光回線と5Gホームルーター、スペック上の違いは?

時事ネタ

2022/02/28 18:30

 5G通信サービスは高速な通信速度が特徴だ。たとえばドコモの5Gは理論上、受信時に最大4.2Gbpsに達し、並の光回線よりも高速だ。この高速な通信速度を生かした5Gホームルーターが登場しているが、固定回線とはどのように異なるのか。

4Gに比べ性能が向上した5Gホームルーター
(画像はシャープのホームページより)

工事不要ですぐに使える

 5Gホームルーターは無線通信でインターネットに接続するため、開通工事が必要ない。このため、使用するための契約をおこない、端末が届いたらコンセントにつなぐだけで使用開始できる。高額な工事費も不要な上に工事のためのスケジュール調整も不要。端末さえ手に入ればすぐに使えるのは大きなメリットだ。

引っ越し時の作業や手続きが楽

 引っ越しが多い人にとっては、そのたびにインターネット回線の手続きをしなくてはならないのは大きな負担になり得る。5Gホームルーターなら登録住所さえ変更すれば本体を転居先に持っていき、再びコンセントに挿すだけで利用可能と、非常にお手軽だ。引っ越しが多い人はもちろん、長期出張や一時的な単身赴任の際にもおすすめできる。

5G通信できれば高速なダウンロード

 5Gホームルーターの通信速度は高速であり、たとえばドコモのhome 5G HR01の場合最高受信速度は4.2Gbpsとされている。実際の通信速度は使用する環境によって左右されるものの、利用者の声によると実測で数百Mbpsは出ることが多いようだ。

料金が少し安い

 5Gホームルーターの利用料金は、たとえばドコモの場合月額4950円となっている。一般的な光回線よりも料金が同等か少し安く 、かつ契約期間の縛りがないのはうれしいポイントだ。また、ドコモの場合はスマホとセットで利用するとhome 5G セット割という割引サービスを受けられる。最大で月額1100円の割引が家族全員に適用されるため、ドコモのスマホを使っているのであればさらに安く導入できる。

光回線に対する5Gホームルーターのデメリット

 5Gホームルーターには良い面ばかりではなく悪い面もある。光回線と比べた場合のデメリットを解説しよう。

通信速度が設置場所に依存する

 5Gホームルーターは無線通信を利用するため、どうしても電波環境が通信速度に直結する。たとえば、ドコモの場合5G通信が可能なエリアでは最高通信速度が4.2Gbpsである一方、4G通信しか利用できないと最高1.7Gbpsと半分以下に落ち込む。まだ5G通信ができるエリアは限られているため、事前に5G通信が利用可能な地域を確認すべきだろう。また、5G/4G問わず電波強度によっても通信速度は大きく変化する。設置場所を窓際にするなどの工夫をしてできるだけ強い電波を受信できるようにすると良い。

通信量によって速度が制限されることがある

 5Gホームルーターを使った通信量があまりにも多い場合、通信量が制限される場合がある。たとえば同じくドコモの場合、「当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多いお客さまは、それ以外のお客さまと比べて通信が遅くなることがあります」および「一定時間内または1接続で大量のデータ通信があった場合、長時間接続した場合、一定時間内に連続で接続した場合は、その通信が中断されることがあります」という注意書きがあるのだ。

 どの程度の通信をおこなうと制限がかかるかは不明であり、どの程度通信速度が制限されるかも不明だが、一般的な利用で制限がかかるとは考えづらい。とはいえ、このような注意書きがあることは覚えておくべきだろう。

登録した住所以外では使用できない

 コンセントにつなぐだけで使えるということで、自宅だけでなく仕事場などに5Gホームルーターを持ち込んで利用できそうだが、これは禁止されている。登録した場所以外で通信をおこなった場合、最悪利用停止になるので注意してほしい。さまざまな場所で使いたいならモバイルWiFiやポケットWiFiを選ぶと良いだろう。

アップロードが遅い

 非常に高速なダウンロード速度をアピールしている5Gホームルーターだが、実はアップロード速度が比較的遅いという弱点がある。ドコモの場合、5Gで最大218Mbps、4Gで最大131.3Mbpsとダウンロード時の1/10以下の速度だ。このため、ビデオ会議や動画配信、オンラインゲームなどのアップロード速度が重要な用途では通信速度が不足する可能性がある。

オンラインゲームには向かない

 5Gホームルーターの通信環境面でのもう1つの弱点がPing値の大きさだ。これは端末からサーバーに通信をおこなった場合の応答速度のことを指す。光回線では30ms程度が一般的な値で、数msとかなり小さいこともある。これに対して、5Gホームルーターの場合は50ms程度と遅い。Ping値が重要になるのはたとえばオンラインゲームだ。端末での操作がサーバーに反映されるまでの時間が長いため、一瞬を争うゲームの場合は不利になるかもしれない。

どちらが良いかは人次第

 5G通信によって高速化された5Gホームルーターは光回線に引けを取らない高速なダウンロード速度を誇り、導入も手軽なことから、4G時代よりも多くの人におすすめできるインターネット接続手段となった。

 しかしながら、光回線に比べて通信速度が設置場所の周辺環境に依存していたり、アップロードやPing値が異なるなど、デメリットもある。このため、現状ではどちらが良いとはいえない。自身がインターネット接続回線に求める要素に優先順位を付け、それに応じて選ぶことになるだろう。(ライター・ハウザー)