【私の留学生活日記:ロンドン芸術大学・2】 私は、知り合いに「セントラル・セント・マーチンズってどんな大学?」って聞かれた時にいつも、「昔の竹下通りみたい!」と答えることにしています。大学にはさまざまなアート学部がありますが、なかでもファッションデザイン学部は大人気。現在、ファッション業界の第一線で活躍しているデザイナーを数多く輩出していることがその理由です。
まず、エントランスに入ると、中央が吹き抜けになっているホールがあります。その空間をファッションショーのランウェイさながら、「今日の私のファッションすごいでしょう!」とモデルウォークする生徒がいれば、対照的に全身スウェットで歩く生徒もいて、その様子を眺めてるだけで時間が過ぎてしまうような刺激的な場所なのです。
私と同じファッションプリント学科のある先輩は、お風呂上りのバスタオル姿さながらに、一枚のキラキラした銀色の生地を身体に巻き付けて安全ピンで固定させ、その生地の上にリボンや女性用の下着をピン止めしていました。かなりパンチの効いた格好ですが、これが先輩のアイコンでした。
また、私のクラスを担当していた先生は、毎回日本の浴衣を着て頭に花のコサージュを付けていました。他にも年中、全身オレンジ色の服しか着ない人や、ハロウィンの仮装でしか使わないような宇宙人風の尖った耳を毎日付けている人がいたり、一人一様のスタイルを見かけました。
そんな独特なファッションをする生徒に対して「that’s so csm(それは、すごくセントマだね)」 という褒め言葉があるほど、セントマ特有のスタイルが出来上がっています。同じ名前でインスタグラムのアカウントもできるほど、セントマ独自のスタイルが確立されていたような空間です。是非、@thats_so_csmでチェックしてみてください。
一方で「セントマにいる人たちは小さなバブル(泡)にいるよね」と否定的に言う人たちもいました。外から見ればかなり異空間で、一般的に当たり前だと思われている身なりの常識を無視しているような世界だからでしょう。バブルという表現に、小さな世界で生きているセントマの人たちという小馬鹿にした意味合いが込められています。しかし、小さな世界だったとしても本当のおしゃれを教えてくれたのはセントマでの経験のおかげです。
チャリティーショップにある服は、地域によってさまざまですが価格帯は日本円で100円程度からブランド物だと数万円まで幅広いです。
タグも付いていない、どこのブランドかもわからない服でも自分に似合っていればOK。誰かに認められるためではなく、自分に似合っていればいい、自分のためのファッションなのです。
ファッションにルールは無用。水玉のスカートにチェックのシャツでも、全身派手なピンク一色でも、セントマは私に「ファッションはもっともっと自由でいい。もっと楽しんでいい」ということを教えてくれました。
「この服を着たら変に思われないかな」「この組み合わせは、派手すぎるかな」などと考えてしまう方が多いですが、それは周囲に気遣いをしすぎているから。ファッションは自分のためのものであり、ファッションは自分が主役なのです。
今日、自分のクローゼットを見てみてください。同じような服が多い方はいつもと違う服に挑戦してみましょう! 少し明るめの服や柄の入ったコートを買ってみたり、この世界は、沢山の服で溢れています。さまざまな服と出会って、自分だけのスタイルを探しましょう。そしてファッションを自由に楽しみましょう! それが最高におしゃれな生き方です。(テキスタイルデザイナー・marikaanna<マリカアンナ>)
■Profile
marikaanna(マリカアンナ)
2021年ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズのファッションプリント学科を卒業。現在はテキスタイルデザイナーとして活動。ロンドン芸術大学での留学生活や日々のこと。ロンドン留学のためのお役立ち情報などをお伝えします。
ファッションオタクが集まるセントラル・セント・マーチンズ
世界中からファッションオタクが集まるセントラル・セント・マーチンズ(以下、セントマ)の日常はというと、世界中の料理が集結したフードマーケットかのような、多国籍でコスモポリタンな混沌さがあります。まず、エントランスに入ると、中央が吹き抜けになっているホールがあります。その空間をファッションショーのランウェイさながら、「今日の私のファッションすごいでしょう!」とモデルウォークする生徒がいれば、対照的に全身スウェットで歩く生徒もいて、その様子を眺めてるだけで時間が過ぎてしまうような刺激的な場所なのです。
ジャンルのないファッションの洪水
私が日常的に見ていたセントマでの景色を具体的に説明してみたいと思います。原宿の竹下通りにロリィタ、ヴィジュアル系、シロヌリ、ゴスロリなど多種多様なスタイルがあったように、セントマでは一人ひとりが自分だけのジャンルを持っています。私と同じファッションプリント学科のある先輩は、お風呂上りのバスタオル姿さながらに、一枚のキラキラした銀色の生地を身体に巻き付けて安全ピンで固定させ、その生地の上にリボンや女性用の下着をピン止めしていました。かなりパンチの効いた格好ですが、これが先輩のアイコンでした。
また、私のクラスを担当していた先生は、毎回日本の浴衣を着て頭に花のコサージュを付けていました。他にも年中、全身オレンジ色の服しか着ない人や、ハロウィンの仮装でしか使わないような宇宙人風の尖った耳を毎日付けている人がいたり、一人一様のスタイルを見かけました。
そんな独特なファッションをする生徒に対して「that’s so csm(それは、すごくセントマだね)」 という褒め言葉があるほど、セントマ特有のスタイルが出来上がっています。同じ名前でインスタグラムのアカウントもできるほど、セントマ独自のスタイルが確立されていたような空間です。是非、@thats_so_csmでチェックしてみてください。
一方で「セントマにいる人たちは小さなバブル(泡)にいるよね」と否定的に言う人たちもいました。外から見ればかなり異空間で、一般的に当たり前だと思われている身なりの常識を無視しているような世界だからでしょう。バブルという表現に、小さな世界で生きているセントマの人たちという小馬鹿にした意味合いが込められています。しかし、小さな世界だったとしても本当のおしゃれを教えてくれたのはセントマでの経験のおかげです。
ファッションは自由でいい
常識やトレンドに左右されることなく、自分が似合う服、自分の好きな服を探究することで自分のスタイルが創り上げられていく。それは全身をハイブランドの服で纏うのではなく、祖母からの譲りものや100円の服でもいいのです。イギリスにはチャリティーショップというものがあちこちにありました。市民から寄付された服をボランティアスタッフの協力で販売をし、売り上げは非営利団体の資金に充てられます。チャリティーショップにある服は、地域によってさまざまですが価格帯は日本円で100円程度からブランド物だと数万円まで幅広いです。
タグも付いていない、どこのブランドかもわからない服でも自分に似合っていればOK。誰かに認められるためではなく、自分に似合っていればいい、自分のためのファッションなのです。
ファッションにルールは無用。水玉のスカートにチェックのシャツでも、全身派手なピンク一色でも、セントマは私に「ファッションはもっともっと自由でいい。もっと楽しんでいい」ということを教えてくれました。
「この服を着たら変に思われないかな」「この組み合わせは、派手すぎるかな」などと考えてしまう方が多いですが、それは周囲に気遣いをしすぎているから。ファッションは自分のためのものであり、ファッションは自分が主役なのです。
今日、自分のクローゼットを見てみてください。同じような服が多い方はいつもと違う服に挑戦してみましょう! 少し明るめの服や柄の入ったコートを買ってみたり、この世界は、沢山の服で溢れています。さまざまな服と出会って、自分だけのスタイルを探しましょう。そしてファッションを自由に楽しみましょう! それが最高におしゃれな生き方です。(テキスタイルデザイナー・marikaanna<マリカアンナ>)
■Profile
marikaanna(マリカアンナ)
2021年ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズのファッションプリント学科を卒業。現在はテキスタイルデザイナーとして活動。ロンドン芸術大学での留学生活や日々のこと。ロンドン留学のためのお役立ち情報などをお伝えします。