動き出した8K、シャープの新機軸「AQUOS XLED」でどこまで伸ばせるか
シャープは10月、同社液晶テレビの新しいフラグシップ「AQUOS XLED」シリーズを12月から順次発売すると発表した。同社初のmini LEDバックライトを搭載した液晶テレビだ。8Kも3モデル投入する。従来より格段に鮮やかな映像を武器に拡販を狙う。シャープが世界初の8K液晶テレビ「AQUOS 8K LC-70X500」を17年12月に発売してまもなく4年。ここにきて8Kテレビがにぎやかになってきた。4Kテレビの好調を尻目に、前年割れが続いていた8Kテレビ。しかし、7月以降徐々に販売が回復。この10月では前年比で80%増と販売台数が伸び始めている。
現在日本で8Kテレビを販売しているのはシャープ、LG、ソニーの3社のみ。これまで発売されたラインアップ数も累計で24モデルと少ない。テレビ全体に占める8Kテレビの販売構成比は、この10月時点の販売台数でわずか0.5%、販売金額でも1.2%にすぎない。ただ、19年までは0.1%、販売金額構成比でも1%未満の水準だったことを考えると、存在感は徐々に増してきいることがわかる。足元では伸び悩んでいたが、6月発売のモデルが貢献し10月の時点で、これまでのピークだった20年2月の販売台数構成比0.6%に迫っている。
価格は徐々に下がっている。例えば18年10月の平均単価(税抜き、以下同)は76万2000円。19年10月には41万1000円まで下がった。20年に入ると20万円台まで下がり、この8月には19万4000円と初めて20万円を割った。しかし、9月は21万6000円、10月は21万8000円と再び20万円台に戻している。足元ではあまり大きな価格の下落は生じていない。
最も売れているサイズは60インチ。おおむね市場の7割台を占めてきた。この夏以降は70インチモデルが台頭。60インチは6割台まで構成比が下がってきた。70インチモデルは、8月には37.8%まで急伸。9月、10月も3割台を維持している。8Kとしては小型の55インチも徐々に立ち上がりつつあるものの、構成比としては3%台と小さい。極端な価格下落が起きていないのもこうした背景がある。どうやら、有機ELテレビ同様、8Kテレビもプレミアムテレビの受け皿として機能し始めているようだ。
「AQUOS XLED」シリーズでさらに8Kテレビを強化するシャープ。これまで常に9割以上のシェアを維持してきた8Kのトップシェアメーカーだ。とはいえ、コンテンツがなければ普及もままならない。BSも含めた放送波の8K化は遅々として進まず、8Kの実力を発揮する場面が少ないことも、今一つ販売に勢いがつかない要因でもある。新製品ではOSにAndroidを採用。YouTubeの8K動画再生にも対応し、ストリーミング環境の充実で8Kの新たな活路を見いだそうとしている。動意づいた8Kテレビの余勢を駆って、この年末商戦からどこまで売り上げを伸ばせるか。今後の普及の速さを示す指針になるだろう。(BCN・道越一郎)
現在日本で8Kテレビを販売しているのはシャープ、LG、ソニーの3社のみ。これまで発売されたラインアップ数も累計で24モデルと少ない。テレビ全体に占める8Kテレビの販売構成比は、この10月時点の販売台数でわずか0.5%、販売金額でも1.2%にすぎない。ただ、19年までは0.1%、販売金額構成比でも1%未満の水準だったことを考えると、存在感は徐々に増してきいることがわかる。足元では伸び悩んでいたが、6月発売のモデルが貢献し10月の時点で、これまでのピークだった20年2月の販売台数構成比0.6%に迫っている。
価格は徐々に下がっている。例えば18年10月の平均単価(税抜き、以下同)は76万2000円。19年10月には41万1000円まで下がった。20年に入ると20万円台まで下がり、この8月には19万4000円と初めて20万円を割った。しかし、9月は21万6000円、10月は21万8000円と再び20万円台に戻している。足元ではあまり大きな価格の下落は生じていない。
最も売れているサイズは60インチ。おおむね市場の7割台を占めてきた。この夏以降は70インチモデルが台頭。60インチは6割台まで構成比が下がってきた。70インチモデルは、8月には37.8%まで急伸。9月、10月も3割台を維持している。8Kとしては小型の55インチも徐々に立ち上がりつつあるものの、構成比としては3%台と小さい。極端な価格下落が起きていないのもこうした背景がある。どうやら、有機ELテレビ同様、8Kテレビもプレミアムテレビの受け皿として機能し始めているようだ。
「AQUOS XLED」シリーズでさらに8Kテレビを強化するシャープ。これまで常に9割以上のシェアを維持してきた8Kのトップシェアメーカーだ。とはいえ、コンテンツがなければ普及もままならない。BSも含めた放送波の8K化は遅々として進まず、8Kの実力を発揮する場面が少ないことも、今一つ販売に勢いがつかない要因でもある。新製品ではOSにAndroidを採用。YouTubeの8K動画再生にも対応し、ストリーミング環境の充実で8Kの新たな活路を見いだそうとしている。動意づいた8Kテレビの余勢を駆って、この年末商戦からどこまで売り上げを伸ばせるか。今後の普及の速さを示す指針になるだろう。(BCN・道越一郎)