【記者のひとこと】変わる意思疎通の形

コラム

2022/02/08 10:00

 1万人超の報道陣が中国に集結しています。2月20日まで続く北京五輪で脚光を浴びる約2900選手の裏で、メディアセンターの食堂で黙々と働くロボットもひときわ注目されています。感染対策で登場したロボットが注文料理を自ら調理するほか、カクテルも作ります。食事配膳も忙しさや焦りを見せず懸命に働く姿が印象的です。今大会はハイテク冬季五輪も掲げ、普段は舞台裏で五輪を支える業務にも日の光が当たっています。

 社会課題解決へロボットを投入する動きは日本でも活況です。アイリスオーヤマは2月2日の記者会見でソフトバンクロボティクスグループに100億円を出資し、人手不足などに対応するサービスロボットの共同開発に力を注ぐ方針を示しました。

 2030年には日本の労働需要7000万人に対し、労働供給が644万人不足する調査研究所の観測も出ています。他にも総務省のデータで、飲食およびサービス業界の従事者数はコロナ発生前の19年8月に549万人、一方でコロナ禍の21年8月までの2年間で61万人減り488万人となりました。協業2社は人手不足解消を喫緊の課題に新製品開発を進めています。

 わずか2年余りのコロナ禍でコミュニケーションの形が対面からオンラインに移行したことと同様に、この先ロボットの役割が多様化することで、職場の隣にいるロボットと意思疎通を取りながら連携していく環境が日常化する日も遠くないかもしれません。(山越 晃)

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アイリスがソフトバンクロボティクスに100億円を出資、サービスロボの拡充など協業を深化