【記者のひとこと】不透明性と期待感

コラム

2022/02/15 10:00

 日本には多くの海外企業が在籍しています。「ジェトロ対日投資報告2021」の外資系企業動向調査では国内の2808社が有効回答し、親会社所在地では最多が独国などの欧州(約42%)、中国などのアジア(29%)、米国などの北米(22%)と続きます。同調査の注目点として、今後の日本展開で外資の約30%が「ビジネス拡大を図る」、半数超が「現状維持」と回答しました。コロナ禍でも事業撤退を選ぶより、米中に次ぐ「市場規模の大きさ」が最大の魅力に映るようです。

 海外の新興企業が日系大手を相手に攻勢する事例も見られます。現在は世界全体で50人規模の英セカンドマインドが自動車モデルベース開発向けAI技術のライセンス供与で、マツダと複数年契約を結びました。設立からわずか6年ほどの西洋発スタートアップ企業が、東洋で創業100年を超える伝統をもつ日系大手と手を組んでいます。

 何か新しいものが自分たちの領域に入ってくるときは身構えたり警戒心が生まれるケースも見受けられます。異国の商文化をもつ海外企業の中にはどんな手を打ってくるか読みづらい不透明性がある一方で、長年かけて大事に築いてきた事業基盤をもつ多くの日本企業にとって何かを変えてくれるかもしれない期待感を生み出す存在となることもあり、海外企業ならでのビジネスにかける熱意がより新鮮に映るのかもしれません。(山越 晃)

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【ニュース】英セカンドマインド、自動車モデルベース開発向けAI技術拡充で日本市場開拓へ