• ホーム
  • トレンド
  • ヤマダHDの22年3月期決算 売上高は7.6%減だが、収益認識適用前では1.7%減

ヤマダHDの22年3月期決算 売上高は7.6%減だが、収益認識適用前では1.7%減

経営戦略

2022/05/13 16:00

 家電製品の販売事業以外に住宅や金融、環境など各種の事業で「暮らしまるごと」戦略を推進するヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)。2022年3月期連結決算は厳しい外的環境や収益認識に関する会計基準の適用などの影響を受けて減収減益となった。
 

 22年3月期の連結売上高は1兆6193億7900万円で前年度比7.6%減。粗利益率は28.7%で前年度から1.0ポイントのダウンだ。営業利益は657億300万円(同28.6%減)、経常利益は741億3600万円(同25.0%減)で、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)は505億5500万円(同2.4%減)となった。
 

収益認識基準適用の売上高に対する影響額は約1040億円

 同社では減収の要因として22年3月期から適用となった収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)の影響、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う時短営業と販売自粛による来店客数の減少、天候不順、前年度の巣ごもり需要の反動減等を挙げる。

 収益認識基準の適用では、前年度まで販売管理費に計上していたポイント還元分が22年3月期より売上高から控除する方法に変更。長期保証や延長保証についても同様の形で売上高から控除となった。この影響額は1040億7200万円。前年度と同じ会計方式で算出した連結売上高は1兆7234億5200万円で前年度比は1.7%減となる。

 ヤマダHDの事業はデンキ、住建、金融、環境、その他の五つのセグメントで構成されている。22年3月期の住建、金融、環境は増収だったが、事業の核で連結売上高の約8割を占めているデンキは前年度比14.5%の減収だった。収益認識基準適用前の商品・部門別売上高を表したのが次の表である。
 

 他の家電量販企業と同様に主要商品であるテレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコンなどの売上高はダウンし、携帯電話は増収。同社の「家電住まいる館」や新業態の「LIFE SELECT」で推進している住宅・リフォームや家具、インテリア等は増収となっている。

25年3月期の連結売上高目標は2兆円

 同社では25年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を立案。25年3月の連結売上高は2兆円、経常利益は1300億円を目標としている。

 この中経の初年度である23年3月期は連結売上高が前年度比4.6%増の1兆6940億円、営業利益は739億円(同12.5%増)、経常利益800億円(同7.9%増)を計画しており、当期純利益は519億円(同2.7%増)を見込んでいる。
 

 連結売上高は約746億円の増収計画だが、このうち630億円はデンキ事業によるもの。リフォームが200億円、ECが155億円、インテリア・家具が70億円で、これらを除いた店舗での売上高は205億円という計画である。

 この計画実現に向け、デンキ事業ではLIFE SELECTを核とした出店で前年度比5%以上の総売場面積の拡大をはじめ、ECの強化、SPA商品の拡充、低金利クレジット施策や営業効率化によるリフォーム事業の拡大、大塚家具ブランドやSPA家具によるラインナップ拡充での家具・インテリア事業の推進などを図っていく方針だ。