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厚生労働省や空調機器メーカーがすすめる効率的な換気方法、コロナ対策向けも紹介

暮らし

2022/10/09 15:00

 新型コロナウイルスの影響により、以前よりも換気の重要性が広く知られるようになった。しかしながら、具体的にどれくらい、どのように換気をすればいいのだろうか。しかも、窓を開けると肌寒く感じる季節になりつつある。そこで、厚生労働省や空調機器メーカーがすすめる、効率的な換気方法を紹介しよう。

どれくらい換気すればいいの?

なぜ換気をしなくてはならないのか?

 まずは、そもそもなぜ換気をしなくてはならないのか解説したい。
 
換気しなければならない理由とは?

ウイルスや細菌を部屋から追い出す

 新型コロナウイルスの流行で換気の重要性がよく知られるようになったのは、換気によってウイルスや細菌を部屋の外に追い出せるからだろう。

 新型コロナウイルスは感染者の体内から咳やくしゃみで空気中に出た後、しばらく部屋の中を漂い、これを吸い込むことでエアロゾル感染と呼ばれる感染が起こる。このため、換気によってできるだけ早くウイルスを部屋の外に出せば、感染のリスクを下げられるのだ。

二酸化炭素濃度を下げ脳の働きをよくする

 人間は生命活動のために酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。このため、換気していない部屋の中では徐々に二酸化炭素の濃度が上昇してしまう。

 二酸化炭素の濃度が上がると頭痛や眠気、倦怠感が生じることがあり、脳の働きにも悪影響を及ぼす。そのため、できるだけ静かな環境でリモートワークを行いたい人も定期的に窓や扉を開けて換気をしたほうがいい。

湿度を下げる

 室内を密閉すると湿度がこもってしまう。湿度が高くなるとカビが発生しやすくなり、健康に悪影響を与える可能性があるため注意してほしい。

 雨の日であっても室内の方が湿度の高いことはよくあるため、雨の日であっても適度な換気がおすすめだ。

においや煙を外に出す

 換気にはにおいや煙といった不快なものを外に出す効果もある。閉め切った部屋の中では焼き肉やたばこ、ペットのにおいはもちろん、人間の汗や皮脂のにおいもこもりがちになるだろう。

 換気をすることで部屋の空気を入れ換え、においや煙も外に出せる。嫌なにおいは家具などに染みつくとなかなか取れなくなるため、早めの換気がおすすめだ。

おすすめの換気方法

 換気の大切さは分かっていても、夏や冬に長時間換気を行うと冷房や暖房の効率が下がり、ストレスも増してしまう。そこで、厚生労働省や空調機器メーカーのダイキンがすすめる、効率的な換気方法を紹介する。
 
効率的な換気方法とは?

24時間換気システムを使う

 厚生労働省とダイキンの両者が推奨するのは、24時間換気システムを使った換気だ。これは2003年7月以降に建てられた全ての建物で設置が義務づけられているもので、2時間で室内の空気を全て入れ換えられるように設計されている。

 このシステムの設置はもともとシックハウス症候群を予防するために義務づけられた のだが、感染症予防をはじめ、部屋の効率的な換気全般に役立てる。自宅に24時間換気システムがあるかどうか確認し、ある場合は常にオンにしておくと良い。

24時間換気システムがない場合は

 24時間換気システムがない場合は積極的に窓を開けることで換気を行いたい。厚生労働省は1時間に2回以上、数分間窓を全開にすることを推奨している。

 また、空気の流れを作るため、複数の窓がある場合は2方向の壁の窓を開けてほしい。できれば部屋全体を風が通り抜けるよう、部屋の対角にある窓の開放がおすすめだ。

 ダイキンは窓が一つしかない場合は扇風機などを窓に向け、窓がない場合は部屋のドアの外に向けて扇風機を設置し、風の流れを作ることを推奨している。

夏と冬で異なる換気方法

 エアコンなどの冷暖房器具を使う夏と冬は、それぞれ推奨される換気方法が異なる。

 夏の場合、外から帰ってきたら冷房をつける前に部屋を換気してほしい。これにより熱い空気を外に出せ、冷房の効率を上げられる。

 また、冷房で冷えている部屋を換気する場合は、エアコンを止めずに設定温度を少し低めにした上で換気することで、熱中症のリスクを抑えることが可能だ。

 電気代を抑えるには、開ける窓の場所にも注意してほしい。エアコンに近い側の窓を開けると熱い空気がエアコンに直接あたり、エアコンに負荷がかかる。できるだけエアコンから離れた窓を開けるのがポイントだ。

 一方、冬の場合は夏と異なり、帰宅時は暖房をつけてから換気をしてほしい。最初に暖房をつけることで壁や床、天井などが温まり、換気をしても部屋の温度が下がりにくくなるのだ。

 また、暖房をつけている最中に換気をする場合は、夏よりも短めの時間がおすすめ。冬は夏よりも部屋の中と外の温度差が大きく、風も強いため、自然と空気の流れができ短い時間でも換気ができる。

花粉の季節も換気を

 花粉症持ちの人は花粉の季節に窓を開けたくないと感じるだろうが、やはり換気は必要。花粉症の症状を抑えるためには、換気後に窓付近を掃除してほしい。

 これは、外から入った花粉はその重みで窓付近に集まる性質を持っているため。掃除機をかけたり、ぬれタオルを使ったりして窓付近の花粉を取り除くことで、室内に再び舞い上がる花粉の量を抑えられる。

エアコンには換気がないものが多い

 注意したいのは、エアコンには換気機能がないものが多いという点だ。一般的なエアコンは部屋の空気を取り込み、それを温めたり冷やしたりして排出するものであり、部屋の空気を入れ換える機能が備わっていない。

 エアコンをつければいいと考えるのではなく、ほかの手段で換気をするようにしてほしい。

正しい換気で効率よく空気をリフレッシュ

 換気には感染症対策の効果もあるが、何より外の新鮮な空気を取り込むと気分がリフレッシュされる。仕事や勉強に集中しているとついつい換気をおろそかにしてしまうが、気分転換のためにも定期的な換気を心がけてほしい。
 
換気は気分転換にも

 夏と冬で推奨される換気方法が異なるなど、換気は意外と奥が深い。それぞれの部屋によって事情が異なるため、それぞれに適した換気方法を追求してみてはいかがだろうか。(ライター・ハウザー)
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