【記者のひとこと】フリーソフトのジレンマ

コラム

2022/07/04 10:00

 個人・法人を問わずソフトウェアを活用するとき、必要十分な機能を備えていれば、有料ソフトではなく無料ソフトを選びがちです。

 こうした状況を作り上げている一因に、開発するエンジニア側の事情があります。小規模なグループや個人の開発者は、大手ベンダーのように高品質を保証できないため、ソフトを無料で公開して認知度を向上させるという戦略をとらざるを得ないのです。

 しかし、ここにジレンマがあります。優秀なフリーソフトが大量に出回ることで、市場規模はいつまで経っても拡大しません。結果的にITエンジニアの給与水準は頭打ちに。人材不足が喫緊の課題であるにも関わらず、ITエンジニアが集まりにくい悪循環に陥っています。

 業界健全化のために、ITコーディネータの阿部伸治氏が提案しているのが、海外で習慣化している“寄付”という対価の支払い方法です。日本でも動画配信サービスにおける投げ銭や少額ポイントを寄付できるサービスが若い世代を中心に浸透してきており、ソフトウェア業界においても、ユーザーの作法として定着する可能性は十分に考えられます。(大蔵大輔)

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