【私の留学生活日記:ロンドン芸術大学・1】 ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズのファッションプリント学科を、2021年の夏に卒業した私の体験談をお伝えします。まだまだコロナ禍ですが、「いつかロンドン留学をしてみたい」とお考えのみなさんに、私のティップスを伝授いたします。
ただ、普段から美術館の展覧会に出掛けたり、絵を描くのが好きなのと(ノートの端に落書きをする程度でしたが)、それからファッションにも興味を持っていました。そんな私に、母親が「こんな大学があるよ」と教えてくれたのが、セントラル・セント・マーチンズでした。
セントラル・セント・マーチンズでは、ファンデーションと呼ばれる学部入学準備コースの1学期に、さまざまな学部の授業を受け、その中から専攻を絞り込むことができるカリキュラムを採っています。「ここなら私に合った専門領域が見つけられるのでは!」 そう思い留学を決意しました。
セントラル・セント・マーチンズのファッション科に入学したばかりのころ、当時私は18歳。同年代の外国人に囲まれるのは初めてです。大学が始まって早々、グループディスカッションが始まりました。グループ内のプレゼンテーションが終わるとメンバーがそれぞれ自分の意見を言い合っていました。
私は「そうだね」「確かに!」と相槌を打って頷きながらそれぞれの話を聞いていると、「それで、あなたはどう思っているの?」と突然聞かれて硬直してしまいました。
高校まで討論会に参加した経験がほぼなかった私は、そもそも自分の意見などを人前で話す機会などなく、口から出た言葉は、「I thought that was interesting(それは面白かったと思う)」のみ。その後は前のメンバーが言った意見と同じような感想を述べてその場を乗り切りました。
私は、圧倒的な自分の語彙力のなさや、自分が思う意見を言葉にできなかった自分がとても悔しくて、学校からの帰り道では「初日からこのまま大学生活を送っていけるのか」と不安に襲われました。
私と同じクラスにいた中国人の男子生徒は、自身のプレゼンテーションを終えた後、「英語のクラスが少し必要だね」と先生に言われ落ち込んでいました。しかし、その彼が英語を学ぶために取った行動は、英語のクラスに行くことや参考書を読むことではなく、ロンドンのクラブに通うことでした。
私が課題に夜な夜な追われている間、彼が激しい音楽にのりながら踊っている様子をSNSでよく見かけていました。
数カ月後、大学の廊下でたまたま彼を見かけた時、私は目を離せませんでした。なぜなら彼はイギリス人と肩を組みながら堂々と英語を話していたからです。現地のイギリス人に近い声のトーンで、スラングまで使って。。私はとても驚きました。
彼がとった行動は、自分を”英語しか話せない環境に置くこと”だったのです。コミュニケーションの本質を彼は体得していました。私は身を持ってそのことに気付かされました。
何よりも大事なのが、下手な英語を恥ずかしがらないこと。そして多国籍な学生が多い中で気づいたことは、誰しもが完璧な英語を話していないということでした。フランス人の友人はフランス訛りの英語で話し、英単語が出てこなくなると、「あの言葉なんていうの? ニュアンスはこんな感じかな」と気さくに周りに訊いていました。
完璧な英語を話そうとして躊躇するより、下手な英語でもいいからコミュニケーションを頻繁に取ることの方が、何倍も英語が身につきました。そして「誰も完璧な英語を求めていない」と理解することです。
ほんの数カ月でイギリス人と肩を並べて話していた彼の英語は、単語を繋ぎ合わせた感じでしたが、周りの人たちはそんなことを気にする様子もなく彼の話を聞いていました。私はそんな彼の振る舞いを見て、「あ、英語って完璧じゃなくていいんだ。それより下手でもいいから自分の思っていることを口に出そう。とりあえず伝えてみよう!」 ふっと気持ちが楽になったのです。
そこから失敗を恐れずに、思っていることを話すように意識しました。英語が話せるようになりたいけど、どうしたらいいかわからないと悩んでいる方がいたら、まずは沢山の外国人とコミュニケーションをとってみることをお勧めします。
日本に住んでいる外国人と出会えるコミュニティーなどは、今ならアプリでもありますし、私もイギリスでそのようなアプリを使って勉強していました。参考書を手に取る前に、文法が適当でもいいから話してみましょう。それが上達への最速の道です!(テキスタイルデザイナー・梅本麻理佳アンナ)
■Profile
梅本麻理佳アンナ
2021年ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズのファッションプリント学科を卒業。現在はテキスタイルデザイナーとして活動。ロンドン芸術大学での留学生活、インターンとして働いたINDITEX ZARAの本社での日々のこと。ロンドン留学のためのお役立ち情報などをお伝えします。
都内普通科の高校を卒業して留学を決意
2015年3月、私は都内にある普通科の高校を卒業しました。高校生活では、大学受験に向けて周囲のみんなが進路を定めていく中、私は何を学びたいのか見つけられていませんでした。ただ、普段から美術館の展覧会に出掛けたり、絵を描くのが好きなのと(ノートの端に落書きをする程度でしたが)、それからファッションにも興味を持っていました。そんな私に、母親が「こんな大学があるよ」と教えてくれたのが、セントラル・セント・マーチンズでした。
セントラル・セント・マーチンズでは、ファンデーションと呼ばれる学部入学準備コースの1学期に、さまざまな学部の授業を受け、その中から専攻を絞り込むことができるカリキュラムを採っています。「ここなら私に合った専門領域が見つけられるのでは!」 そう思い留学を決意しました。
クラブ通いする友達の方が英語が上達
私の場合、家庭内の環境もあり英語には少々慣れていたのですが、実際にイギリスに行ってみると、いかに自分の英語が実用性に乏しいものであるかを思い知らされました。セントラル・セント・マーチンズのファッション科に入学したばかりのころ、当時私は18歳。同年代の外国人に囲まれるのは初めてです。大学が始まって早々、グループディスカッションが始まりました。グループ内のプレゼンテーションが終わるとメンバーがそれぞれ自分の意見を言い合っていました。
私は「そうだね」「確かに!」と相槌を打って頷きながらそれぞれの話を聞いていると、「それで、あなたはどう思っているの?」と突然聞かれて硬直してしまいました。
高校まで討論会に参加した経験がほぼなかった私は、そもそも自分の意見などを人前で話す機会などなく、口から出た言葉は、「I thought that was interesting(それは面白かったと思う)」のみ。その後は前のメンバーが言った意見と同じような感想を述べてその場を乗り切りました。
私は、圧倒的な自分の語彙力のなさや、自分が思う意見を言葉にできなかった自分がとても悔しくて、学校からの帰り道では「初日からこのまま大学生活を送っていけるのか」と不安に襲われました。
私と同じクラスにいた中国人の男子生徒は、自身のプレゼンテーションを終えた後、「英語のクラスが少し必要だね」と先生に言われ落ち込んでいました。しかし、その彼が英語を学ぶために取った行動は、英語のクラスに行くことや参考書を読むことではなく、ロンドンのクラブに通うことでした。
私が課題に夜な夜な追われている間、彼が激しい音楽にのりながら踊っている様子をSNSでよく見かけていました。
数カ月後、大学の廊下でたまたま彼を見かけた時、私は目を離せませんでした。なぜなら彼はイギリス人と肩を組みながら堂々と英語を話していたからです。現地のイギリス人に近い声のトーンで、スラングまで使って。。私はとても驚きました。
彼がとった行動は、自分を”英語しか話せない環境に置くこと”だったのです。コミュニケーションの本質を彼は体得していました。私は身を持ってそのことに気付かされました。
コンフォートゾーンから外れて慣れない環境に身を置く
セントラル・セント・マーチンズは留学生が半分以上いるような大学です。しかし多国籍な人の中でも中国人が多かった環境ですから、彼は中国人の友達と過ごすこともできたはず。しかし、自らをコンフォートゾーンから外れて慣れない環境に身を置き、英語を使わざるを得ない状況をつくりだしたことで、一気に英語力が伸びたのです。何よりも大事なのが、下手な英語を恥ずかしがらないこと。そして多国籍な学生が多い中で気づいたことは、誰しもが完璧な英語を話していないということでした。フランス人の友人はフランス訛りの英語で話し、英単語が出てこなくなると、「あの言葉なんていうの? ニュアンスはこんな感じかな」と気さくに周りに訊いていました。
完璧な英語を話そうとして躊躇するより、下手な英語でもいいからコミュニケーションを頻繁に取ることの方が、何倍も英語が身につきました。そして「誰も完璧な英語を求めていない」と理解することです。
ほんの数カ月でイギリス人と肩を並べて話していた彼の英語は、単語を繋ぎ合わせた感じでしたが、周りの人たちはそんなことを気にする様子もなく彼の話を聞いていました。私はそんな彼の振る舞いを見て、「あ、英語って完璧じゃなくていいんだ。それより下手でもいいから自分の思っていることを口に出そう。とりあえず伝えてみよう!」 ふっと気持ちが楽になったのです。
そこから失敗を恐れずに、思っていることを話すように意識しました。英語が話せるようになりたいけど、どうしたらいいかわからないと悩んでいる方がいたら、まずは沢山の外国人とコミュニケーションをとってみることをお勧めします。
日本に住んでいる外国人と出会えるコミュニティーなどは、今ならアプリでもありますし、私もイギリスでそのようなアプリを使って勉強していました。参考書を手に取る前に、文法が適当でもいいから話してみましょう。それが上達への最速の道です!(テキスタイルデザイナー・梅本麻理佳アンナ)
■Profile
梅本麻理佳アンナ
2021年ロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズのファッションプリント学科を卒業。現在はテキスタイルデザイナーとして活動。ロンドン芸術大学での留学生活、インターンとして働いたINDITEX ZARAの本社での日々のこと。ロンドン留学のためのお役立ち情報などをお伝えします。