今だから大人買いできるロマン! 価値は低いが思い出は無限大の「カードダス20」で昔の雪辱を果たす
【木村ヒデノリのTech Magic #118】 トレーディングカードは投資の対象というのが一般的な認識になってきた。一昔前は一部のコアユーザーの間で取引されるものだったが、遊戯王カードなど一般に広く知られる作品がカードになったことで流通も拡大を見せている。そんななか、一向に価値は上がらないもののど真ん中世代が欲しくなってしまうトレカがある。それがカードダス20シリーズだ。
当時20円を何枚も握りしめてスーパーの脇のマシンに並んだ人も少なくないだろう。カードダス20シリーズは昨今ブームのトレカと比べると人気が低く、価格も安い。しかし、だからこそ今大人買いしやすいというメリットがある。なんと当時店先に並んでいた本物のマシンまで中古で買えてしまうのだ。お小遣いが少なくコンプリートできなかった読者は、大人になった今買い揃えて毎日1枚ずつ引いて楽しむ、といった使い方もロマンがあるかもしれない。
どのカードにも箔マークが押されており、ビックリマンシールで横行していた偽造を牽制した形だ。また、ビックリマンシールは公正取引委員会から「材質価値を均一化」するよう指導されていた。ノーマルカードでも箔押しをすればある程度の印刷費がかかるようになるため、この点を押さえる意味もあったのかもしれない(※箔マークはSDガンダム外伝シリーズ第3弾のアルガス騎士団カードより施されている)。
カードダス20は1988年6月から発売され、ウルトラ怪獣や聖闘士星矢など人気だったキャラクターものがラインアップされたが、特に大人気となったのがSDガンダムシリーズだ。同年11月から投入されたドラゴンボールと2大巨頭として長らくカードダスの売り上げを支えることになった。
SDガンダムとは、イラストレーターの横井孝二氏が人気だったアニメ「機動戦士ガンダム」を2頭身キャラクターにしたもので、そのポップなテイストが人気を博した。SDガンダム外伝はRPG風の描写がなされ、ガンダムのキャラクターが巧みにファンタジー風の世界観に落とし込まれていた。
独自のストーリーは本編のガンダムでのキャラクターの関係性を元に新たなアイテムや設定で非常に面白く、集めるごとに明かされていくストーリーが子供たちを夢中にした。現代と違ってどちらかというとコレクションやトレーディング(交換)が目的なところは異なるものの、まさにトレーディングカードの元祖といって差し支えないだろう。
発売当初はあまり周知されていなかったので1枚単位で引いていた子供たちだったが、口コミが広がるとともに400円は最低用意する玄人が登場。前の人がレアカードを出さずにやめるとすかさずレアカードが出るまで回し、引いた瞬間にやめて次の人に回す、300円回してレアカードが出なかった子の両替のタイミングで横からレアカードを攫っていくなど、引き方にも賛否が出て場所によっては独自ルールが設けられるなどした。こうして1枚単位で引く子供が減少していったためか、1991年から100円玉1枚で5枚セットが出てくる「カードダス100」が登場。販売方式も時代に沿って変化していった。
レアカードの種類が今のトレカより豊富なのは面白い。一見するとノーマルカードだが表面をめくると下からキラキラのカードが出てくる「隠れプリズム」や、プリズムカードの下にさらに隠されたプリズム図柄のある「リバースプリズム」など、ワクワクを掻き立てるレアカードが多かった。当時小学生だった筆者も、図柄確認用に捲ってしまったものと、保存用のもの常に2枚を揃えていた記憶がある。
さらによく調べてみると「新約SDガンダム外伝」なるものがあるではないか。これは過去に発売されたSDガンダム外伝の歴史を継承した新ストーリーで、「円卓の騎士」から長い年月が経ったブリティス王国を舞台として完全新ストーリーで描かれている。
ゴルフや釣り、カメラなど大人の趣味はとにかくお金がかかってしまうが、カードダスはこの最新弾でも8800円(全48種うちプリズム16種ノーマル32種、箔押しバインダー、ブックレットのセット)とかなりコスパが良く満足度も高い。高額な趣味に走る前に昔集められなかったカードを買って雪辱を果たす、というのもロマンのあるお金の使い方ではないだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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当時20円を何枚も握りしめてスーパーの脇のマシンに並んだ人も少なくないだろう。カードダス20シリーズは昨今ブームのトレカと比べると人気が低く、価格も安い。しかし、だからこそ今大人買いしやすいというメリットがある。なんと当時店先に並んでいた本物のマシンまで中古で買えてしまうのだ。お小遣いが少なくコンプリートできなかった読者は、大人になった今買い揃えて毎日1枚ずつ引いて楽しむ、といった使い方もロマンがあるかもしれない。
ビックリマンチョコと入れ替わりで台頭、トレーディングカードの元祖
お菓子の販促品としてのシールが加熱して社会問題となったビックリマンチョコ。それを受け、おまけ自体を商品化しようという流れで出てきたのが、カードダス20だ。名前の由来はなんと気象観測システムの「アメダス」から。気象情報を発信するアメダスのように、キャラクターの情報の発信源となることを目指したという。どのカードにも箔マークが押されており、ビックリマンシールで横行していた偽造を牽制した形だ。また、ビックリマンシールは公正取引委員会から「材質価値を均一化」するよう指導されていた。ノーマルカードでも箔押しをすればある程度の印刷費がかかるようになるため、この点を押さえる意味もあったのかもしれない(※箔マークはSDガンダム外伝シリーズ第3弾のアルガス騎士団カードより施されている)。
カードダス20は1988年6月から発売され、ウルトラ怪獣や聖闘士星矢など人気だったキャラクターものがラインアップされたが、特に大人気となったのがSDガンダムシリーズだ。同年11月から投入されたドラゴンボールと2大巨頭として長らくカードダスの売り上げを支えることになった。
SDガンダムとは、イラストレーターの横井孝二氏が人気だったアニメ「機動戦士ガンダム」を2頭身キャラクターにしたもので、そのポップなテイストが人気を博した。SDガンダム外伝はRPG風の描写がなされ、ガンダムのキャラクターが巧みにファンタジー風の世界観に落とし込まれていた。
独自のストーリーは本編のガンダムでのキャラクターの関係性を元に新たなアイテムや設定で非常に面白く、集めるごとに明かされていくストーリーが子供たちを夢中にした。現代と違ってどちらかというとコレクションやトレーディング(交換)が目的なところは異なるものの、まさにトレーディングカードの元祖といって差し支えないだろう。
時代と共に遷移する販売方法、レアカードの種類が今のトレカより豊富
当初20円で1枚というのは大当たりの価格設定で、小学校低学年から中学生まで幅広く手に取れて良かった。1パック200枚で、レアカードは10枚程度という構成。計算すると約20回、つまり400円回せば確実にレアカードを引けることになる。発売当初はあまり周知されていなかったので1枚単位で引いていた子供たちだったが、口コミが広がるとともに400円は最低用意する玄人が登場。前の人がレアカードを出さずにやめるとすかさずレアカードが出るまで回し、引いた瞬間にやめて次の人に回す、300円回してレアカードが出なかった子の両替のタイミングで横からレアカードを攫っていくなど、引き方にも賛否が出て場所によっては独自ルールが設けられるなどした。こうして1枚単位で引く子供が減少していったためか、1991年から100円玉1枚で5枚セットが出てくる「カードダス100」が登場。販売方式も時代に沿って変化していった。
レアカードの種類が今のトレカより豊富なのは面白い。一見するとノーマルカードだが表面をめくると下からキラキラのカードが出てくる「隠れプリズム」や、プリズムカードの下にさらに隠されたプリズム図柄のある「リバースプリズム」など、ワクワクを掻き立てるレアカードが多かった。当時小学生だった筆者も、図柄確認用に捲ってしまったものと、保存用のもの常に2枚を揃えていた記憶がある。
資金力のある今だから揃えられる楽しさ、実は新弾も登場
カードダス自体は今それほど価値のあるものではない。だがそれがかえって買いやすい状況を作り出している。筆者はカードダスミニ自販機を購入したのをきっかけに、当時どうしても欲しかったのに手に入らなかった「聖機兵ガンレックス」を手に入れた。とても満足だ。カードダスミニでも定期的にカードを引いたりして楽しんでいる。当時とそれほど変わらない価格で手に入るからこそできる趣味だと言える。さらによく調べてみると「新約SDガンダム外伝」なるものがあるではないか。これは過去に発売されたSDガンダム外伝の歴史を継承した新ストーリーで、「円卓の騎士」から長い年月が経ったブリティス王国を舞台として完全新ストーリーで描かれている。
ゴルフや釣り、カメラなど大人の趣味はとにかくお金がかかってしまうが、カードダスはこの最新弾でも8800円(全48種うちプリズム16種ノーマル32種、箔押しバインダー、ブックレットのセット)とかなりコスパが良く満足度も高い。高額な趣味に走る前に昔集められなかったカードを買って雪辱を果たす、というのもロマンのあるお金の使い方ではないだろうか。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
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