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日カメよお前もか──3大カメラ誌の消滅で写真文化はどこへ行く

オピニオン

2021/04/25 18:30

 カメラ雑誌がまた一つ姿を消した。通巻964号、73年の歴史をもつ月刊誌「日本カメラ(日カメ)」が21年5月号で休刊した。コロナ禍が始まった昨年「月刊カメラマン」「アサヒカメラ」と老舗のカメラ雑誌が相次いで休刊。カメラ雑誌の厳しさが表面化していた。「カメラ毎日」「アサヒカメラ」と並んで日本の3大カメラ雑誌の一つに数えられた日本カメラ。すでに休刊した2誌に続いて休刊することで、3大カメラ雑誌の全てが消えることになった。

この1年で姿を消した老舗カメラ雑誌の最終号。
下から「月刊カメラマン」「アサヒカメラ」「日本カメラ」

 紙の雑誌は、年々市場規模が縮小している。全国出版協会・出版科学研究所によると、20年の市場規模は5576億円。8520億円だった14年に比べ、34.6%縮小した。16年に書籍に抜かれて以降、縮小幅が大きい。電通がまとめた雑誌広告費の推移では、20年が1223億円で、14年比で51.1%減と半減した。特に、昨年はコロナ禍の影響で前年比27.0%減と大幅に減少している。カメラ市場自体も苦しい。BCNの調べでは、昨年は販売台数で前年比40.4%減、販売金額では34.8%減に見舞われた。カメラ雑誌にとっては、極めて厳しい環境であることは間違いない。
 

 カメラ雑誌が紙であることには、他のジャンルの雑誌以上に大きな意味がある。プロや愛好家の間では、「写真はプリントして完結する」という考え方が根強く、写真と紙が切っても切れない関係にあるからだ。その中で、3大カメラ雑誌は日本の写真文化の一翼を担う存在として大きな役割を果たしてきた。プロカメラマンの撮り下ろし作品を掲載していたほか、アマチュアカメラマンがこぞって応募したフォトコンテスト主催を通じて写真の楽しみ方を示した。画像の深みや質感をしっかり表現できるのは、紙の雑誌ならでは。もちろん、カメラや機器の評価や広告で写真・カメラ市場の発展にも寄与した。一流の写真の今を楽しめる媒体がカメラ雑誌だった。

 デジタルカメラの登場以降、写真のあり方は大きく変化した。主流は、「反射光」で楽しむプリント中心の写真から、「透過光」で楽しむディスプレイ中心の写真へと変わった。写真共有の在り方も変化し、雑誌や写真集からウェブやインスタといったネットワークで写真が消費される時代になった。「映え」「いいね」で積みあがる写真文化はどこへ行くのか。日本カメラの休刊と3大カメラ雑誌の終焉は、こうした時代を象徴し、カメラと写真文化の岐路を示す大きな出来事だ。(BCN・道越一郎)