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今知っておくべき5G通信の「ミリ波」「Sub6」とは? iPhoneの対応もチェック

時事ネタ

2021/10/31 17:30

 新世代の通信規格として普及をみせている5Gだが、実は2種類の通信方法が存在しているのをご存じだろうか。「ミリ波」と「Sub6」と呼ばれるこれらの間には、通信速度や電波が届く距離に違いがある。登場してから時間は経ったものの、改めてどのようなものなのか確認したい。iPhone 12シリーズや登場したばかりのiPhone 13シリーズなどの対応機種についても気になるところだ。

2種類の通信方法がある「5G」

通信速度は遅いが電波が届きやすい「Sub6」

 「Sub6」とは、6GHz未満の周波数帯を使った通信方法のことを指す。日本では3.7GHz帯と4.5GHz帯が使用され、ミリ波に比べて遠くまで電波が届きやすいという特徴がある。このため、基地局の数が少なくてすみ、展開がしやすい。

 また、端末への技術的難易度が高くないため、安価なスマートフォンにも搭載しやすく、5G通信対応のスマホであればSub6に対応していると思って間違いないだろう。ただし、その通信速度は周波数が近い4Gとそれほど変わらず、5Gならではのメリットをユーザーが感じられるかは不透明なところだ。

通信速度が速いが、エリアが狭い「ミリ波」

 一方、ミリ波は日本では28GHz帯を使った通信方法のこと。厳密には30GHzから300GHzの周波数帯をミリ波と呼ぶが、ほぼ30GHzということで、5Gの28GHz帯通信もミリ波と呼ばれている。

 ミリ波の特徴はなんといっても高速通信が可能である点。ミリ波はSub6の16倍高速 であるといわれており、理論値では下りで最大20Gbps、上りで10Gbps以上の速度を目標 に掲げている。

 しかしながら、通信可能範囲が狭かったり、障害物の影響を受けやすかったりという欠点があり、広範囲への展開は難しい。事実、ミリ波通信が可能なエリアは現状では都心部の繁華街などに限られており、まだまだ利用できる場所は少ない。

iPhoneなどの対応状況は?

 5G通信対応をうたうスマートフォンは、実はSub6にしか対応していないものが多く、ミリ波に対応しているものは少ない。iPhoneをはじめとする現行スマートフォンの対応状況をチェックしてみよう。

iPhone12/iPhone13は日本ではミリ波非対応

 日本で人気の高いiPhoneシリーズについては、iPhone12シリーズおよびiPhone13シリーズはSub6のみの対応であり、ミリ波通信には対応していない。実は本国アメリカで売られているiPhone12/13シリーズはミリ波に対応しているのだが、そのほかの国では非対応になっているのだ。

Androidは高級機を中心にミリ波に対応

 一方、Androidは高級機を中心にミリ波通信に対応している。たとえば、富士通のarrows 5G、SamsungのGalaxy S21 Ultra 5G、Galaxy Note Ultra、Galaxy S2+、ソニーのXperia 1 IIIといったハイエンドモデルがミリ波対応だ。しかしながら、ラインアップ全体を見るとSub6のみ対応の機種が多く、低価格帯への搭載には時間がかかるかもしれない。

ミリ波対応のモバイルWi-Fiルーターも

 モバイルWi-Fiルーターのなかにはミリ波通信に対応しているものもある。たとえば、ソフトバンクのPocket WiFi  5G A004ZT(ZTE製)はミリ波通信に対応し、最大で下り3.0Gpbs、上り298Mbpsでの通信が可能だ。

 また、NTTドコモのWi-Fi STATION SH-52A(シャープ製)もミリ波通信に対応し、下り最大4.2Gbps、上り最大480Mbpsでの通信ができる。

Sub6で高速通信するための技術も登場

 ミリ波通信は使えるエリアが狭く、対応機種も限られることから、Sub6で高速通信する技術も登場している。NTTドコモは3.7GHz帯と4.5GHz帯という2つのSub6通信を1つに束ね、国内最速をうたう下りで最大4.2Gbpsでの通信を実現した。これにより、iPhone13シリーズなどの対応機種 では現状のNTTドコモのミリ波通信(下り最大4.1Gbps)を超える通信が理論的には可能となる。現状のミリ波通信の範囲や速度を考えると、このような技術が使えればミリ波通信にあえてこだわる必要は無いのかもしれない。

ミリ波とSub6の違いを理解して5G対応端末を選ぼう

 解説したように、5G通信にはミリ波とSub6という2つの通信方法があり、それぞれに特徴がある。ミリ波のほうが理論的な最大通信速度は高速であるものの、まだまだ対応機種や通信可能エリアが少ないのが現状だ。また、Sub6で高速通信する技術もあるため、ミリ波にどうしてもこだわりがある人でなければ、Sub6のみの対応でも満足できるかもしれない。それぞれの特徴を理解し、5G対応端末を選んでほしい。(ライター・ハウザー)