ソニーとTVS REGZAがトップ奪取でテレビ市場に異変、シャープはどう戦う
テレビ市場の力関係が流動的になってきた。BCNが薄型テレビの販売集計を開始した2004年10月以来、16年あまりの間トップを走り続けてきたシャープだが、7月にソニー、9月にはTVS REGZA(旧東芝)に相次いでトップシェアの座を明け渡す事態が起きた。3月には液晶テレビ市場で初めてTVS REGZAにトップシェアを奪われたシャープだが、テレビ全体でも上位3社が入り乱れる大混戦模様になってきた。
07年から販売台数シェアの長期推移をみると、シャープが圧倒的なシェアを維持してきたことがわかる。ピークの08年6月には53.3%と過半を占める時期もあった。しかし、競争が激化するにつれシェアは低下。20年以降はソニー、TVS REGZAに猛追されていた。この7月はソニーが21.5%を獲得しトップを奪取、20.1%のシャープを逆転した。翌8月にはシャープがトップを奪還したものの、9月、今度は22.0%を獲得したTVS REGZAに、わずか0.2ポイント差ながらトップの座を奪われた。
テレビ市場は大型化が進展しており、9月の平均インチサイズは43.4。販売台数構成比では50型以上の大型モデルが36.0%を占める多数派だ。メーカー別ごとの構成比ではそれぞれかなり異なる。TVS REGZAの中で最も構成比が高いのは50型台。3割弱を占めトップ3社の中で最も多い。このサイズ帯の税抜き平均単価は10万円を切っており、17万円台のソニー、11万円台のシャープに比べ割安。TVS REGZAのシェアを押しあげた要因だ。30型台、20型台の構成比も高めで、販売台数を稼いでいる。うまく大型化のトレンドをとらえ、コストパフォーマンスの良さでシェアを伸ばした。
一方、シャープで最も売れている画面サイズ帯は4割以上を占める40型台。突出して構成比が高い。一方、50型台は25%程度まで構成比が下がっている。30型台の構成比も2割を切るところまで下がっている。60型台の構成比も1桁台で推移しながらじりじりと下がっている。ソニーも主力が40型台であることには変わりないが、60型台、70型以上と大型の構成比が高い。20型台未満の小型製品がないのも特徴的だ。
有機ELテレビの構成比は9月現在、全体で9.9%。このところおよそ1割前後で推移している。上位メーカーでの有機ELテレビ販売台数構成比は、TVS REGZAは5.3%、シャープが8.5%、ソニーが19.1%。販売台数シェアと逆の並びだ。シャープは昨年、有機ELにも参入し単価が上昇。そこへ低価格の液晶モデルが主力のTVS REGZAが価格の安さで9月、トップシェアを奪取したという構図だ。一方有機ELにも力を入れるソニーは、50型以上の大型モデルの強さで7月にトップシェアを獲得した。
長年トップシェアを走り続けてきたシャープ。三つ巴のテレビ市場で、これからどう戦うのか。有機ELへの参入や8Kテレビを推進しプレミアム路線に力を入れていることを考えると、ソニーに近い戦略を取りつつあるようにも見える。ソニーとの違いは大型モデルだ。50型以上の大型テレビで9月の販売台数シェアは、ソニーが26.0%とトップ。でTVS REGZAが23.3%と続き、シャープは17.6%と劣勢だ。ソニーは平井体制下でテレビ事業を復活させたが、最大の勝因は販売数を捨て収益にこだわったことだった。そのためシェアが低迷した時期もあったが、結果的には見事に販売台数でも復活を遂げた。一時的なシェアの伸び悩みと引き換えに大型モデルのテコ入れができるかどうか。シャープにとって一つのキーになるだろう。(BCN・道越一郎)
07年から販売台数シェアの長期推移をみると、シャープが圧倒的なシェアを維持してきたことがわかる。ピークの08年6月には53.3%と過半を占める時期もあった。しかし、競争が激化するにつれシェアは低下。20年以降はソニー、TVS REGZAに猛追されていた。この7月はソニーが21.5%を獲得しトップを奪取、20.1%のシャープを逆転した。翌8月にはシャープがトップを奪還したものの、9月、今度は22.0%を獲得したTVS REGZAに、わずか0.2ポイント差ながらトップの座を奪われた。
テレビ市場は大型化が進展しており、9月の平均インチサイズは43.4。販売台数構成比では50型以上の大型モデルが36.0%を占める多数派だ。メーカー別ごとの構成比ではそれぞれかなり異なる。TVS REGZAの中で最も構成比が高いのは50型台。3割弱を占めトップ3社の中で最も多い。このサイズ帯の税抜き平均単価は10万円を切っており、17万円台のソニー、11万円台のシャープに比べ割安。TVS REGZAのシェアを押しあげた要因だ。30型台、20型台の構成比も高めで、販売台数を稼いでいる。うまく大型化のトレンドをとらえ、コストパフォーマンスの良さでシェアを伸ばした。
一方、シャープで最も売れている画面サイズ帯は4割以上を占める40型台。突出して構成比が高い。一方、50型台は25%程度まで構成比が下がっている。30型台の構成比も2割を切るところまで下がっている。60型台の構成比も1桁台で推移しながらじりじりと下がっている。ソニーも主力が40型台であることには変わりないが、60型台、70型以上と大型の構成比が高い。20型台未満の小型製品がないのも特徴的だ。
有機ELテレビの構成比は9月現在、全体で9.9%。このところおよそ1割前後で推移している。上位メーカーでの有機ELテレビ販売台数構成比は、TVS REGZAは5.3%、シャープが8.5%、ソニーが19.1%。販売台数シェアと逆の並びだ。シャープは昨年、有機ELにも参入し単価が上昇。そこへ低価格の液晶モデルが主力のTVS REGZAが価格の安さで9月、トップシェアを奪取したという構図だ。一方有機ELにも力を入れるソニーは、50型以上の大型モデルの強さで7月にトップシェアを獲得した。
長年トップシェアを走り続けてきたシャープ。三つ巴のテレビ市場で、これからどう戦うのか。有機ELへの参入や8Kテレビを推進しプレミアム路線に力を入れていることを考えると、ソニーに近い戦略を取りつつあるようにも見える。ソニーとの違いは大型モデルだ。50型以上の大型テレビで9月の販売台数シェアは、ソニーが26.0%とトップ。でTVS REGZAが23.3%と続き、シャープは17.6%と劣勢だ。ソニーは平井体制下でテレビ事業を復活させたが、最大の勝因は販売数を捨て収益にこだわったことだった。そのためシェアが低迷した時期もあったが、結果的には見事に販売台数でも復活を遂げた。一時的なシェアの伸び悩みと引き換えに大型モデルのテコ入れができるかどうか。シャープにとって一つのキーになるだろう。(BCN・道越一郎)