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コロナ前後の転職で「決定年収上昇率」ランキング1位は「クリエイティブ系」

暮らし

2022/04/07 07:30

 パーソルキャリアは4月5日に、「決定年収上昇率ランキング(職種版)」を発表した。同ランキングは、パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」経由で、2019年1月~12月末と、2021年1月~12月末の期間に転職に成功した20~65歳の男女の、転職決定企業の決定年収をもとに算出している。
 

職種大分類別 決定年収の上昇率ランキングTOP10(2019年を100とした場合の推移)

 職種を大きな分類で括った、職種大分類別のランキングでは、11のうち8の職種大分類において、2021年の決定年収が新型コロナ禍前となる2019年の決定年収を上回った。

 1位の「クリエイティブ系」の決定年収は、新型コロナ禍の影響を受けておらず、右肩上がりの状況が続いている。その背景としては、求人数の急激な増加による人材獲得競争の激化と、クリエイティブ人材の給与レンジ適正化が進んでいる、という二つの理由が考えられる。また、今後はデータ分析・活用やデジタルスキルを持つクリエイター人材の決定年収が高まると予想している。

 2位の「販売/サービス系」は、スキルと経験のある人材の採用に注力したため、決定年収が上昇した。一方で、外食・小売・旅行業界は新型コロナ禍の打撃を受け、2020年以降「販売/サービス系」の求人数は大きく減少し、未経験採用を中断して即戦力採用へとシフトする傾向が強まっている。また、業績の立て直しが急務になったことで、接客経験に加えてブランドや店舗の宣伝を行うSNSの運用経験や、店舗運営をするためのマネジメントスキルがある人材を採用する企業が増加したことが、決定年収の上昇につながったとみられる。
 
求人掲載数の変化(2019年~2021年)

 決定年収が微減した10位の「金融系専門職」や、11位の「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」は、2019年までは即戦力や経験者採用が多い傾向にあった。しかしながら2021年は、投資や資金運用・経営コンサルティングのニーズが高まったことで人員確保が急務となり、即戦力採用だけでは追い付かず、次世代育成を見据えてポテンシャル採用を行う企業が増えたことから、決定年収がやや減少傾向になったと考えられる。
 
職種別 決定年収の上昇率ランキングTOP20(2019年を100とした場合の推移)

 細かな職種に分けた職種別での上昇率ランキングでは、対象となる全137職種のうち92職種で決定年収が上昇、45職種で減少し、約7割の職種で決定年収が増加した。決定年収が上昇した職種のうち、金額が10%以上アップしたのは16職種で、上昇率TOP20のうち「営業系」と「技術系(IT/通信)」が最多で4職種ずつランクインしている。

 1位の「アセットマネジメント」は、2019年と比較して2021年は国内市場が縮小し、インパクト投資を目的に海外不動産案件の投資に参入する動きが増えた。海外案件は融資スキームが国内と異なり、規模が大きく協業する関係者も多いため、複雑な業務に対応できる即戦力が求められた結果、企業が求める人材のレベルも上がり、決定年収が上昇したと考えられる。また、転職成功者のうち、40代以上の割合も高まったことも決定年収の上昇に関係しているといえる。

 2位の「営業―医薬品メーカー」は約30%の上昇で、医薬品だけでなく美容医療にかかわる商材や除菌関連商品などを扱う企業で採用が活発化しており、新型コロナ禍以降に需要が高まった商材の販路拡大のために、営業経験が豊富な人材の採用が多く行われたことが決定年収の上昇に影響した。

 3位は医療系専門職の「研究」で、約24%上昇しており、新型コロナウイルス感染症診断キットで用いられる診断薬の研究を行うバイオベンチャーや診断薬メーカーなどの事業会社は、研究職を募集する企業の中でも給与水準が高く、2021年は新型コロナウイルス感染症診断キットのニーズ増加を受けて、採用決定に占める比率が増えたことから、決定年収が大きく上昇したと考えられる。