【記者のひとこと】風が吹けば半導体が……

コラム

2021/12/20 10:00

 時間の経過に伴って解消するどころか、ますます深刻さを増している半導体不足。PCやゲーム機に始まり、自動車、そして最近では白物家電や住宅設備に至るまで、さまざまな製品で品不足や納期遅延が発生しています。半導体を増産するにも、「半導体を製造する装置が半導体不足で作れない」という笑えない状態が続いています。

 この半導体不足、原因を一言で説明できないところに事態の複雑さがあります。もともと需給がひっ迫気味だったところに、リモートワーク対応でIT機器や通信機器の需要が急拡大。コロナ禍で半導体材料等の供給が滞るとともに、米国による中国への制裁強化で台湾企業に注文が集中。一方で半導体工場は情報機器向け再先端プロセスに投資をシフトしていたため、汎用品の増産が難しい。一度大きく落ち込んだ自動車販売が揺り戻していることや、米南部の寒波、日本の工場で相次いで起きた火災なども原因として挙げられます。

 このような、サプライチェーンに広くまたがるさまざまな事象がからみあった結果が今の混乱だとすると、供給不足がいつ解消するのかの予測は非常に困難になります。「風が吹けば桶屋が儲かる」ようなポジティブな連鎖なら良かったのですが、今は風が吹いたことで、半導体とは直接関係がないように見えた業界も含め、あらゆる産業が打撃を受けている状態です。(日高 彰)

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