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オンキヨー、ホームAV事業をシャープなど設立の新会社に譲渡

経営戦略

2021/05/28 12:00

 オンキヨーホームエンターテイメントは5月26日、ホームAV事業すべてをVOXX社とシャープが合弁で設立する新会社に譲渡すると発表した。6月25日の株主総会での承認を経て7月1日に事業譲渡する予定。

オンキヨーホームエンターテイメントのウェブサイト

 オンキヨーホームエンターテイメントは、2013年度から経常損失が継続しており、取引先に対する営業債務の支払遅延が生じていた。

 これを解消すべく、19年5月21日付でDENON、Marantz、Pold Audioといったオーディオブランドを持つSound Unitedグループと、同社のホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消、および既存借入金の返済を進めることで、財務状態の改善を図る計画を準備していた。しかし、両当事者間で事業譲渡の実行に必要な契約の締結や資金調達の確保など、さまざまな条件の達成が難航し、事業譲渡が中止となっている。

 その後、同社は大規模なエクイティファイナンスによる資金調達を目指したものの、株価の低迷で調達金額が計画を大きく下回るとともに、新型コロナの影響で生産や販売活動が限定され、当初予定していた経常収入が得られず、さらに米国の旧販売代理店の業績悪化にともない債権の回収が困難となったことから、20年3月期に33億5500万円の債務超過に陥った。

 21年3月期にも、継続的にエクイティファイナンスを実施して財務状況の健全化を目指したものの、営業債務の支払遅延がなかなか解消せず、部品の供給状況逼迫などによって売り上げや利益が減少し、米国の旧販売代理店の経営状況悪化による貸倒引当金を計上したことで、引き続き業績が低迷している。

 さらに、第11回新株予約権および第12回新株予約権の行使による増資も最終的に行われないこととなり、結果として23億6900万円の債務超過に陥り、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなった。上場廃止見込みを受け、同社は事業を継続するために今回のホームAV事業の譲渡に至ったという。