【記者のひとこと】認知バイアスに挑む

コラム

2022/01/19 10:00

 取材や記事を書く上において、避けなければならないことの一つに「思い込み」があります。あることを思い込んだまま取材をしてしまうと、仮に事実が思い込みとは異なっていても、その思い込みに即して記事を書いてしまうことになりかねません。記者であれば誰もが分かっていることだとは思いますが、人間の認知とは不思議なもので、ついつい自分の思い込みに引っ張られてしまいます。

 このような思い込みや先入観、固定観念などは「認知バイアス」と呼ばれ、人間の判断を誤った方向に向かわせる要素の一つであるとされています。例えば、災害が起きた際に「自分は被災しないだろう」と感じることも、認知バイアスに当てはまるそうです。読者の皆さんも、同様なことを感じたことをある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 AIと人力によるビジネスコミュニケーション分析を手掛けるコグニティは、その認知バイアスをテクノロジーで乗り越えようと取り組んでいます。代表取締役の河野理愛氏は、偏見を持たない周囲の人々に支えられてきた体験から、認知バイアスに挑戦するビジネスを志したそうです。

 挑む相手はとても強大です。ですが、もしも私たちが認知バイアスを克服できたとき、世界はより公平でより合理的な方向へ進むことができるのかもしれません。記者としても、一人の人間としても、そんな世界が実現する日を期待しています。(藤岡 堯)

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思考の限界を超える コグニティ 代表取締役 河野理愛