ヤマダホールディングス(ヤマダHD)は6月9日、大塚家具を完全子会社化するための簡易株式交換の契約を結んだと発表した。株式交換の効力が発生する9月1日に先立ち、大塚家具は8月30日付で東証一部とJASDAQの上場廃止になる予定。
その後、20年12月に大塚家具の大塚久美子社長が辞任し、ヤマダHDの三嶋恒夫社長が、大塚家具の会長兼社長に就任するなど、経営再建に向けたテコ入れをしてきた。
しかし、大塚家具は16年から5期連続で営業損失、経常損失、当期純損失という厳しい経営状況から脱することができなかった(20年4月期は決算期変更による16カ月の変則決算のため19年は1~12月の数値)。
ヤマダHDは、「現在の大塚家具の上場維持を前提とした連結親子関係では不十分である」とし、21年2月から完全子会社化に向けて大塚家具と協議を重ねてきたという。
新設住宅着工数の減少による家具市場の縮小や競合の激化など、大塚家具を取り巻く事業環境が依然として厳しい中、さらに迅速で柔軟な意思決定や方針の徹底を実現する必要があった。
大塚家具が、収益構造の改善やコスト削減のために店舗の退店や減床を実施してきたことで販売機会が縮小したり、ヤマダHDとの構造的な利益相反の問題もあったりした。また、16年12月期から継続して営業利益、営業キャッシュフローがマイナスとなり、積極的な投資も困難な状況にあった。
さらに、大塚家具の少数株主の存在が、ヤマダHDが投入した経営資源や財政上の支援を限定的なものにとどまらせていたとも指摘している。
6月9日に大塚家具が発表した21年4月期の業績は、売上高が277億9900万円、営業損失は20億7300万円、経常損失は22億5600万円、当期純損失は23億7100万円だった。前期は決算期を12月から4月に変更したため、対前期増減率は発表していない。また、22年4月期の業績予想は、完全子会社となり上場廃止になるため発表していない。(BCN・細田 立圭志)
2016年から赤字続き
ヤマダHDは、2019年2月に大塚家具と業務提携で基本合意し、さらに同年12月、資本業務提携を結び、ヤマダHDが大塚家具の株式の51.8%を取得。大塚家具はヤマダHDの連結子会社になった。その後、20年12月に大塚家具の大塚久美子社長が辞任し、ヤマダHDの三嶋恒夫社長が、大塚家具の会長兼社長に就任するなど、経営再建に向けたテコ入れをしてきた。
しかし、大塚家具は16年から5期連続で営業損失、経常損失、当期純損失という厳しい経営状況から脱することができなかった(20年4月期は決算期変更による16カ月の変則決算のため19年は1~12月の数値)。
ヤマダHDは、「現在の大塚家具の上場維持を前提とした連結親子関係では不十分である」とし、21年2月から完全子会社化に向けて大塚家具と協議を重ねてきたという。
新設住宅着工数の減少による家具市場の縮小や競合の激化など、大塚家具を取り巻く事業環境が依然として厳しい中、さらに迅速で柔軟な意思決定や方針の徹底を実現する必要があった。
大塚家具が、収益構造の改善やコスト削減のために店舗の退店や減床を実施してきたことで販売機会が縮小したり、ヤマダHDとの構造的な利益相反の問題もあったりした。また、16年12月期から継続して営業利益、営業キャッシュフローがマイナスとなり、積極的な投資も困難な状況にあった。
さらに、大塚家具の少数株主の存在が、ヤマダHDが投入した経営資源や財政上の支援を限定的なものにとどまらせていたとも指摘している。
完全子会社化で生まれるメリットは?
ヤマダHDは、大塚家具が完全子会社になるメリットとして次の五つを挙げる。(1)ヤマダデンキの既存店舗で大塚家具製品の取り扱いが増加し、販売網の相互利用、人材交流などを通じて販売力が強化される、(2)大塚家具の少数株主への配慮による構造改革実施の問題の解消や、経営資源の積極的な相互投入、構造的な利益相反状態が解消する、(3)財務基盤が安定し、新規店舗の出店加速、既存店舗の改装、広告宣伝強化、EC・DXへの投資などの積極的な投資が実行できる、(4)共同仕入・輸入・為替管理の一元化、物流の効率化・倉庫の有効活用のための投資、基幹システムへの投資などによる経営効率化・コストシナジーが生まれる、(5)上場維持コストが軽減できる――。6月9日に大塚家具が発表した21年4月期の業績は、売上高が277億9900万円、営業損失は20億7300万円、経常損失は22億5600万円、当期純損失は23億7100万円だった。前期は決算期を12月から4月に変更したため、対前期増減率は発表していない。また、22年4月期の業績予想は、完全子会社となり上場廃止になるため発表していない。(BCN・細田 立圭志)