第4のキャリアとしてスタートした楽天モバイルには、日本で絶大な人気を誇るiPhoneを取り扱っていないという弱点があった。しかしながら、2021年4月30日からついにiPhoneの取り扱いを正式に開始し、他のキャリアと同等の立場に近づいた。さらに、旧型のiPhoneについてもこれまで制限されていた機能が使えるようになり、MNPなどによる移行がしやすくなったといえる。
なお、動作保証を受けるには、iOSのバージョンを14.4以降にアップデートし、キャリア設定のアップデートを実施する必要がある。
まず、音声通話について。発信には変更がないが、着信についてはRakuten Link以外からのものはiOS標準の電話アプリに着信するようになる。これにより、海外でRakuten Link以外の方法で発信された電話を受けた場合の料金が、無料から国・地域別の従量課金に変更された。かけなおす際も、Rakuten Linkを使うよう心掛けたい。
また、SMSについてもこれまではRakuten Link経由での送受信だったものが、相手がRakuten Link以外の場合、すべてiOS標準のメッセージアプリでの送受信となる。これにより、Rakuten Link同士のSMSのやり取り以外は費用が発生するようになる。受信はこれまで通り無料だ。楽天モバイルの該当する無料制度に魅力を感じていた人は注意してほしい。
キャリア最安で発売された楽天モバイルのiPhone
4月30日に楽天モバイルから販売が開始されたのは、AppleのiPhone 12シリーズ4機種とiPhone SEの計5機種。いずれも日本の4キャリアで最安をうたっている。さらに、忘れ物防止タグのAirTag、完全ワイヤレスイヤホンのAirPods Pro、ワイヤレス充電器のMag Safeなどのアクセサリーも販売開始され、他キャリアへの追撃態勢が整ったといえるだろう。iPhone 6s以降のiPhoneの正式サポート開始
実は、iPhone発売以前も楽天モバイルでiPhoneを使うことは可能だった。しかしながら、「動作確認」はとれているものの「動作保証」はされておらず、一部の機能については制限があった。それが、iPhoneの発売とともに制限が緩和され、全機能が使えるように。ここでは制限が緩和された機能について見てみよう。なお、動作保証を受けるには、iOSのバージョンを14.4以降にアップデートし、キャリア設定のアップデートを実施する必要がある。
APNの自動設定
APNとは「Access Point Name」の略で、スマートフォンをインターネットに接続するための中継地点のようなもの。これまでiPhoneを楽天モバイルで使用するには、このAPNを手動で設定しなくてはならなかった。しかしながら、正式サポート開始とともにこの設定が自動で行われるようになり、より多くの人がかんたんに使えるようになった。110/118/119通話での高精度な位置情報測位
スマートフォンや携帯電話から緊急通報(110/118/119)を行った場合、緊急通報を行った場所に関する位置情報を自動送信する機能がある。以前は楽天モバイルでiPhoneを使用した場合、高精度な位置情報測位が行えないという制限があった。それが正式サポート後は高精度な位置情報測位が使えるようになった。パートナー回線でのSMS送受信
楽天モバイルは、まだまだ足りない自社の電波の範囲をカバーするため、auの電波を「パートナー回線」として提供している。iPhoneを使っていると、パートナー回線においてSMSの送受信ができないという制限があったが、この制限が正式サポートとともに取り払われることに。SMSは2段階認証などにも使われるため、この制限の撤廃は重要といえるだろう。楽天回線とパートナー回線の判別
楽天モバイル自体は月々の通信量が無制限であることをうたっているが、実はパートナー回線は高速通信できるのは5GB/月までという制限があり、それ以上は最大1Mbpsに通信速度が制限されてしまう。しかしながら、iPhoneを使っていると、現在接続しているのが楽天回線なのかパートナー回線なのか手軽に判別できなかった。2021年7月からはmy楽天モバイルアプリから、どちらの回線を使用しているのか確認できるようになるという。パートナー回線接続時は動画を観ることを控えるなどの対策をとることができそうだ。楽天回線とパートナー回線の自動切り替え
正式サポート以前は、楽天回線とパートナー回線の間で接続を自動的に切り替えられなかった。それが、iPhone12シリーズについては回線の自動切り替えに対応するという。それ以外のiPhoneについては正式サポート後も自動切り替えには対応しないため注意してほしい。緊急地震速報(ETWS)
大地震が来る可能性があるときにアラームが鳴る緊急地震速報については、以前は楽天モバイルのiPhoneでは使用できなかった。しかしながら、正式サポートと同時に緊急地震速報もサポートを開始。地震が多い日本に住む人にとっては安心感が少しでも増すのではないだろうか。iOS版のRakuten Linkが仕様変更
さまざまな制限が撤廃されて便利になる一方で、気になる仕様変更も行われることとなった。6月15日以降、iOS版のRakuten Linkアプリにおいて、音声通話の着信とSMS送受信の仕様が変わる。まず、音声通話について。発信には変更がないが、着信についてはRakuten Link以外からのものはiOS標準の電話アプリに着信するようになる。これにより、海外でRakuten Link以外の方法で発信された電話を受けた場合の料金が、無料から国・地域別の従量課金に変更された。かけなおす際も、Rakuten Linkを使うよう心掛けたい。
また、SMSについてもこれまではRakuten Link経由での送受信だったものが、相手がRakuten Link以外の場合、すべてiOS標準のメッセージアプリでの送受信となる。これにより、Rakuten Link同士のSMSのやり取り以外は費用が発生するようになる。受信はこれまで通り無料だ。楽天モバイルの該当する無料制度に魅力を感じていた人は注意してほしい。