【記者のひとこと】目に見えるDXが店頭で進む

コラム

2021/11/08 10:00

 デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉がIT業界でよく聞かれるようになって、5~6年が経過しました。DXといってもIT導入のことを格好良く言い換えただけではないか、という批判があるかもしれません。それでも、より良いビジネスや社会をどのように設計していくかという議論の中で、ITの活用が最初から必ず検討されるようになったのは、DXという言葉がトレンドになったここ数年以降のことだと思います。

 中でも、一般の生活者から見ても積極的にDXに挑戦していると感じられる業界の一つが、小売業ではないでしょうか。キャッシュレス決済をはじめ、オンラインと実店舗の連携、無人店舗など、近年新たなテクノロジーが続々と投入されています。成功・普及しているものばかりではないですが、深刻さを増す人手不足や、コロナ禍での“店舗離れ”といった切実な課題があることから、生き残りにDXが不可欠と考えられているようです。

 不特定多数の消費者を相手とする小売業では、顧客の生活にどれだけ入り込めるかがDXの成否を大きく左右します。先日LINEは、日本マイクロソフトおよびAzure上でソリューションを展開するパートナー企業と、小売業DXの支援で協業することを発表しました。

 店舗が独自に会員登録やアプリのダウンロードを求めても、それを顧客に実行してもらうのはなかなかハードルが高いですが、ほとんどの消費者が既に利用しているLINEを通じてサービスを提供すれば、事前の手続きなしで簡単に利用を開始してもらうことが可能。Azure上で既に展開されているソリューションを組み合わせることで、サービスの立ち上げもスピーディーに行えます。小売業DXの世界でも、プラットフォームの規模を武器にした競争が本格化しそうです。(日高 彰)

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Microsoft Azureパートナー各社と小売業界のDXを支援、LINEの共同プロジェクト