刷を頼む場合は、何とか12月中旬までに発注して、ぎりぎり年内納品という年もなくはない。しかし、だいたいクリスマスを過ぎたあたりから、焦り始めるというのがほとんど。この時期になると、年賀状を印刷するなら、もう自分でやるしか選択肢がない。追い詰められた状態だ。
11月1日から1月10日までの、日々の販売台数の動きをグラフにした。対象はプリンタ(インクジェットとサーマル)、インク(インクジェット用インクとサーマル用リボン)に加え、比較対象としてテレビ(液晶と有機EL)の3カテゴリーだ。山と谷を繰り返しているが、ほとんどの山は土日。家電製品は休日に売り上げが伸びるというのがパターンだ。プリンタの動きを見ると、11月下旬ぐらいから少し売り上げが伸び始め、12月に入ると週を追うごとに売り上げが増えていく。12月11日(そろそろまずいか)、18日(早くしないと間に合わなくなるぞ)と、徐々に焦りの度合いが高まっていき、25日(やばいやばい。何とカ年内にどうにかしないと)と、年賀状プレッシャーがピークに達すると売り上げも最大になる、という構図だ。
インクの売り上げもプリンタに似ているが、12月中旬から急に上昇する。プリンタはあるし、いざとなればすぐに刷れるから大丈夫だ、と油断していたら、いざ刷ろうとなるとインク切れが発覚。家族に叱責されて慌てて買いに走る、というパターンだろう。プリンタもインクも12月は29日に小さな山がある。木曜日だったが、この日は官公庁の御用納め翌日。多くの企業で正月休みに入った初日だ。「今から印刷して送っても三が日に届くのは難しいかもしれないが、せめて休みの間に届けるならもうギリ。とにかくプリンタでもインクでも買って何とかしないと」。そんな断末魔の叫びだ。そして新年1月1日。プリンタの売り上げはガクンと落ちる。やっとの思いで大晦日までに片付けた年内派の安堵のため息が聞こえる。
さすがに元日からプリンタを買いに行く気は起きない、ということもあるだろう。しかし、2日になると売り上げがググっと上昇。元日にもらった年賀状に返信しなきゃ、という別のプレッシャーによる焦りから、プリンタの売り上げが一気に息を吹き返す。しかし、インクの売り上げは年が明けると伸びない。年賀状を出すのか出さないのか。プリンタは壊れている。年明けまで結論を引っ張れるだけ引っ張った挙句、最後の最後に決断を迫られ、ついに観念して新しいプリンタを購入し、返事も含めて年賀状問題に終止符を打った、という葛藤の軌跡だ。ちなみに、テレビの売れ行きは、11月の末ごろから立ち上がり、12月に入って一定の売り上げを維持、1月2日の初売りでピークを形成というパターンだった。
近年、年賀状のやり取りは目に見えて少なくなった。出すには出すが、印刷するにも枚数はかなり減った。虚礼廃止ということで「年賀状じまい」を宣言する人もちらほら出てきたが、まだそこまでは行けない。あとしばらくはドタバタの年末年始を送ることになるのだろう。(BCN・道越一郎)
年賀はがきの発売は11月1日。年賀状のシーズンは毎年11月1日から、年明けの1月上旬ぐらいまでと考えていいだろう。元日配達の年賀状受付は12月15日から25日頃まで。自慢じゃないがクリスマスまでに年賀状を送り終えたことなど一度もない。カメラ店などに印刷を頼む場合は、何とか12月中旬までに発注して、ぎりぎり年内納品という年もなくはない。しかし、だいたいクリスマスを過ぎたあたりから、焦り始めるというのがほとんど。この時期になると、年賀状を印刷するなら、もう自分でやるしか選択肢がない。追い詰められた状態だ。
11月1日から1月10日までの、日々の販売台数の動きをグラフにした。対象はプリンタ(インクジェットとサーマル)、インク(インクジェット用インクとサーマル用リボン)に加え、比較対象としてテレビ(液晶と有機EL)の3カテゴリーだ。山と谷を繰り返しているが、ほとんどの山は土日。家電製品は休日に売り上げが伸びるというのがパターンだ。プリンタの動きを見ると、11月下旬ぐらいから少し売り上げが伸び始め、12月に入ると週を追うごとに売り上げが増えていく。12月11日(そろそろまずいか)、18日(早くしないと間に合わなくなるぞ)と、徐々に焦りの度合いが高まっていき、25日(やばいやばい。何とカ年内にどうにかしないと)と、年賀状プレッシャーがピークに達すると売り上げも最大になる、という構図だ。
インクの売り上げもプリンタに似ているが、12月中旬から急に上昇する。プリンタはあるし、いざとなればすぐに刷れるから大丈夫だ、と油断していたら、いざ刷ろうとなるとインク切れが発覚。家族に叱責されて慌てて買いに走る、というパターンだろう。プリンタもインクも12月は29日に小さな山がある。木曜日だったが、この日は官公庁の御用納め翌日。多くの企業で正月休みに入った初日だ。「今から印刷して送っても三が日に届くのは難しいかもしれないが、せめて休みの間に届けるならもうギリ。とにかくプリンタでもインクでも買って何とかしないと」。そんな断末魔の叫びだ。そして新年1月1日。プリンタの売り上げはガクンと落ちる。やっとの思いで大晦日までに片付けた年内派の安堵のため息が聞こえる。
さすがに元日からプリンタを買いに行く気は起きない、ということもあるだろう。しかし、2日になると売り上げがググっと上昇。元日にもらった年賀状に返信しなきゃ、という別のプレッシャーによる焦りから、プリンタの売り上げが一気に息を吹き返す。しかし、インクの売り上げは年が明けると伸びない。年賀状を出すのか出さないのか。プリンタは壊れている。年明けまで結論を引っ張れるだけ引っ張った挙句、最後の最後に決断を迫られ、ついに観念して新しいプリンタを購入し、返事も含めて年賀状問題に終止符を打った、という葛藤の軌跡だ。ちなみに、テレビの売れ行きは、11月の末ごろから立ち上がり、12月に入って一定の売り上げを維持、1月2日の初売りでピークを形成というパターンだった。
近年、年賀状のやり取りは目に見えて少なくなった。出すには出すが、印刷するにも枚数はかなり減った。虚礼廃止ということで「年賀状じまい」を宣言する人もちらほら出てきたが、まだそこまでは行けない。あとしばらくはドタバタの年末年始を送ることになるのだろう。(BCN・道越一郎)