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ドコモと三菱UFJ銀行、新たなデジタル金融サービス開始へ 2022年中に

 NTTドコモと、都市銀行最大手の三菱UFJ銀行は5月11日、新たなデジタル金融サービスの提供で業務提携すると発表した。

通信事業者トップと都市銀行トップが提携へ

 正式発表では、提携の狙いとして、ドコモと三菱UFJ銀行の顧客基盤を生かした「取引状況に応じてdポイントが付与される、三菱UFJ銀行が提供するバンキング機能を活用した新たなデジタル口座サービスの提供」を挙げた。データを活用した新事業や新サービスの企画・開発などを目的とした合弁会社の設立も検討し、ドコモユーザー向けの独自の住宅ローンや資産運用サービスの開発といった協働事業を今後検討していく。

 合弁会社の設立は2021年度中、新しいデジタル口座サービスは22年中に提供開始する予定で、先立って各種キャンペーンなどを別途検討していく。また、21年度上期をめどに、三菱UFJ銀行の銀行口座からスマートフォン(スマホ)決済サービス「d払い」のチャージ残高を兼ねた「ドコモ口座」へのチャージ連携を開始する予定。
 
新たなデジタル口座サービスの提供サービスイメージ

 ドコモは、他企業との提携サービスを含め、「投資」「融資」「保険」分野のFinTech(フィンテック)サービスの実績はあるが、グループ会社に「銀行」がなく、非通信の成長分野であるスマートライフ事業の金融領域の弱みとなっていた。

 一方、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資するインターネット銀行のauじぶん銀行は、業界最低水準の住宅ローン提供を目指し、21年3月1日から、auユーザー限定のauモバイル優遇割+じぶんでんき優遇割の「au金利優遇割」適用で住宅ローン金利を最大年0.1%引下げるなど、最長35年の住宅ローン契約でau契約者の転出を抑止する戦略を打ち出した。
 
2021年4月末時点の通信事業者と金融機関の関係

 Zホールディングス(旧ヤフー)傘下のZフィナンシャルと三井住友銀行が出資するPayPay銀行も、スマホ決済サービスのPayPayとの連携や、業界最低水準に匹敵する住宅ローン、カードローン、投資信託に力を入れる。ドコモの金融サービスは、現時点で一部周回遅れの印象が否めず、新たなデジタル口座サービスの提供開始後、先行する「au」「PayPay」「楽天」のブランドを冠したネット銀行にどこまで接近できるか注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)