【記者のひとこと】勢力均衡

コラム

2022/03/29 10:00

 ウクライナを巡る争いが続いています。この動向に国連を牽引する常任理事5カ国は、ロシアと安全保障の懸念に理解を示す中国の2国と、ウクライナを支持する米国と英国の2国、停戦仲介に奔走するフランスの1国で均衡が保たれているように見えます。ただ今回はその構図と全く異なる角度から、ハッカー集団「アノニマス」がロシア国営放送をハッキングしたことで、サイバー攻撃の存在が改めて注目されました。

 そのサイバー攻撃に対して、日本も無関係でいられない状況に直面しています。インターナショナルシステムリサーチ(ISR)は、ウクライナ情勢で日本もロシアに経済制裁を科しているため、報復としてロシアからサイバー攻撃が増える可能性があることを指摘しています。ISRは攻撃の対処方法を、各国専門機関の動向を参考にしながら分析を続けています。

 日本を取り巻く環境ではサイバー攻撃に加え、ロシア海軍の艦艇が津軽海峡を通過したほか、ミサイル演習が実行されたことも確認されています。ウクライナ情勢を通じて問題に対する当事国間交渉の進め方や、第三国が受ける影響も含めて、解決の糸口をつかむ大変さに改めて気づかされる状況をむかえています。(山越 晃)

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